ことのはのはね~奈良町から

短歌、演劇、アート他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

4/8 「歌人・前登志夫の世界」ご案内

2018-03-24 | 短歌
日本を代表する歌人、前登志夫。今西行と呼ばれた、桜のころに逝きし歌人を偲び、毎年、展示やラジオ番組など、企画プロデュースを行っています。
今回で8回目。私の春は毎年、この企画で過ぎていきます…。ゆっくり先生を偲んでいる余裕はない?!
さて、今年は没後、10年ということで、師が主宰したヤママユの歌人の皆さんが、その歌世界を語ってくれる企画です。

日時…4月8日(日)午後2時~4時
場所…奈良町にぎわいの家 座敷 
無料・先着順申込み→奈良町にぎわいの家(0742-20-1917)

歌とエッセイの朗読も交えながら、構成しています。

また先行して、歌と山の風景のパネル展(写真は前登志夫のご子息、前浩輔氏)を3/29~奈良町にぎわいの家 蔵 で開催します。
桜のころに、奈良町に歌の心を感じにどうぞ、お越しください。




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9/9 奈良市西部公民館 「大人の学舎」現代短歌

2017-09-10 | 短歌
近鉄学園前駅すぐの西部公民館。短歌講座の講師として伺いました。市内でも利用数がとても多い西部公民館。「大人の学舎」という講座はシリーズで、ユニークなのが、「班」を作られ、その班が活動の単位となるところ。今回の短歌講座も、班で短歌を発表するなど、講座が進めやすくよいなと思いました。
プロデュースする奈良町にぎわいの家では、「はじめての短歌」ということで、歌人でヤママユ編集委員の喜夛隆子先生に教えていただいています。そのサポートをしながら、全く初めての方でも、ゲーム感覚で楽しんで自分の言葉を作っていかれる…。31文字という形がある、これこそが一番の武器で、そのリズムにはめようと、言葉を考えるのですね。
今回の参加者は80人、ということで、まずは、声を出しました。これはいつものことなので、私自身もリラックス。外郎売の一部も読みました。後で、大きな声で名歌を読むための発声…になるはずが、皆さんが作った歌の紹介で時間いっぱいとなり、声を出して調べを楽しむところまではいかずでした。
まず、短歌ゲームとして、既知の歌の一つ言葉を抜いて、皆さんに自由に入れてもらいました。
師の前登志夫の歌も。

□□□とはやさしきことば立枯の木にふりつもる雪のしづけさ

すると、皆さん、いろいろ考えて下さるんですね。地名が二つ上がり、なるほどと思いました。「室生」「大和」というものです。「むろう」…確かに優しいですね。前先生の元歌は…。

見舞ふとはやさしきことば立枯の木にふりつもる雪のしづけさ

ところで、元歌と同じ言葉が出た歌もありました。

うっすらと脂肪をつけてゆくように貯金を増やす一年だった(田中櫂)

この歌は「脂肪」を抜いて皆さんに言葉を入れてもらったのですが、「コロン」なんていう面白い言葉も出て、下の句のイメージがそれで随分変わるので楽しかったです。「脂肪」には、太るイメージと共に、現代社会の、余分で過剰なものにまみれる感覚もあれます。こうした言葉の裏にあるものの背景を、直感的に捉えらて「脂肪」と答えられたのかも!

