幸子６

グリーンハウス・・・。
まさか三鷹で、しかも自分のマンションの一階の店にＴシャツがあるなんて。
ここでなら薬草の手がかりがみつかるかもしれない。
幸子はいてもたってもいられなくなり、エレベーターで一階に降りた。
そして急いで表に回り、井の頭通りに面した入り口を確認した。
・・・洋品店には、黒いシャッターが降ろされていた。
腕時計を確認すると１０時２０分過ぎ。閉店だった。
薬草、薬草が・・・。
幸子は崩れ落ちそうなほど猛烈にがっくりきたが、３８歳なので何とか踏みとどまった。
大きな溜息をひとつついて、あきらめて出直そうとすると、
隣のとんこつラーメン屋から罵声と共に外に向かって何かが飛んできた。
ぱりーん。
幸子は何かの割れる音に身を強張らせた。

つづく

只今のそふつ音楽「イメージズ」ゴンサロ・ルバルカバ