弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

被害者遺族が語る死刑廃止~「福岡事件」再審運動から

2007年10月17日 | 死刑制度廃止
 先日、久しぶりに上京した生命山シュバイツァー寺住職の古川さんと会って、当ブログでも過日紹介した、「福岡事件」再審請求のその後について確認してきた。
 新聞の地方版(九州)などでは逐一報じられていたようだが、今年5月~6月のキャンペーン中の各種イベントは、参加総人数1600人をもって無事に消化されたとのこと(その様子の一部)。ただ、通算で6度目になる再審請求の、今年の分の署名提出を受け取った福岡高裁は、いまだ前向きな姿勢を示していない。来年春の「結審」に向けて最後の調整に入ったという関係者の情報もあり、情勢は楽観できるものにはなっていない。これから先、来年春までが本当の正念場ということになる。
 古川さんは来年春、福岡の街を「福岡事件一色にしなければ」と意気込んでいる。僕もこの場で、折りあるごとに支援を呼びかけるつもりだ。

 支援の輪は確実に広がっている。特筆すべきは、今キャンペーン中、西南学院で行なわれた「模擬裁判」への取り組みがきっかけになり、同大および九州大、久留米大の学生たちによる「福岡事件」再審運動を支える学生の会が発足したことだ。運動開始から46年を経て、司法を学ぶ若い世代が自発的にこうした活動を始めたことは、社会にとって後々まで大きな財産になると思う。同じくキャンペーン参加のために来日したシスター・ヘレン(映画『デッドマン・ウォーキング』原作者)も、彼ら学生たちに感激し、アメリカの大学生との交流促進を視野に、今後も協力を約束してくれたという。

 その学生達の会が主催に名を連ねるイベントが近々ある。
 1995年、オクラホマ・シティーの連邦ビル爆破事件で一人娘を失った遺族として、犯人の死刑に反対する立場をとって以来、死刑廃止運動に関わっているバド・ウェルチさんと、同じくアメリカで少年死刑囚の写真を撮り続けているカメラマン、トシ・カザマ(風間)さんの二人が講師を務める講演会。以下、チラシより抜粋・転記する。

 福岡事件再審運動勉強会~
 被害者遺族と写真家が語る 犯罪、出会い、変容
 10月25日(木)午後7時~9時
 大名町カトリック教会 一階講堂

  西鉄福岡(天神)駅、地下鉄天神駅から徒歩5分
  西鉄バス「西鉄グランドホテル前」下車
  ※中央区大名2-7-7 (092)741-3687
 一般500円 学生300円 申し込み不要
 問い合わせ:生命山シュバイツァー寺(0968-72-3111)

 二人が理事を務めるMVFHR(Murder Victim's Families for Human Rights)のホームページ(英語)内、“Board of Directors”からそれぞれのバイオグラフィーが読める(風間氏については、普通に検索エンジンを使えば、その写真を含め日本語の情報がいろいろ見つかる)。 
 巷では山口母子殺人事件を筆頭に、凶悪犯罪者への「報復」を煽る声が相変わらずかまびすしい。何の進歩もないこれらの感情論や、何の進歩もない「犯罪対策」で自家撞着に陥っている(ことにすら気づかない)この国にあって、ウェルチさんらの生の言葉に耳を傾けるのは貴重な機会だと思う。福岡および近在の方は、ぜひ足を運んでみてください。 
 二人はこの他、同じ内容の講演会を大阪(27日)京都(28日)でも行う。うう、しかし関東方面でないのが残念だ。
 福岡事件再審運動は、引き続き署名を募っている。シュバイツァー寺のホームページ内署名のページにて、賛同ご検討を。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。