ｴｲﾌﾟﾘﾙﾌｰﾙの嘘のような本当の話

朝からﾁﾋﾞﾗにｲﾗｲﾗしていた

言葉を喋りだしたとはいえ、同じ言葉の繰り返し
幾度も幾度もそれに付き合わされ、あげく『いじわる、いじわる(意味はない )』の応酬…


相手にするのも心が折れて、だんだん無視する回数も増えていた




なんとなく悶々としたまま、ぼんやりﾃﾚﾋﾞを観ていたら
突然、触ってもいないﾋﾞﾃﾞｵの電源が入った


『？』と思っているうちに、勝手に録画ﾘｽﾄの場面に変わる


…ああ
そういえば先日、NHKの自閉症の特集番組を撮ったんだっけ

導かれるようにそれを選び、観賞


内容は、【自閉症の僕が飛び跳ねる理由】で有名な
作家の東田直樹さんのﾄﾞｷｭﾒﾝﾀﾘｰだ





そうだった
ｱﾀｼは、忘れていた

ﾁﾋﾞﾗを笑顔にするのに、なによりも私が笑顔でいなくてはならないということ

本当につらいのは、ﾁﾋﾞﾗ本人なのだということ

ﾁﾋﾞﾗはﾁﾋﾞﾗなりに精一杯、表現し、伝え、関わろうとしているのだということ…



日々の暮らしの中で
私はﾁﾋﾞﾗが『自閉症』であることすら、忘れていたのかもしれない

いや
『自閉症』だからどうだ、というわけではない

ﾁﾋﾞﾗはﾁﾋﾞﾗだ
それを否定することは、親のすることじゃない



すごいことじゃないか

喋ることさえできなかったﾁﾋﾞﾗが
【はらぺこあおむし】やたくさんの童謡を暗唱している‼

書くことが嫌いだったﾁﾋﾞﾗが
たくさんの色を使って、顔らしき絵を描いている‼

何を言われてもｼｶﾄしていたﾁﾋﾞﾗが
こちらのお願いを聞いて行動してくれる‼

自分から抱きついてくる‼
自分から意思表示してくる‼

すばらしいことじゃないか


私はﾁﾋﾞﾗに、それ以上の何を求めているというのか…




東田さんの言葉のひとつひとつに
頭を殴られているような気分だった





それにしても

なんで勝手に電源が入ったんだろう………