地図のない街

日々金欠に

高田渡作品との出会いその3・【高田渡・五つの赤い風船】

2020年08月15日 06時01分00秒 | 音楽
続き3回目です。

[高田渡]作品を、なるべく発売された時系列に紹介していきます。
ただし私の手元にあるものに限ります。

記念すべき[高田渡]の一枚目のレコード(当時はレコードですね)、【高田渡・五つの赤い風船】です。
[五つの赤い風船]はタイトルでもありますが、これはバンド名です(Wikipediaでは、フォークグループとなっていますね)。
レコードではA面B面と、[高田渡][五つの赤い風船]という構成だったようです。
ただ、[高田渡]がA面であったのかB面だったのかは、いまとなっては分かりません。
CDでは[高田渡]が先に収録されています。

レコードのリリースはこれが初めてですが、[高田渡]単独でのアルバムは次に持ち越されます。

語るような歌い方は、若い頃から確立されていることに驚きます。
晩年の歌い方とあまり変わらないのです。
変わっているのは、曲間のお喋りでしょうか? (このアルバムはお客さんを呼んでの一発録音だったようです、そういう意味ではライブ盤なのでしょう)
ぼそぼそ喋って良く聞き取れません。それと、嫌味に毒が効きすぎているように思えます。

このアルバムの貴重なところは、[高田渡]自身が封印してしまった『自衛隊に入ろう』を聴けることです……と言い切りたいところなのですが、最近ストリーミングサービスで『自衛隊に入ろう』は聴けるようになりました。

このアルバムには[高田渡]の唄は7曲収録されています。
『事だよ』『自衛隊に入ろう』『冷やそうよ』この3曲を[高田渡]が作詞しています。
残りの唄は他の人の詞をアレンジして、メロディにのせて歌ってます。
[高田渡]は同じ唄をCD(レコード)に繰り返し収録しています。
先に挙げた3曲はなぜか再録はされてないようです。

[高田渡]は詩に強いこだわりを持って歌っていたそうなので、『事だよ』『冷やそうよ』は気に入ってなかったのかな、と勝手に思っています。
毒が強めで、若く、とんがっていたのかなと思わせるアルバムです。

このアルバムに収録されてある7曲は、後々別のアルバムにうつされますが、そのアルバムも廃盤になります。

なかなか聴けない最初期の[高田渡]の唄。このCDを手に入れた時の嬉しさは忘れられません。

高田渡作品との出会いその2・ハマりにハマった【27/03/03】

2020年08月15日 05時39分00秒 | 音楽
前回の続きです。
映画【タカダワタル的】を観て真っ先にCDを探しに行ったのは、地元の図書館でした。
前回、買い集めたと書いたのですが、まずは図書館からのスタートでした。
とにかく借りられるものから、聴こうといったスタンスでした。すぐ借りることができたのが【27/03/03】でした。

【27/03/03】これがCDのタイトルなのです。
2003年3月27日にライブ録音したので、【27/03/03】というわけです。
ああ00年代も遠くなりにけし、です。

このCDのに収録されていることを、ちょっとでもネタバレすると、初めて聴く方にとってはとても残念なことなので、一切書きません。

[高田渡]は全国各地でライブをしたそうです。
音楽活動は盛んだったようですが、CDはあまりありません。
特にライブ盤は少ないのです。その、少ないライブ盤の中で【27/03/03】は、ライブの始まりから終わりまで、ほぼノーカットで収録されています。

ほぼノーカット!!
唄からお喋りまで、ノーカットです。これは[高田渡]のライブ盤としては唯一の存在です。
また録音状態も他のライブ盤に比べるとはるかに良く、貴重な一枚です。
他のライブ盤は、各地でのライブを切り貼りしたもので、かつ録音状態もイマイチなので、なおさらこの【27/03/03】の存在は大きくなります。

しかもこのCD、[高田渡]と息子の[高田漣]の共演です。親子ながらの独特の空気感が最高です。

これは、ハマりにハマりました。通勤電車の行きも帰りも、【27/03/03】をひたすら聴いてました。歌詞からお喋りの一言一句まで、一時期覚えていたくらいです。
落ち込むと【27/03/03】を聴き。高揚すると【27/03/03】を聴いてました。笑いながら泣きながら。
聴けば聴くほど、どこに惚れ込んだのかわからなくなるのですが、心の隙間にスッとなにかが入ってくるのはわかりました。
そのなにかに、辛い時嬉しい時、どちらも支えてくれたのだという確信だけはあります。