後半は、上の句に続けて下の句を詠んでもらいました。初めての方ぱかりで、ちょっと難しいかなと思いましたが、なんの、皆さん、どんどん黒板に書いてくださいました。実はこれは難しいよね、と思ったのですが、前先生の、

青空のふかき一日ことばみな忘れてしまひ青草を刈る(前登志夫)

下の句を消して、自由に皆さんに作ってといいながら、これは皆さん、作らないだろうと思っていました。ところが、


青空のふかき一日ことばみな空に帰りて心やすけし

と出たのでびっくり!上の句の空に呼応してそのまま詠んだと言えますが、言葉の本質をさらっと詠んでおられ、感心しました。

前先生のことも紹介させてもらいながら話しましたら、なんと、「奥様はお元気ですか?」という受講生の方が。同じ大学の同窓ということで、更にびっくり!こういう出会いは本当に嬉しく…。

さて、この講座を企画。進行してくれた公民館の若い職員さん、ありがとうございました。ここまでも既に、班で講座を経験されてきた参加者の皆さんですが、そのグルーブが楽しく、学びを進めていかれるように、明るくはきはきと、テンポよいお声かけで進めてくれました。それを見ながら、こうした職員さんの努力が、お互いの顔を知り、つながりを保ち、地域を育て覇気を与えていくのだな、と感じました。公民館、頑張ってますね!それと…これからも皆さんが、短歌、ちょっと気になるなあ、と思って下さっていますように。

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ラジオ「前登志夫~森の時間」放送終えて

2017-04-10 | 短歌
ラジオ番組は、小町座でオリジナルドラマを何本か作り(近畿コミュニティー放送賞優秀賞作品他)、奈良町にぎわいの家でも作り、慣れてはいるのですが、前先生の番組で、しかも1時間ものとなると、それなりに緊張し、考えつつ作ります。一昨年も一時間番組を作ったのですが、その折も今回も、とにかく、リスナーの方はまず、歌人、前登志夫を知らないという前提で作りますので、なるべく、わかりやすく紹介し、歌や文の解説も、聞いてわかるようにというのを意識して書きます。
今回は、先生の唯一の小説『森の時間』の朗読ということで、こちらも耳で聞いてわかるように…と思いますが、まさか、先生は放送されると思って書いてらっしゃったわけでないので、読んでみると、中々、大変なのです。
今回、朗読のメインを努めてくれたのが、前川俊介さん。彼は、写真を中心とした作品を作る、ピン前川 というアーティスト。なぜ、前川さんにオファーしたかというと、かつては漫才人として舞台に出られていたという経歴と、声の良さ。私が時間がないので、前川さんがあらかじめ稽古下さったところを、ここはこう、と言いながら、「口立て」しながら進むんですが、どうしても違うというところは、何通りも読んでもらい、それを、後で、編集の西村さん(小町座)が、切り貼りするといった、声のツギハギをしていくわけで、本当に時間がかかりました…。
というか、「文」は「せりふ」でないので、大仰に言ってもだめだし、かといって、アナウンサーのような読みでは、この度の企画ではちょっと違う…。その中間をどう料理していくか、本当に出演者、編集者、ご苦労かけました。
耳からのドラマは、効果音と音楽がとても大事です。これまでにオリジナル曲を作ってくださった、作曲家の皆さんのおかげで、ドラマが立ち上がりました。
前先生の声には、毎回作業しながら、いい声だな、役者だな、大きな人だな、と感じるところ多く…。娘のいつみさんの歌も今回入れましたが、お二人の呼吸の大きさには、なんというか、まま、山の息吹を体現なさった、希有な父娘であったのだなと、声を聞きながらつくづく惜しく、悲しくなってしまいました。けれども、先生の「歌」がある限り、「山人」の呼吸はずっと残るのです。これをなんとか、声にする活動を今後も続けていけたらと思います。
さて、出演の前川さんの作品展、奈良町にぎわいの家の現代アート企画ですが、つし2階アート企画「あぁ、わからない」が、4/13(木)より開催、シニカルで可笑しい?!写真展になりそうです。是非、ご覧ください。

 CDジャケット

 奈良町にぎわいの家・蔵展示「前登志夫~森の風景展(終了)

