遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

琉球漆器堆錦菊花紋手堤重

2021年09月19日 | 漆器・木製品

堆錦(ついきん)で菊花が装飾された、琉球漆器の手堤重箱です。

幅 17.5㎝、奥行 15.6㎝、高 23.7㎝。幕末ー明治。

本体部:幅 15.3㎝、奥行 14.2㎝、高 15.3㎝。

三段重箱の四面と蓋には、菊花紋が堆錦で表されています。

 

蓋の菊紋を拡大して見ます。

 

 

 

堆錦は、琉球漆器の主要な技法の一つです。

漆と顔料をよく練って板状にした色漆を、それぞれの形に切り抜き、漆で貼り付けていき、立体的な模様を出します。

模様のパーツを一つずつ貼り付けていくので、手間がかかりますが、独特の質感が出ます。

 

 

 

台の手持の部分にも、同じく堆錦で草花が装飾されています。

琉球漆器特有の朱漆が全面に塗られていますが、台の裏底だけは黒色。

底の一角に、生産者の印のようなものがあります。

「琉球國 米次製」とあります。

沖縄が日本に組み込まれたのが明治12年(1879)ですから、それより少し前の品ということになります。

実は、この品も、故玩館改修時に片隅から出てきた物です。私は全く存在を知りませんでした。御年90になる長姉に聞いても、「知らない」 とのこと。 

古箱には、「台付三ツ組重箱 赤塗」とあります。ご先祖様が書いたのでしょうが、当たり前すぎて有難みがありません(^^;   何処の漆器かはっきりしなかった(唐物と思っていた?)ので、無難なネーミングにしたのでしょうか。

ならば私が、「琉球漆器堆錦菊花紋手堤重」と黒々と墨書きしましょうか・・・・・字が下手すぎるのでこのままにしておきます(^^;

 


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8 コメント

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Unknown (tkgmzt2902)
2021-09-19 17:56:54
目の覚めるような赤。細工も緻密。素晴らしいですね。やっぱり琉球の香りがします。
まず推錦の読み方が分からなくで検索。博物館などでみたことはありますが、読み方を勉強しました。
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tkgmzt2902さんへ (遅生)
2021-09-19 20:03:04
琉球漆器独特の赤です。
沖縄の風土が生んだ色なのでしょうね。
沖縄の琉球漆器は、戦争でほとんど焼失したと言われています。今、沖縄の博物館などに展示してある品の多くは、本土からの物だそうです。
戦争は、こんな物まで破壊しつくしてしまうのですね。
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遅生さんへ (Dr.K)
2021-09-19 20:23:41
独特の赤色ですね(^_^)
珍しいものですね。
故玩館には、いろんなものが伝世しているんですね。
こんな立派な物は、普通の家庭にはなかったのではないでしょうか。
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Unknown (ponyokinako)
2021-09-19 20:26:09
こんばんは。
詳しくはないものの、アンティークもの、美術品などが大好きです。
朱色に白っぽい菊がとても上品で
うっとりします(*´꒳`*)
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Dr.Kさんへ (遅生)
2021-09-19 21:24:29
漆器の類は、誰か好きな人がいたのですね。
その性癖を私も少しは受け継いでいるのかも知れません。
でも、漆器は年月がたつと、どうしてもヒビや割れが自然にきます。
陶磁器の方がはるかに扱いやすいです😅
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ponyokinakoさんへ (遅生)
2021-09-19 21:34:47
コメント、ありがとうございます。
故玩館に並んでいるのは、ほとんど訳のわからない物ばかりで、女性受けはしません😅
それではイカンということで、七宝やガラスも多少あります。
美は人それぞれです。さいわい、間口の広さだけはかなりですから、中にはこれっ😍という品があるかもしれません。
気軽に覗いて下さい(^.^)
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遅生さまへ (くりまんじゅう)
2021-09-20 10:00:08
塗りの色が今なお艶があり鮮やかで これは身分の高い家の持ち物
だったでしょうか。とても一般庶民が所有していたとは思えません。
菊の絵から 秋にこの重箱にご馳走を詰め紅葉見物を
琉球の富裕族が行ったでしょうか 使った後の始末も完璧で
だから今も美しさを保っているのですね。
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くりまんじゅうさんへ (遅生)
2021-09-20 10:34:07
琉球漆器は、かなりたくさん作られていましたが、輸出向けが主だったと思います。もちろん、上流階級では使われたでしょうが、庶民レベルではどうだったのでしょう。一番の問題は、造りが華奢なことです(その分、美しいともいえますが)。ですから、庶民の日常使いには向いていない品ですね。その点を徹底的に改良したのが輪島塗です。
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