ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

歌人・前登志夫 校歌コンサート 4/21開催!

2019-04-12 | 短歌
桜のころに逝きし歌人、現代の西行と言われた、昭和戦後から平成を代表する歌人、前登志夫先生を偲び、毎年、春にイベントを開催していますが、今年は校歌コンサートを企画しました。先生は奈良県内の学校の校歌の作詞をされ、今回、十三校の校歌を奈良町にぎわいの家で披露します。
歌は奈良町を中心に活動されている、高橋晴子さんとそのお仲間。指導されているコーラスの皆さんも参加。校歌が平坦にならないよう、いろんな歌い方を工夫して下さいます。また、ピアノ伴奏は、「奈良町ふぁんたじぃ」始め、舞台での歌やラジオドラマなどでいつも作曲してくださる、小宮ミカさん。
さて、その校歌のあいまに披露するのが、前先生が十代の頃に書かれた、詩集「山脈に風ひかる」です。先生は軍隊に入隊の前に、一冊の詩集を残し、故郷を後にするのですが、その未刊の詩集を、先生の短歌結社ヤママユの有志の皆さんが、昨年の没後十年にまとめてくださった、大変、貴重な資料です。
その中に、代用教員として、地元の学校で子どもたちを教えていた、前登志夫の顔が見えるのです。今回の校歌コンサートに、子どもたちとの時間を書いた詩は、ふさわしいと思い、いくつか朗読をします。朗読初披露になりますので、どうぞお楽しみに。
また、4/6から開催中の、前浩輔氏の風景写真と、校歌の歌詞の展示もあわせて、お楽しみいただけます。奈良町にぎわいの家の蔵で展示中で、先日、
お客様が、奈良市立二名中学の卒業生だったようで、校歌を見て「ああ、前登志夫さん。私、校歌歌えるよ。」と娘さんに言っておられる女性の方がいました。校歌という身近な歌から、前先生を記憶にとどめてくださっているのは、とても嬉しいことだと思いました。
そんなこんなで、毎年?!4月は師の足跡を振り返る貴重な季節であるとともに、その実現に忙しくて目が回る、新年度でございます。
ぜひ、皆様、お越しください。

※4/21コンサートは無料・要申込み(奈良町にぎわいの家…0742-20-1917)
 展示は4/23まで。9時から午後5時(最終日午後4時まで)




3/30公演「セリフと短歌で語る平成」を終えて

2019-04-03 | 演劇
新元号の発表があり、既に新時代?!へお祝いムードですが、月末開催された朗読劇公演の報告を。会場は町家のため、決してみやすいわけではありませんが、小劇場のような独特の空間があります。けれどやはり後方席が見えにくく…で、なんと前日、ほぼ、全て決まってたのに、舞台を創ろう!となり、組みました。キャストは重い舞台を運び、組んで…。出来上がったら中々、素敵!で結果良かったのですが、動きも段取りもほぼ、決まってから、舞台作る!なんて…キャストにしてみれば、青天の霹靂…。大変でしたね…。

①平成語り
平成の出来事を振り返って書きました。「それが今では」という、昭和と平成を同じネタで比較するミニドラマをいくつかしましたが、固定電話しかなく、父親とバトルする高校生のシーンは、父役の篠原さん、高校生役の西村さんの絶妙なやりとりに笑いが。また寅さんのような昔の売り手も登場、面白おかしくリズムよく展開でき、書き手としては、ウケルと嬉しいものですね。満田さんのロボットは癖になりますよ!
また、このコーナーでは、前登志夫先生の短歌と、私の歌集『ラビッツ・ムーン』から歌を劇中にいれながら構成しました。バブルで踊るシーンの後に、
前先生の歌、「木々の芽をぬらして春の雨ふれりそれ以上のことありとおもへず」を読むのですが、シーンの演出として、騒々しい中の歌の存在を、特に意識したわけでもないのですが、その歌を読むと、時間がとまるというか、空間が澄むというか、改めて先生の歌のすごさを感じました。歌が今聞く人の前に「とどまる」のです。こうした感触は、初めてでした。読み手の篠原さんも良かったです。

②小町座活動報告
今年で12年目となる小町座は、地元の親愛幼稚園のお母様たちのクリスマス劇から始まりました。お客様には、現役のお母様や、私より大先輩のお母様たちも来られていて…幼稚園の園舎も映しながら紹介でき良かったです。これまでの上演作品の一部を9本、選んで再現しました。キャストにしてみれば、切り取って演じるので大変です。「十六歳」という二人芝居があり、こちらを若いメンバーに初めて読んでもらいましたが、中々良く、二人が後で「この芝居やってみたい!」と言ったのも、嬉しいことでした。進行は私がしたので、そこが一番のダメ出しです。

