遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

唐物?『古銅唐人三脚丸型水盤』

2023年07月01日 | 花道具

今回も、祖父の遺した花道具からの一品です。

口径 22.6㎝、最大径 26.0㎝、高 10.1㎝。重 2.65㎏。中国?、時代不祥。

しっかりとした造りの銅製丸型水盤です。

はっきりとした時代はわかりません。一般に、古銅といわれる銅器です。

その中でも、非常に味わいのある器肌と造形の器です。

底の銅は、周りの部分と質感が異なります。厚みは、他の部分の三分の一ほどで、とても滑らかです。

 

み込みを観察すると、平らな部分は、周りを切り取った痕跡が見られます。しかも、他よりも1㎜ほど上に出ています。

どうやら、底の平らな部分は、別に作った本体(おそらく蝋型細工)に、丸く切り取った銅板を張り付けてあるようです。なぜ、そのように手の込んだ造り方をしたのか不明です。

今回の品の一番のウリは、何といっても脚の部分。

3人の男性が水盤を支えている造形です。

しかも、3人は異なる人物です。一番上の人は、衣服がはだけていて、裸足です。他の二人は、衣服をしっかりと着こなし、靴をはいています。もちろん、容貌もそれぞれ異なります。人物が器を支える造形の器は、元々、中国由来のモチーフで、唐子が主です。日本でも、同じような銅器が作られてきました。

しかし、今回の品は、その範疇に入らない人物たちです。一人目はワイルド、二人目はターバンを巻いているようにも見え、三人目はインド風?(仏像?)の髪型です。この3人は、よくある唐人や唐子のような人物ではなく、シルクロードを想わせる大陸的な風貌です。彼らは、大きく重い丸容器を肩に担いでいるのでしょうか。それとも、重荷を肩にして、両手で必死に支えている難行苦行の最中でしょうか。いずれにしても、中国の何かのお話に出てくる人物たちでしょう。

もし、日本で、このような人物を取り上げて銅器に使う場合、有名な人でなければ意味がありません。しかし、そのような人物は思い当たりません(ただ、私が知らないだけかも(^^;)  また、日本で中国モチーフの品を作った場合には、表情はやわらかく、どことなく和を感じるものに変化します。

以上のようなことから、この銅器は中国製ではないかと考えています。

 

というわけで、品物の由来に頭を使いすぎて疲れました(^^; 

とても花を活ける余力はありません(見え透いた言いわけ(^^;)

男たちに逆立ちをしてもらって、遊ぶことにします。

3人とも、お尻に太い穴が開いています。これは一体何???

 


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6 コメント

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Unknown (tkgmzt2902(ちゃぐまま))
2023-07-01 20:52:43
全体の写真では童かなと思いましたが、一つひとつ見ると筋肉、あばら骨まで緻密に作られていて、細工の細かさと表現に感動しました。
すごいものを見せてもらいました。
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tkgmzt2902さんへ (遅生)
2023-07-01 22:46:02
私はずーっとこの人物は、唐子だとばっかり思っていました。でも、しっかり見ると大人の男たちです。しかも、tkgmzt2902さんがおっしゃるように、写実的に作られていて驚きました。このような造形は、どう考えても和風ではなく、大陸的ですね。
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Unknown (水仙)
2023-07-02 14:47:11
この花器は花を活けなくても良い、否、活けないほうが良い花器かもしれませんね。花を活けると花のほうに目が行ってしまいますから、このまま床の間に飾っておくだけのほうが良いように思いました。便宜上、花器の形はしていますが…。
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遅生さんへ (Dr.K)
2023-07-02 16:27:05
いかにも古胴という感じですね。
確かに、脚の部分は圧巻ですね!
人物表現もリアルで緻密ですよね。
だいたいにおいて、この水盤はどのようにして作られたのでしょうか、、、?
鋳造ではないですよね。
かなり、手間がかかっているようですね。
作り方からいっても、やはり、日本ではないように思えますね。
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水仙さんへ (遅生)
2023-07-02 16:55:45
ほんとうにそうですね。
花と花器とがバッティングしそうです。
これを使いこなすのには、相当の力量が必要です。
いずれにしても、私には無理。
いきおい、銅器についての蘊蓄が長くなりました(^^;
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Dr.Kさんへ (遅生)
2023-07-02 17:14:12
あまり日本人受けしそうにない風貌の人物たちです。ま、それだけ真面目に作っているともいえそうです(^^;
人物など、複雑な形態の銅器は、一般的には、蝋型鋳造による一品物と言われています。まず、蜜蝋で目的とする物を作り、細かな砂粘土で厚く覆います。熱で蝋を溶かし出した後、出来た空洞に熔融銅を流し込んで、目的とする銅器を得ます。
この品も、蝋型鋳造ではないかと思うのですが、確証はありません。
この方法では、一回に一作品しかできないので、大変高価な物になります。実際には、何らかの方法で型を作り、量産していたのだろうと思っています。
蝋型鋳造については、また、別府細工を紹介するとき、考えてみます。
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