さて、
このCDを初めて聴く方への、助言としてライナーノート(解説)は読まず、前知識無しのフラットな状態で、一気に聴くことをお勧めします。

あと、自宅でじっくりと聴くことも合わせてお勧めします。

このCDを聴き込んで、「ああ、手元に置いておかなくっちゃ」と強く感じて、私のCD集めの奔走が始まるのでした。

初めて聴いてから、そしていまでも、一家に一枚【27/03/03】を置くべしと本気で思っています。

[高田渡]のCDは廃盤、復刻を繰り返してるようですが、【27/03/03】は長く販売されています。ファンとしてはありがたいことです。店頭に無くとも取り寄せや、大手の通販サイトなら買えるようです。みなさん是非お手元に一枚いかがでしょう?

高田渡作品との出会い・【タカダワタル的】

2020年08月14日 23時14分00秒 | 音楽
フォークソングの歌い手[高田渡]を知ってから、10年以上経ちます。
その作品に触れて、取り憑かれた頃には[高田渡]はとっくに故人でした。
もっと早く作品に出会えていればと、CDを聴きながら思います。
けれども、いっこうに色褪せない[高田渡]の音楽性の魅力に、作品として[高田渡]は生き続けていると言っても言い過ぎではないと強く思います。

さて、私が最初に出会った[高田渡]作品はCDではなく、ドキュメンタリー映画【タカダワタル的】でした。なので[高田渡]の作品ではなく、出演している映画が正しいのですが…
友人がDVDを、なんのきっかけか忘れましたが貸してくれました。
借りておきながら1年くらい観ないで放置してました。
もうそろそろ返さなきゃなという思いと、暇だから観るかという『消極的理由』で、DVDを再生しました。

【タカダワタル的】この映画は、[高田渡]を追ったドキュメンタリー映画です。
主にライブを中心に映画は進行していきます。

初見から[高田渡]の虜になりました。
初めて観た感想は「なんだこれは?」でした。
音楽のライブなのに、歌う以上にお喋り(ぼやき?)をしているようです。
MCという方が一般的かも知れませんが[高田渡]は純粋に喋ることを楽しんでいるように見えます。
ちょいとした皮肉を笑いに変えながら、バックミューシャンやお客さんを巻き込みながら、音楽とお喋りが続きます。
お喋りばかりなので、歌うのがメインなのか、お喋りがメインなのか戸惑いました。
ライブ盤CDを買ってこういうスタイルなのだと、後々納得しました。

音楽も独特です。特に詩に特徴があります。
オープニングで歌われる「ごあいさつ」という唄からして、独特ですし、少し人を食ったところがあります。
さらりと聞き流すと良く意味が分かりません。

人を食う唄。皮肉と笑いまじりのお喋り。このどちらも嫌味になっていないから驚きです。
唄もお喋りも、そのライブの空気に合わせたように自由自在に変化していきます。
暗めの唄を歌うと、すかさずクスっと笑うような話しを持ってきます。また、その逆もあります。

ライブ会場のお客さんとのやりとりもハラハラさせて飽きさせません。
さあ、ライブ開始! といった矢先に、歌詞を見るための老眼鏡を忘れたことに気づきます。
お客さんがそっと自分の老眼鏡を差し出すと、それをかけて「いいメガネだね。自分のよりいいや。もらっちゃおう」なんてことを言い出すのです。
行き当たりばったりなのに、まるで台本にあったかのような展開です。

ライブは主に下北沢のすずなりを中心にして撮られています。
[高田渡]は放浪の人、京都や青山でのライブも収録されています。
[高田渡]の地元であった、吉祥寺での野外ライブでは親子共演です。

行きつけだった吉祥寺の『いせや』でのやり取りも必見。
井の頭公園の風景と共に流れる唄も泣かせます。

ラストは『生活の柄』で締めます。フォークソングを知る人や、ある世代の人なら知っているのではないでしょうか。
私も大好きな唄です。

そしてアンコールに応えて……


このDVDを観るまでは、自分からCDを買うことはまずありませんでした。
何を聴けばいいか、どんな音楽が好きなのか、全然わからなかったのです。
中学生か高校生の頃に買った、アニメ関連のCDが、自分の意志で買ったと言える唯一のCDだったかも知れません。

【タカダワタル的】を観て以来、[高田渡]のCDを必死になって集めました。
どんな音楽が好きなのか、この問いには未だに答えられません。けど、好きな歌い手はと聞かれたら[高田渡]と即答できます。そこまで惚れ込んでしまいました。

幸せな音楽体験は、[高田渡]からだったのです。