ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

前登志夫没後15年企画 奈良町にぎわいの家

2023-04-05 | 短歌
2008年4月5日、82歳の生涯を終えた、歌人、前登志夫。桜のころに亡くなった歌人は、まさに西行の「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」に重なります。
今年は没後15年ということで、奈良町にぎわいの家では、4/1より蔵で展示、また22日には、奈良女子大学教授の磯部敦先生の講演もあります。
前登志夫の創作が、短歌でなく、「詩」から始まったということは、特筆すべきで、既に、師の主宰した「ヤママユ」誌上で、門下の喜多弘樹さんも書いています。今回、若き日に交流のあった、奈良女子大学名誉教授の横田俊一氏(故人)の旧蔵資料からの展示です。
当時の詩の言葉は、後の短歌作品のテーマやモチーフになっていて、とても興味深いものです。また、定型でないからこその、言葉の鋭さ、自由さも感じます。
また、講演をしてくださる磯部先生が発見した、30代半ばの前先生が書いた童話「ポポロじいさん」の朗読も講演の後にします。平易な言葉ながら、前登志夫の芸術論!がみえて、聞きながら、うるっとしてしまいました。私は晩年10年間の先生しか知りませんが、若いころ書いたものに、再び会える喜びを、今回の企画で特に感じています。そして、若いころから、全然、ぶれていない先生の世界に、その凄さを改めて感じました。
前登志夫は、すごいです。何がって…それをわかりやすく伝えるのが、私の役目かなと思っています。時間をかけて、そちらもしていきたいです。
奈良町の桜も散ってきましたが、ぜひ、奈良町にぎわいの家の蔵に、若き前登志夫のことばに会いにきてください。
なお、22日の講演と朗読は、要申し込みのため、奈良町にぎわいの家まで電話かメールでお願いします。