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ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

ならまち遊歩~町家劇場「猿沢池三部作」終わりました。

2018-08-26 | 演劇
昨年から始まり、2年目の「ならまち遊歩」。奈良町の夜を楽しむイベント企画の一つとして、8/24(金)に、町劇の旗揚げ公演の場所でもある、町家文化館くるま座で行いました。先月の旗揚げから1ヶ月もたってなくて、終わってすぐ、書き下ろした「猿沢池三部作」。

①采女ものがたり
奈良の方はご存じですが、「帝の寵愛を失い猿沢池に身を投げた采女」伝説ですが、書き手としては、身を投げる理由をどうするか、ここが一番考えるところで、今回、身を投げる動機を大きく脚色しました。まだ10代の采女は、幼いながらも帝をお支えしようと決心していたが、帝は妹のような采女が、自分のように駕籠の鳥のようで哀れで、采女にもうここにいなくてよい、と告げたことで身を投げた…という物語に。朗読の小町座、満田さんは、2日前に海外から帰ったばかり…欠航が続き、帰国できず、稽古も前日に詰めて…とアクシデントの中で、よく声がもったと思います。
もう一つの采女の話は、福島に伝わる物語。こちらは、伝説のように脚本化しました。短い朗読ですが、ナレーションと登場人物の兼ね合いが、小町座の篠原さん、メリハリありました。

②龍のものがたり
芥川龍之介の小説「龍」。これは短編とはいえ、脚本には長いのでコンパクトに書き直しました。とにかく登場人物が多い。演じた小町座の西村さんは、興福寺の主人公の僧、ライバルの僧、主人公の叔母、複数の見物人、ご神託を受けた子ども、などなど、いくつ演じ分けたでしょうか!

③猿沢池ものがたり
最後は完全オリジナル、書き下ろしです。イメージが決まっていたので、多分、2時間くらいでしょうか、速いスピードで書ける本は、自分で言うのもなんですが、良いものが多いです。今回は、猿沢池の鯉と亀が池の国際化を語る、漫才台本のように書きました。町劇メンバーの田中さんと栗栖さんが、
大阪育ち!ということもあり、関西弁の勢いがとてもよく出たのと、田中さんは若いころ、バンドでボーカルもしていて、アカペラで今回、歌を歌ってもらいましたが、それも町家に気持ちよく響き、心地良かったです。

さて、台風のため、前日の遊歩イベントも中止、台風の余波と平日、残念ながら、会場前の道は人通りがなく…。まだまだ奈良の平日の夜はこれからです。そんな中、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。

それにしても、7月公演に続き、1ヶ月後にまた新作上演、といったペースは寄る年波に?!きつく…。次は2月10日、ならまちセンターの市民参加型公演まで劇は一休み…のはず?!またの機会を。







7/28 公演 町家劇場 を終えて

2018-07-30 | 演劇
町家劇場、満員御礼で終えました。皆様ありがとうございました。
追加席を急遽用意、入り口すぐ舞台に横向きに座っていただいたり、音響スタッフの真横に座っていただいたり…。
昔、通ったテント芝居の密度ほどではないですが、この身近さはお客様の感触が本当によくわかります。「笑っている」「少し眠い?」「うるっとしている!」などなど。どうも午後から、台風で警報が出ていたらしいのですが、なんとか雨も降らず…。町家の熱気に、台風もそれたのか?!(いえいえ、この夜の台風は奈良を直撃!びっくりしました。)
さて、私の大事な短歌の先輩から、以下の感想をいただきました。
「奈良町ならではの手触りのある朗読と短編劇、良かったです。「ことのは」に力がありました。現代人はややもすればTVやスマホの「映像」表現が幅をきかせているため、朗読を「聴く」力が衰えているように思います。「旧友と昔ばなしをするやうにしみじみちかき真夜のラジオは」私の作ですが、ラジオの時代は聞き手がもっと近い位置で想像力を働かせていた思います。(中略)今回の朗読は手仕事の確かさがあるように感じました。」
最後の演目、テイチクうたものがたり」ですが、テイチクに父がいた、兄がいた、というお客様もいて、終わってから声をかけて下さいました。戦前のドラマが中心でしたので、「戦後編を是非、書いて下さい!」と言われました。
さて、キャストですが、あまり誉めないでおきましょう。スタートに立った皆さん、まだまだこれから。年を経てもこんなに成長するわよ!を見せてくださいね。
さて、終わったばかりですが、8/24(金)午後6時と7時の2回、この町劇の会場、さんが俥座で、夜の語りをします。こちらは奈良県と奈良市の共催の「ならまち遊歩」のイベントの一つ。「猿沢池三部作」と題して、書き下ろした短編を朗読します。無料。出入り自由ですので、夜の町家の良さを感じにいらしてください。
最後に、町劇第二回目の公演は、12月上旬予定。「町劇のクリスマス」。ご期待ください。


