ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

ご案内 2024.1/20,21「ワーズウィングス」まつり 

2024-01-17 | ワーズウィングス(Wordswings)
ワーズウィングスは、私のこれまでの活動に関わってきたメンバーによる奈良町の文化団体です。WordsWingsは造語です。あの高名なイギリスの詩人、ワーズワース(Wordsworth)の名前に「言葉」「価値」と見えたので、面白いと思って、ワーズウィングス「言葉」「羽」と命名しました。
無料かつ、出入り自由の気楽な会ですが、中々、メンバーが一同に会せないのと、また、近しい町家で、セリフが聞こえたり、歌が聞こえたり、絵本のライブがあったり、またコンサートや展示など、何しろ、気軽にのぞける機会があれば、町も楽しくなるのでは?といったようなイベントです。
●小町座
①二人朗読劇「きりぎりすないた」…太宰治の「きりぎりす」を男女の二人芝居にしました。原作とはちょっと違ったテイストで書きました。稽古回数が少ない中、頑張った高校生と大学生。昭和戦前の画家の夫婦を演じます。
②「なゐのことばよあれ 3.11いすものがたり」…東日本大震災の後にすぐ書いた短編劇。原発事故という、地震だけでも大変なのに、あの震災は原発事故が伴うことで、今も苦難が続きます。「なゐ」は古語で「地震」の意味。かつての「地震」の時間が「ない」「なかった」ことにならないようにと書いた「椅子」が主人公のファンタジーです。小町座代表、西村智恵が熱演します。
●言の葉の羽
この朗読団体は、これまで「町家よ語れ」など、私の書いた奈良関連の作品を公演してきました。
絵本ライブは代表の栗栖靖子のセレクト、指導で昨年の「ならまちわらべうたフェスタ」出演に続く、楽しくパワフルな一時間です。
●小宮ミカ
小宮さんは、小町座のラジオドラマや演劇で、沢山のオリジナル曲を作曲、演奏していきました。小西さくら通りに流れる「なら、ならのうたー」の「ならうたものがたり」(小野作詞)は皆さん、一度は聞いたことあるのでは。昨年春、名古屋のテレビ番組で、奈良を訪れたタレントのウド鈴木さんが、気に行って下さり、紹介して下さったようです。今回は昨年に続き、三昧琴の音色をお楽しみください。町家の天井の高さにびったりの響きです。
●河村牧子
奈良公園の写真など、地元ならでは写真を撮影している河村さん。小町座の演劇写真もいつも沢山撮影してくださっています。トークもあるので、ぜひ、お聞きください。
●西村智恵
小町座の代表、西村智恵は、元々、音楽からステージの活動を始めました。広島のライブハウスOtis!の主が音楽の師匠です。今はアフリカン太鼓も演奏しています。今回は、お茶の間コンサートということで、オリジナルの歌の他、皆さんと一緒に歌える歌も用意しているとのこと。
●エイスケ
小町座の音響操作のエイスケさん。音楽大好き。23歳が誰よりも古い音楽を知ってたりして。今回は自分の思い出と共に、太陽と月をテーマのトークとのこと。
●東拓美
天理大学4回生の東くんは、この3年、小町座の照明操作に欠かせないスタッフとして、大活躍でした。今回は大学のフィールドワークの中心、奈良町での活動について、卒業論文の内容も交えて、お話してもらいます。若者が見た奈良町の姿がわかる!

なお、美味しいポップコーン、販売しています。
この週末、ぜひ、のぞいてみてください。無料、出入自由、ふらっとお立ち寄りください。お待ちしています。



    

