猫と月

昔々、猫と月はとても仲良しで片時も離れず一緒にいました。猫は月に寄り添って一日中歩いていました。
猫は、ある日フッと思ったのです。『少し休みたい・・・』
そこで、月に言いました。
『ねぇ、マイ・シュガー・ムーン。今日だけちょっと歩くのを休むよ。君が1日経って、またここにやって来たときに一緒に行くからさ』
すると月は言いました。
『わかったよ。マイ・シュガー・キャット。自分は止まることが出来ないからこのまま進んで、明日君に会えることを楽しみにしてるよ。じゃね、また明日』
猫と月は生まれて初めて離ればなれになりました。離れていると余計にお互いが大切に思えてきます。
次の日の夜。待ちに待って二人は出会いました。
『会いたかったよぉ。元気でよかった』『会いたかったよぉ。元気でよかった』
二人は嬉しくて仕方がありません。時が過ぎるのも忘れるほどでした。
さて、そろそろ月は太陽に空を譲らなくてはなりません。
月は猫を見つめました。猫も月を見つめました。そして言いました。
『じゃぁね、また明日』『明日また会おうね』
それから二人はいつも一緒に歩くことはなくなりました。
猫は、夜に会えることを楽しみに、1日の半分は目を閉じて月のことを想うようになりました。
月は、猫の体を気遣って、暑い夏にはちょっと遅めにやって来て、その代わり他の季節にはちょっと早めにやって来るようになりました。

なんていうね、ウソを思い付く程ね、猫と月はお似合いです。