小町座「新聞ものがたり」

「テイチクうたものがたり」

全員集合!  以上撮影・河村牧子  




7/14  エレベーター企画「女優ものがたり」 公演 

2018-07-15 | 演劇
私が三十年前書いた戯曲の再演、演出はエレベーター企画の外輪能隆さん。彼はその三十年前に一緒に演劇活動をしていて、アーティスティックな演出でしっかりとした芝居を構成する、実力派の演出家です。なので、全く心配もなく、楽しみに伺いました。案の定、舞台空間は、綿、大きな綿の布団のようなものが瀧の流れのように敷き詰められ、その上に客も座る、といった、外輪ワールド。この平たい雲のような空間は、真っ白なので、映像が映り、照明も効果的。小劇場ならではのわくわく感があります。
登場人物は4人+ポチ(犬)。なんと、ポチ役は演出の外輪くん。ポチが出るとそっちに目がいきます。演出家が役者をくってしまう…。
お客様も笑ってほしいところで笑ってくださり、ほっとしました。
一方、私は舞台を見ながら、味わったことのない感覚に入っていきました。若い私の書いたもので未熟ではあるが、1人だった頃の自由さが、言葉に羽がついたように、飛んでいっているのを見て、変な感傷というか、かつての書いていた時間の全体が、妙にリアルにのしかかってきたのです。結婚し、家庭人となり、何を背負っていたというほどのことはないのですが、11年前に小町座を立ち上げ、今、町家の企画運営に関わりながら、朗読劇をまた立ち上げていますが、こうしたこととは関係ない、ただセリフを戯曲にだけ向かっていた、自由さに、妙に驚いてしましました。もちろん、戯曲的には、今書くものの方が、意図も構成もしっかりしています、なのに、今日の「女優ものがたり」の言葉の跳ね方は、若さゆえの気楽さもあるでしょうが、当時の演劇を取り巻く環境の自由度も感じてしまいました。そのことは、終演後に外輪くんとのトークでも言いました。
三十年は平成の時代にまま、重なります。今回の再演に感謝したいのは、自分の中でリセットすべきものがある、昔にまま戻るのではなく、しかし、再度、今日聞いたセリフの調べの正体をきちんと考えることが、本当に書きたい戯曲へつながるような気がしています。再演に感謝。
さて、役者さんたちは、外輪メソッド?!に鍛えられ、よく演じました。今回は母と子のブラックファンタジーといった芝居なのですが、登場人物は記号的で、だからこそ、つかみきれない普遍性もあるとは思いますが、唯一、人間的?な主人公の友達、フツ子役の沢井里依は、お得なキャラではあるのですが、弾けて楽しかった。小さな体のバネがきいてましたね。
7/15は三回(11時、15時、19時)、7/16は二回(11時、15時)とまだ五回公演があります。当日ありとのことですので、evkk1807@gmail.com までお問い合わせください。
写真は、アフタートークの様子。演出家の外輪くんは、ポチの衣装のまま。暑かったと思います!




