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何様のレストラン

食べ物に執着している人間の、食べ物中心のブログ。イラストレシピもあります。

パンをふんだむすめ(2)

2015-07-29 19:40:38 | 日記
食べ物が出てくる物語が大好きな私に
強烈なトラウマを植え付けた「パンをふんだむすめ」。

1話目に続き、完結となる第2話目、行きます!

~あらすじ~
靴を汚したくないばかりに、パンを泥水に投げ入れて踏みつけたインゲルは
そのまま泥の中に落っこちていきました。
あれ?これ、ちょっとした水たまりじゃなかったのー?と後悔してももう遅い、
どこまでも、どこまでも、インゲルは落ちてゆきます…

おなじみとなった主題歌、いきます!

♪パンをふんだむすめ~
 パンをふんだむすめ~
 パンをふんだ罪で~
 地獄に~落~ち~た~

 神様ーにそむいた インゲルっ♪
 神様ーにそむいた インゲルー♪
 地獄に~落~ち~た~


あっ、貴家堂子さん(サザエさんのタラちゃん)の名前があります。
当時はぜんぜん気付かなかったです!

落ちて落ちて…、
インゲルがようやくたどり着いたの場所には…

♪わーたしぃ、沼おんなー
 朝から晩までぇ
 グツグツグツーー
 毒を煮るーー毒を煮るーー
 毒を煮るのがーー商売さぁぁーーー♪

変な歌を歌っているオバさん(沼おんな)がいました。
ナレーターがこの沼おんなについて、親切に説明してくれます。
深い深い沼の底に住んでいて、悪魔や魔法使いのために、朝から晩まで毒を煮ている女だそうです。
どうやらここは、沼の底のようです。

「私が明日にでもジョブチェンジしたい職業」の一個に付け加えておきます、沼おんな。
在宅ワークで受注生産で好きな物を作って…。あこがれます。

ヘビやヒキガエルやイボガエルがうじゃうじゃいるし、
沼おんなは珍妙な歌を歌いながら仕事中だし、
パンを踏んでしまったばかりに、とんでもない所に来てしまったインゲル。
ようやく地面に足を着けられたと言うのに、パニックを起こしています。
「ここはどこ、どこなの?!ヒィィーー」

「とうとうやって来たなぁ、パンを踏んだ罰あたりの娘よ…ウェッヒッヒヒ」
と笑う沼おんなに、インゲルは
「この汚らしいヒキガエルをどけてちょうだい!このぶよぶよヘビをおっぱらって!」と叫びます。

この場の力関係がまったく分かっていないようですね、この小娘は。

ヘビやカエルに囲まれたインゲルは逃げ出そうとするのですが、
足にぴったりくっついたパンが邪魔になって、なぜか一歩も動く事が出来ないのです。

走りづらいだけなら理解できるんですが、動けないほどとは…
パン、恐ろしい子…!

「パンが取れない、パンが取れない!!ああっ、何と言う事なの!
 ヒィィ、たすけてぇぇーー」

追い詰められた様子の演技がすごいです。パニックを通り越して、狂気すら感じられます。

そんなインゲルに、ヘビやカエルがじわじわと近付きます…。
ヒキガエルやイボガエルはドレスのフリルにもぐりこみ、
ヘビは髪の毛に絡まってウヨウヨしています。
失神寸前のインゲル。
モテモテですね!

そこへ、年寄りの魔法使いが現れました。ナイスタイミング!
沼おんなに依頼していた毒を受け取りにきたようです。
「これは器量良しの娘がいるねぇ。ついでにもらっていこうかしら。
 廊下に置く飾りにもってこいだわいイッヒッヒッヒ」

ここでもインゲルの器量良しが役に立ちました!さすがです。

魔法使いに連れられて(ホウキでひとっ飛び!)インゲルがやって来たのは
…地獄でした。
魔法使いの御殿に通じる、ご自慢の廊下の事を地獄と呼ぶそうです。

私の中の常識がちょっとだけ覆りました。

長い長い廊下には、地獄に落ちた何百、いえ何千人もの人間が
石像のように並んでいました。

影絵なので分かりませんが、きっと、どれも苦悶の表情を浮かべているんでしょう。

魔法使いはインゲルを廊下に立たせると、
蜘蛛に命じました。「この娘に糸をはきかけろ!」
するすると蜘蛛の群れが降りてきて、インゲルの体に糸を巻きつけます。

インゲルは悲鳴をあげて助けを請いますが、もちろん誰も助けてはくれません。
じき、インゲルの体は石のように堅くなり、廊下のオブジェたちの仲間入りをしました。

「手がしびれてきたわ…。腕も曲がらない…。
 それに、お腹がすいて死にそうだわ…。
 せめて、せめて、足にくっついているパンを一切れ、ちぎって食べることができたら…!」

ちなみに、沼の底から一緒にやって来たヘビさんやカエルさんたちも一緒に石化しています。
とんだとばっちりですね!