③「3・11 いすものがたり」 東日本大震災の時に一気に書いたものの、機会がなく、今回が初上演。平成が終わる前になんとか上演できて良かった。「海ちゃん」という幼稚園の子が座る椅子が主人公。ところが地震で海に流され、壊れてもどんなに小さくなっても、「海ちゃん」に会いたいという健気な椅子を西村智恵が熱演しました。最後、懐かしい海辺にチリのように小さくなった椅子は帰ってきて、成長した「海ちゃん」の声を聞く…で芝居は終わります。再会できたと思えるシーンなのですが、演じてくれた若いメンバーは「本当に会えたのか、わからない…」と読んでくれました。それは、今も続く被災地の苦労につながる読みなのかもしれません。

④町家よ語れ
古い町家が語りますが、出演者には、ほとんど、何の指導もなく、すーっと町家になって読んでくれました。出演者が、これまでの稽古の積み重ねから、作品を読む力がついているな、と嬉しいです。

⑤町家文化館くるま座のこと
残念ながら閉館となる町家…代表の三井田先生が平成に立ち上げた町家での活動をお話されました。映像に映る町作り団体の皆さんは、とても若くて!?そして、いきいきと活動されています。この町家では邦楽のコンサートなど開催、また当時なかった町を自転車で巡る取り組みなども。これで
閉館は残念ですが、この町家でつながった人たちとは、まだまだこれから!です。

⑥小町座抽選会
小町座で作ったマグカップや私の戯曲と歌集を抽選で。全員に子ども向けに作った平仮名の短歌ハガキをプレゼントしました。

盛り沢山でした。写真は小町座フェイスブックに一足先にあがっていますので、ご覧くださいね。
今回、初参加の平成生まれ、二十代の二人、本当に頑張りました。2月の公演から1ヶ月、かなりのスピードで作りましたが、その対応の柔軟なこと。またカンがよく、読んで欲しい温度感を自分のものにしてくれます。いやいや、何より、「若いってこういうことなのね!」。お客様にも言われました。「若い人たちを見るのはいいね!」
四十代、五十代、これからも負けずに頑張りましょう!

↓プレゼントの短歌はがき。絵の中に短歌がみえます。一週間の歌として7首、7枚セット。以下は火曜日と土曜日。
(短歌…おの・こまち イラスト…Yoko kawata)









4/1 「令和」

2019-04-01 | その他
万葉集が典拠という新元号「令和」。「令」には、ちょっとびっくりしたというのが正直な感想です。和歌ではなく、初春に梅を言祝ぐ歌の序文からとのこと。「令夫人」という言葉のように、敬称としても「令」は使われます。
一方、テレビから流れる元号の文字「令和」を見ながら、暮らしの中で使う文字としての「令」を考えてみると、「命令」「指令」「号令」「令状」など、上から言い渡されるイメージの言葉がまず思い浮かびます。テレビでも決定した時の映像で、「令和。「命令」の令に「昭和」の和。」と伝えていました。それが一般的な感覚と思います。暮らしの中で、使う言葉が時代に生きる言葉とするなら、こうした「上から言い渡される」意味を持つ「令」が元号の表記にある意味をなんとなく、考えてしまいます。もちろん、談話にもあるように「令」はこのたびは「よい」「美しい」との意のようですが、談話を聞きながら、以前より「美しい日本」と言われていたので、もしかするとその気持ちをまま元号に体現されたのかな、と感じました。
「令」が梅の美しさを言祝ぐものとするなら、「命令」の「令」のように、みんな一緒の美しさを目指すものではもちろん、ないでしょう。金子みすずの「みんな違ってみんないい」のように、それぞれの花の美しさがある、それは談話の後の質問でも述べられていたSMAPの「世界に一つだけの花」にもつながるということかなと思います。
「万葉集」からの出典は短歌の世界に少しでも関わるものとしては嬉しく、願わくば「伝統」が「記号」でなく、暮らしの中にそこはかとなく寄り添い、短歌を詠むこともその延長にあればなあと思います。

平成の時代、陛下のお歌から二首。
平成25年の歌会始(「静」)
「慰霊碑の先に広がる水俣の海青くして静かなりけり」
平成28年の歌会始(「人」)
「戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ」

水俣病で亡くなられた方や戦没者に心を寄せ祈るお歌。その魂が自然とともにあり今も生きているのだと感じられる大きな歌。
こうしたお歌は、市井の私たちにも、何が「伝統」なのかを感じ、考えるヒントを与えてくださいます。「愛と祈り」という伝統が、現代の今に生き、リアリティをもっているという、大いなる励ましです。それは既に「日本」がどうのということでなく、全世界へ向けての祈りではないか、その祈りの最先端に、平成の両陛下はおられたのではないか、お歌を読みながらそのように感じています。
新しい時代の「令」がもたらす、この国の「美しさ」とは…。私たちは大きな宿題をもらったのかもしれません。
浩宮様から流行となった「なるちゃんバスケット」を持ってお出かけしていた世代としては、年令的に一番近しい陛下となります。
「令和」の歌はどんな歌が聞こえてくるでしょう。