町家劇場 報告

2018-06-03 | 演劇
7/28(土)午後1時からと4時からの2回、奈良町の町家、さんが俥座での公演の「町家劇場」、このプログで告知したのが、一ヶ月半前。この間、2回稽古しました。午前中のみ、2~3時間で、発声、演出、個別指導、盛り沢山で、皆さんも私も!必死です。けれど、この2回の稽古で、おおまかなイメージを共通理解でき、ニュアンスを読み取ってくれる町劇のも皆さんの集中力と熱意、すごいです。
今回、旗揚げということもあり、かなり盛り沢山。詳細は下のチラシにありますが、①全員での朗読劇が一本(テイチクレコード本社工場が奈良町近くにあり、その創業者のドラマ)、②小町座参加の演劇、③ならどっとFM放送中(私の脚本)の「たまゆら劇場」の過去放送台本の朗読と、欲張りで盛り沢山な内容です。
③のラジオドラマは、10分程度なのですが、2人芝居として読むので、中々、力量がいります。しかも、今回、ダブルキャストなので、1時と4時では出演者が違う、というのも楽しみ。さあ、後、4回?!の稽古でどこまでできるでしょう。普通なら、ありえない稽古回数と時間ですが、この短さが私も皆さんも危機感?!を持ってできるのかもしれないですね。
皆さん、それぞれ自分の暮らしをしながら、他の活動もしながら、大阪からの参加組もあり、多忙の中の稽古。本当に言葉を抱えて読んでくれるということは、プロ、アマ関係ないなあ、と思います。が、自分の書いたものを、いかに思っているように声にしてもらうか、ここに関しては妥協しないので、怖い指導が続くと思います。
町家に全員が並ぶと、え?客席は?というような感じですが、「家」でするのはとても嬉しい。「家」には気軽にお話があり、聞けて話す…。「家」がそんな場所だといいな。というわけで、皆様、よろしくお願いします。





30年前?!の芝居が再演されます。

2018-05-15 | 演劇
関西を中心に実験的かつ、意欲的な演劇活動を続けている、演出家、エレベーター企画主宰、外輪能隆さんから連絡がありました。私は大学時代、学生劇団を奈良で立ち上げましたが、彼はそのメンバーで、演出もしていました。その学生劇団で阪急ファィブ(今のHEPホール)で公演もしたのですが、大阪公演の前は、奈良でオリジナルを上演していました。奈良市内にまだ、ならまちセンターも音声館も100年会館もなく、どこで芝居するの?!といった状況でしたが、生駒駅近くにあった、演劇評論家、神澤和明先生のスタジオで上演させていただいていました。その学生劇団の二作目「女優ものがたり」を大阪のカフェスタジオで上演するとのこと。びっくりしました。そもそも、私は何度もの引っ越しで、そのころ書いた脚本が手元になくて…。その当時の私の手書きの台本をコピーして、外輪さんが持ってきてくれました。ほとんど、手をいれず、まま、上演するとのこと。
その脚本には、当時読んでいた、マンガ、くらもちふさこの「A-GIRL」の絵が貼ってありました。そう、くらもちふさこ先生は、別冊マーガレットを中心に活躍されていた御大ですが、なんと、今、NHK朝の連続ドラマ「半分、青い」の主人公の漫画の師匠が「くらもちふさこ」の作品を使っていて、私が台本に貼り付けたマンガの絵が、ドラマの中でも大きく映っているのです!
まあ、そんなこともあり、30年前がなんだかとても身近になってきたわけです。
さて、その「女優ものがたり」、今の私の戯曲から比べると「えーー?」というところもありますが、世界観というのは、あまり変わらないものだと思いました。よろしければ、ぜひ、お越しください。(要予約)
そんな昔、ビリー・ジョエルのアカペラの名曲「ロンゲスト・タイム」が好きで、確か当時の芝居にも使ったかも?それでYouTubeで検索してたら、本家本元のビリー・ジョエルはもちろん、素晴らしいのですが、イギリスのコーラスグループ「The Overtones」(オーバートーンズ」が歌う、「ロンゲスト・タイム」を見つけました。50年以上前のビートルズのデビュー当時の素敵なスーツスタイルを洗練させ、現代的にしたような、30代から40代のグループで、これが中々、良いのです。良きイギリススタイルというか、妙なノスタルジィと品とユーモアがあり。
これはこれから、楽しみが増えたなあ、と来日公演しないのかしらと思って調べたら、先月、メインボーカルが急死していて…なんとも残念。
そんなこんなで、80年代の芝居から音楽にここのところ、はいっています。
バブル前でしたが、戸川純ちゃんを東京に見にいったり、テント芝居を見ていた懐かしい時代、音楽も演劇も横並びにならない、本当に個性的な時代でした。そのエッセンスを、今こそとなんだか強く感じるこの頃です。