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クチヒゲノムラガニの生態

退職し晴耕雨読的研究生活に入った元水族館屋の雑感ブログ

パラオに行く

2024-04-07 | 雑感
パラオはパプアニューギニアとフィリピンの間、赤道近くの太平洋上に位置する小さな島国である。先の大戦前、パラオは日本統治下にあり、様々な思惑によるものの、ここに小さいながら純粋にサンゴを研究するための研究所が建てられた。そして、後の海洋生物学を担う28名の若き生物学徒が数ヶ月から数年の任期で派遣された。彼らは当地で華々しい業績を輩出するものの、研究所は開戦によって短い生涯を終えた。さらに残念なことに、日本のサンゴ礁研究は、このパラオ熱帯生物研究所の終焉と共に、長い停滞期を歩むことになった。

かくして、パラオ熱帯生物研究所は伝説と化し、サンゴ礁研究に携わる者であれば、誰もがその名前に敬愛と憧れを抱く。

閑話休題。妻がこの3月で定年退職した。これまで、自分は調査や採集で各地を飛び回っていたが、妻にはいつも留守番ばかりをさせていた。そこで、妻への慰労を兼ねて、退職記念旅行を画策した。第一候補は妻が大好きなハワイであったが、彼の地は物価高騰で年金生活者には敷居が高くなり過ぎてしまった。ではどこが良いか。海外で、海がきれいな所。
そういえば、友人がパラオに出向中、任期は今年度一杯と聞いていた。また、パラオはサンゴ研究者の聖地。パラオに行かない理由はない。ということで、今月、パラオに行く。

ただし、悲しいかな、研究者の性で、ファンダイビングというものができない。潜ればついサンゴを探してしまう。今回も1日はパラオ国際サンゴ礁センターの船をチャーターして、画像撮影によるサンゴ相の記録を行う予定である。かつてのパラオ熱帯生物研究所のフィールドであった、そして先人達が青春を謳歌した岩山湾で。


パラオの位置


パラオの中心地であるコロール島


コロール島と岩山湾、ならびにパラオ熱帯生物研究所跡地




歴代の研究員が重用した岩山湾の測量図(Abe, Eguchi & Hiro 1937より)


研究員が描いた当時のコロール島(佐藤 2017より)