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遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

古活花を探る(5)バランスの妙

2024年07月04日 | 花道具

祖父の活花写真集から、これまでのブログで紹介した花器が使われている作品をピックアップしてみました。

この花器は、以前に紹介した蛸壷花器ですね。

写真帖の活花の中で、一番多く使われていたのは、古銅唐人三脚丸型水盤です。

祖父のお気に入りだったのでしょう。いろいろな木枝、花を活けています。

次の写真は、左側が唐人丸型三脚水盤です。

右側の三日月型釣花入の活花は、オオッとおもわせますね。あちこち探してみましたが、まだ見つかってません(^^;

こうやって並べてみると、活花のパターンが同じであることがわかります。中央に、クニっと大きく曲がった太い枝をドンと置き、その右横に嫋やかな花枝を配しています。これなら、私にでもできる!? しかし、まず、良い曲がり具合の太枝を見つけるのが大変(^^;

さて、今回の活花写真の目玉はこれ。

以前に紹介した編笠細花活けです。

一本の竹の途中から編み込んで花器に仕立てた逸品です。

しかし、長さ76㎝、底径5㎝の細長い竹の花器を直立させるだけでもヒヤヒヤものですが、それに花を活ける!果たしてうまくいくのだろうか。足元を固定する物が必要なのではないか等々、次々と疑問が湧いてきて、半信半疑のまま以前のブログを閉じたのでありました(^^;

その疑問に対する明確な回答が、この写真なのです(^.^)

口元に菊?を入れ、そこから長い枝木(椿?)を下方へ伸ばしています。

こんな不安定な形が可能か?

でも、トリック写真ではなく、現実の活花です。

考えてみれば、他の写真の活花も、これほどではないにしても、少々危なっかしい造形でした。

祖父の活花を一口で言うならば、「バランスの妙」(^.^)


古活花を探る(4)祖父の活花作品集

2024年07月02日 | 花道具

先回の生花諸流聯合大会の写真帖につづいて、もう一冊、写真集が出てきました。

先回の写真帖よりも少し古いです。大正時代でしょうか。

祖父は、活花が完成した時、写真に撮っていったようです。当時、自前で写真を撮る事などありえませんから、その都度、写真屋さんに来てもらったのでしょうか(^^;

記録として残しておこうとした祖父の意をくんで、ブログにのせます。なにがしかの資料的意味はあると思います。

先に紹介した写真(バラ)と数点だぶっていますが、そのままのせます。

 

 


古活花を探る(3)諸流生花聯合大会

2024年06月30日 | 花道具

祖父の花道具類の中に、古い記念写真帖がありました。

『第一回諸流生花聯合大会』とあります。

地元の新聞社(現在もある)が主催して、昭和10年3月に開催されました。

現在、各地で同様の催しが開かれていますが、その先がけでしょうか。

集合写真からは、参加者の熱気が伝わってきます。

半分以上が、女性です。

この生花大会には、大日本則天門、正風遠州流、、岐阜未生流、正統則天門、千家古流、池之坊、舊御室御所千家御流、御室宮容眞流が参加しています。

当時の活花界の全体像を知る資料として、その一部を紹介します。

大日本則天門:

正風遠州流:

松月堂古流:

岐阜未生流:

正統則天門:

千家古流:

池之坊:

 

舊御室御所千家御流、御室宮容眞流:

流派によって、活け方に違いがあることは何となくわかりますね。

しかし、〇〇流の特徴は何か、と聞かれても、答えに詰まります(^^;

 


古活花を探る(2)古銅筒型花瓶

2024年06月28日 | 花道具

先回のブログで、祖父の古い活花写真を紹介しました。

花器に注目して写真をチェックしたところ、おやっと思う物がありました。

当初、花器は月並みで、隣りの木彫達磨ばかりが目立っていました。

しかし、よく見てみると、この花器はどこかで見かけたような気がする・・・

もう一度、花道具類を探してみました。

おお、ありました。

平凡な筒型の銅器です。

口径 8.6㎝、最大径 10.4㎝、底径 7.8㎝、高 30.5㎝。明治ー大正。

内側の底に、水漏止め処理がなされています。

かなり使い込まれた品です。

以前、花器類を紹介した時、この品はあまりに平凡なのでブログに書くほどでもないだろうと、ボツにした品です(^^;

しかし今回、まじまじと眺めてみると・・・

陶磁器にあらわれる窯変のような色・模様が表面に見られるではないですか。

斑紫(むらし)銅の一種?

上から降ってきた青緑色の霰が、

どんどん積もってきたかのような景色です。

顕微拡大してみました。

銅の地に濃紺と緑の降り物が混然一体となっています。創生期の地球を思わせます。

白黒の写真からは、想像もつきません。

頭の中でカラー化して、この銅花瓶と椿との対比を味わってみます。

それにしても、達磨さんとの組み合わせは不思議ですね(^.^)


古活花を探る(1)

2024年06月26日 | 花道具

これまで、花ぐるいであった祖父がのこした膨大な花道具を紹介してきました。

しかし、情けない事に、私も含め周りには正式に花生けをマスターした者はいません。ですから、古い花道具を前にしても、それを活用するすべがありません。

そんな折、祖父関係の物を整理していたら、活花の古い写真が出てきたので、それを手掛かりにして、これらの花道具がどのように使われていたのか考えてみます。

いずれも、大正ー昭和初期のものだと思われます。

活花大会の会場でしょうか。

何かの式典で生花を飾っているのでしょう(人物は祖父)。

これらとは別に、写真屋さんに頼んで、作品を撮っておいたのですね。

バランスの勝利?・・・・・直立しているのが不思議です。

木彫の達磨さん、以前に紹介した物とは違いますね。

と、ここで、次の写真に釘付けになりました。

豪快に活けられた松と梅・・をかろうじて支えている花器・・・・見覚えがあります。

『古銅唐人三脚丸水盤』です。

さらに、写真の花台も見つかりました。

これで、もう花(樹枝)を挿すだけですね(^.^)

でも、今時、写真のような枝ぶりの松や梅を探すのは困難。何よりも、あんなに大きくて重い枝をどうやってとめる?(^^;