日本劇作家協会戯曲アーカイブ「十六歳」

2024-01-13 | 演劇
日本劇作家協会では、デジタルアーカイブ事業として、一昨年より、所属会員の作品を広く読んでもらえるようにしています。
私の作品は「きつねものがたり」に続き、この度、「十六歳」が掲載されました。
どちらも、十代の少女の物語です。2011年と2022年に小町座で上演した二人芝居です。
「十六歳」に関しては、このブログでも既に紹介していますが、元々、2001年のアメリカ同時多発テロが起きた時に、第一稿を書いたものです。
あれから20年以上たち、ウクライナでの戦争は続き、また、昨年からはパレスチナでの紛争が激化。
世界史で学んだ近代の歴史の困難な問題が、21世紀に続いています。
技術は時を積み重ねて脅威に感じるくらい進歩しても、人間は生まれて死ぬわけで、一から全てを学ばなければならず、何も積み重なっていかないということを、戦争のニュースから感じています。けれど、なぜこうなっているのかを学ぶことから始めるしかないと感じています。
私は子どもの時からのマンガ世代で、マンガから多くを学びました。「ベルサイユのばら」からフランス革命、「オルフェイスの窓」からロシア革命、この二つは池田理代子の作品ですが、20代で描いてるんですから、すごいとしかいいようがないです。こうした歴史の輪郭を優れたマンガから知り、興味を持てば専門書へという流れが、私のマンガ体験でした。
さて、現在のパレスチナ問題には、あの砂漠の英雄と言われた「アラビアのロレンス」が大きく関わっています。世界史を学ぶ中で興味を持ちましたが、40年前に出版された、神坂智子のマンガ「T.E.ロレンス」がありますが、当時、既に見ていた壮大なロレンスの映画とはまた違って、妙に共感したのを思い出します。ロレンスは作られた英雄で、本人の苦悩たるや…。植民地の時代の闇は深いです。この本はもちろん、フィクションですが、ロレンスが英国のスパイであり、しかし、アラブの文化をリスペクトする考古学者でもあり、という二重構造が描かれ、国家に翻弄される人物として描かれていました。このロレンスの苦悩が現在まで続いているのですから。
しかしまた、21世紀は同様に、新たな植民地的支配が加速しようとしているのかも。経済的な戦争、資源争奪戦…豊かな国が経済力を背景に、他国に干渉する…。資源のない日本はどうするのか、何ができるのか…。持たないものは「学ぶ」ことがキーワードにならないでしょうか。人を育てる、豊かな「教育」が手がかりになるのでは…。公的な教育以外にも、様々な場所で知り学ぶ機会があるでしょう。演劇も、そうした「知り、考え、学ぶ」世界への窓の一つになればいいなと願っています。
「十六歳」は特に歴史について語っていませんし、私は歴史の専門家でもありませんが、どうして、アメリカ的なものとイスラム的なものが対立しなければならないのか、という素朴な問いから始まったものです。同じ十六歳、しかし、育ちも立場も違った二人が出会った時、どうなるのか…。そこからドラマは始まります。よろしければ、ご一読ください。(以下の画面をクリック)
十六歳 | 作品 || [日本劇作家協会] 戯曲デジタルアーカイブ

十六歳 | 作品 || [日本劇作家協会] 戯曲デジタルアーカイブ

日本劇作家協会による劇作家名や戯曲名、上演時間、上演人数などで検索が可能な戯曲のデジタルアーカイブ検索サイトです。

[日本劇作家協会] 戯曲デジタルアーカイブ

 



(残念ながら、現在はどうも品切れのようです…)

小町座一人芝居「鮨屋の娘」出演者コメント

2024-01-08 | 演劇
2024年となりました。今年もよろしくお願いします。元旦からの地震は週末からの雪も続き、困難な状況が続いていると聞きます。インフラの早期復旧を願うばかりです。

さて、昨年11月に奈良町にぎわいの家で上演した、一人芝居の感想を出演者が小町座FBに公開していました。
高校一年の出演者の言葉です。出演後のほっとした写真もあわせて紹介します。

私は今回の演劇を通して、掛け合いのある演劇よりも一人で物語と登場人物そしてその背景を構築していく一人芝居のほうが自分に良くあっていると感じました。
けれど、本番までの練習時にずっとこれじゃない感といまいちこの芝居のリズムやテンポを理解できていないと感じていて、少し苦しいお稽古だったのを覚えています。
私の母がいつも楽しくて好きなことを続けるには苦しくて嫌なことが必ずついてくるものだと言っているのが、今回ああこういうことか、とすんなり入ってきました。
それは、どれだけ演劇が好きだとしても、演劇一本で生きていくには厳しい世の中だから嫌いでも勉強はしっかりしなさいよという意味だと思っていましたが、これは、好きで続けていることもいつかは苦しい時が来てそれを乗り越えられなくても続けられる覚悟はあるのかという意味もあったのだと気づきました。
私の母と私の関係、鮨屋の娘に出てくる母と先生の関係それは時代が違えど気持ちや想いは一緒なんじゃないかと思います。
まだ私の演じた母は、岡本かの子が、小野先生が書いた母にはなれていないと、今の年齢ではできなくて当たり前で今はこれで十分だと言われて、正直ずっと悔しかったです。
だけど、今では私は戦前を生きたの母親の気持ちはわからないし、完全に男の下で肩身の狭いおもいでいる母親達をみたことが無いし、今まで私が感じた母からの優しさや想いや努力を、私なりに寿司屋の娘の母と重ねて、演じきれたと思っているのでとても達成感と満足感のある、心から楽しかったと言える芝居です。
この芝居を通して学んだことを活かして次の芝居に繋げたいです!