「なぜこんなに苦しまなきゃいけないの?
 パンを踏んだ事くらいで!」

私も、パンを踏んだだけなら重い罰だなぁと思いますが
真の問題はインゲルの性根にあるので、、、
まーきっと語られていない罪も山盛りあるんでしょうね…。

「神様なんて呪 っ て や るから…!私をこんな苦しい目に合わせて…!」
こんな有様になっても、インゲルは、本来の自分を捨てません。

そこにシビれます。あこがれはしませんけど。
神様、もっとこらしめて良いですよ!


とまあ、こんな感じで地獄に落ちてしまったインゲル。
あれから幾年も経ったようですが、インゲルにそれを知る術はなく
ただただ神様に呪いの言葉を吐き続けていました。
身動きひとつ取れず、空腹のまま死ぬ事もできない苦しみは
永遠に続くかと思われました。

と、遠い遠い地上から、インゲルの名を呼ぶ優しい声がするではありませんか。
「インゲル、かわいそうなインゲル」

タラちゃんキタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!

その頃、地上では、なんとインゲルの顛末が語り草となっていました。
きっと、「悪い事をするとインゲルみたいになっちゃうよ!」と
子供を叱るのに使われてるんでしょう。

インゲルの事をかわいそうと言ったのは、病の床に臥した小さな女の子でした。
重い病気で、もう余命いくばくもないその子は
自分のお母さんからインゲルの話を聞いて、
インゲルの事を心から憐れんでくれたのです。
女の子の純粋な気持ちは、インゲルの心にも深く響きました。

そして、女の子が天に召されるその日、
女の子は自分の事よりも、インゲルのために祈りを捧げました。
「神様…わたしだって、インゲルのように 神様のお恵みのお菓子を足で踏んだわ。
 わたしだって、ママに口答えしました。
 わたしだって、きれいなお洋服をみせびらかしたわ。

 神様…インゲルの罪を許してあげて。
 もし、私に天使の翼をくださるなら、それをかわいそうなインゲルにつけてあげて下さい。」
そう言って女の子の流した涙は、地獄の底まで落ちてきて
インゲルの上に降り注ぎました。
温かい祈りに触れたインゲルの心からは、ひねくれた気持ちが消えてゆき
女の子への感謝の気持ちと一緒に、涙があふれ出しました。

その時、一筋の光がインゲルに注ぎました。
すると、どうしたことでしょう。インゲルの姿は消え、代わりに一羽の小鳥が現れました。
女の子の願いを聞き届けた神様が、インゲルを鳥の姿に変えてくださったのです。
小鳥は、地上に向かって飛んでいきます。

ただ、インゲルの罪がチャラになったわけではなく
この小鳥は鳴く事もできず、また、みすぼらしい姿をしていました。

そうとう重い罪のようです。
神様的には、「ここが譲歩の限界ね。地獄から脱出できただけでも感謝しろ。」って感じでしょうか。

そして、小鳥のインゲルは人間の住む町に辿り着き、お話の冒頭部分に至る、と言うわけです。


動物たちが食べ物に困っている冬の季節、
町のパン屋のおかみさんは、みずぼらしい小鳥を気にかけ
毎日パンくずを与えていました。

ところが、みずぼらしい小鳥は、自分ではパンくずを少しついばんだだけで
あとは他の小鳥たちを呼び集めて、皆に分け与えていました。

冬の間じゅう、この小鳥は
えさになる物を見つけては、他の小鳥たちに分けてあげていました。

そして、そのパンくずの量が、インゲルが踏んだ例のパンと同じ量になったその時
みすぼらしい小鳥の姿が、真っ白な羽を持つ鳥に変わったのです。
それは、インゲルが罪をつぐなった瞬間でした。

パン屋のおかみさんが驚いて見守る中、
美しい声で鳴く事もできるようになった小鳥は、飛び立ちました。
どこまでも、どこまでも飛んで行きました。
もしかしたら、お日さまの光の中に飛んで行って、光の鳥になったのかもしれません。

~Fin~



インゲルもイカロスも!お日さまに向かって飛んじゃダメえええ!
あ、つい「勇気一つを友にして」を思い出してしまいました。

罪を償った結果、きれいな小鳥になれました…って
救われたんだかどうなんだか分からないラストですね。

恐ろしい場面ばかりが印象に残っていましたが
大人になった今では、この終わり方も心に残ります。
とりあえず、今後も食べ物は大事にします。

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