 ピン前川 奈良町にぎわいの家・つし2階展示 4/13~

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2017前登志夫を偲ぶ会

2017-03-23 | 短歌
「今西行」と言われた、日本を代表する歌人、前登志夫。毎年、亡くなった4月に「樹下山人忌」として、偲ぶ会を企画、実施しています。いつも早く取りかかろう!と思いつつ、今年も間際で追われています。今年はラジオ放送と、展示の二本立て。明日、3/24~4/4まで、奈良町にぎわいの家の江戸時代の蔵で、吉野の山の風景パネルとポスター展を開催、写真は、前登志夫のご子息、前浩輔さん撮影で、先生の歌が立ち上がるような写真です。
ラジオ制作は、偲ぶ会としては二度目ですが、今回、先生の小説「森の時間」からの朗読や、かつての先生の声などで構成、1時間の番組を作っています。効果音や音楽を選ぶと、ぐっと朗読が立ち上がってきて、やっと演出だ!と楽しいですが、編集は本当に大変で、ご苦労かけています…。
ラジオ放送は、前先生の亡くなった4月5日に放送、午後3時からお聞きいただけます。(再放送は4/8午後9時~)
展示とラジオ、見て聞いていただける企画から、ぜひ、奈良の生んだ偉大な歌人に親しんでいただけたらと思います。
前登志夫を偲ぶ会ホームページ「前登志夫うた宇宙」→http://maetoshio.tumblr.com/




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はじめての短歌~奈良町にぎわいの家

2017-01-21 | 短歌
暦は大寒。暦通りの寒さが続きます。さて、今年の宮中での歌会始も終わりましたが、にぎわいの家では、ヤママユ編集委員の喜夛隆子さんを講師に、はじめての短歌、ということで、気楽に歌の世界を感じ、作歌してもらう会を開きました。にぎわいの家の離れは、十五人が丁度向かい合うのにいい空間で、お顔も声も近くに感じます。喜夛先生が作って下さったレジュメは、現代から万葉集までセレクトして下さり、皆で声に出して読み、先生に解説していただきました。一部、紹介すると、

なんとなく 今年はよい事あるごとし。 元旦の朝晴れて風無し   石川啄木

これは本当にわかりやすいですね。まるで今年の穏やかな正月元旦のようです。

大寒の朝のスプーンのひいやりとみどりごが飲むりんごの果汁    俵万智

まさに今、大寒の歌。このように身近に季節の感覚をとらえられるのも、短歌ならではかなと。

たのしみはまれに魚煮て児らがみなうましうましと言ひて食ふとき  橘曙覧(たちばなあけみ

江戸時代の歌ですが、なんとも実感がありますね。「まれに」魚を食べる、それはすごいご馳走で、子どもたちが「うましうまし」と食べる…。こうした動画のような生き生きとしたシーンが31文字で残っている…有り難いことですね。

霜柱立てる土より引きぬきし太き大根(おおね)の首のさみどり  喜夛隆子

冬の畑の情景が生き生きと。(喜夛先生の畑のお裾分けを私も時々いただきます!)
さて、我らの師、前登志夫の歌は三首紹介あり、その中でも「今」をきりとった歌として

何といふ初夢なるや人間の手に負へぬほどロボット生るる   前登志夫

ちょっと怖い歌ですね。詩人は既に未来の世界の現実を詠み込んでいます。優れた文学者は、予言者でもあり。

さて、短歌鑑賞に続き、次は実作体験を。前先生の歌より上句をお借りして、それに続けて下句を作っていただきました。一部ご紹介すると…。

草の上にわれの家族の集まりて
              ~笑顔はじける日だまりの中
              ~風を待ちつつ凧あげ準備
              ~おんごろの穴じっとみている  ※おんごろ…もぐら
              ~フィーバーせしは遠き日のこと
              ~花を見上げる空を見上げる

皆さん、なんとも素直に楽しく詠んでくれました。
さて、前先生の本歌は…

草の上にわれの家族の集まりて夏至の青梅積みあげしむかし

また4月に「はじめての短歌VOl.2」を企画しますので、どうぞご参加ください。












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