つれづれな日々のつぶやき♪

ドラマや映画、展覧会や写真展の感想をぽつぽつと。
日々の暮らしの中でふと感じたことをつぶやいたり。

『バルテュス展』に行ってきました♪

2014-06-21 | 展覧会

東京都美術館にて、『バルテュス展』を鑑賞。

公式サイトはこちら → 『バルテュス展』

第1章 初期
第2章 バルテュスの神秘
第3章 シャシー - 田舎の日々
第4章 ローマとロシニエール
素描
アトリエのドア(複製)
アトリエの再現
愛用品の展示


※公式ツイッターより。会場内の展示のようす。




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5.17(土)に放送された、NHK BSプレミアム『バルテュスと彼女たちの関係』というドラマ仕立てのアート・ファンタジー番組があった。
公式サイトはこちら →  『バルテュスと彼女たちの関係』  
美術界の裏側で調査をする探偵Cadre(額縁)。スイスの伯爵夫人と名乗る女性から、バルテュスがモデルとして描いてきた女たちについて調べて欲しいと依頼がある。Cadreはバルテュスを辿る旅に出る‥。
Cadre役は豊川悦司さん、スイスの伯爵夫人/節子夫人の二役で、節子夫人ご本人が出演。
この番組が予習、展覧会が復習のような感じで気分的にはゆったりとして鑑賞。会場自体は混雑していたが、人気のある展覧会はいつ行ってもそうなので。

バルテュスの絵はどうしてこんなにも人を惹きつけるのだろう。。
人物にあたるハイライトな光、マットな質感の絵肌。少し大きめな頭部、角ばった肩、細く直線的な手足、不機嫌そうにも憂鬱そうにも見える表情といった独特なフォルムをもつ人物たち。
観ていてざわざわとさせられる世界。いつまでも絵の前に佇んでいたくなる。

*作品番号1.『ミツ』(複製)
わずか11歳のときに描いたとは。。天賦の才に驚くばかり!

*作品番号3.空中ごまで遊ぶ少女
公園で白いドレスを着た少女が空中ごまで遊んでいる。グリーン基調の画面にドレスの白、リボンの黄色、タイツの青が目をひく。
静かな画面なのに、「ひゅっ!」と空気を切り裂く空中ごまの音が聴こえてくるような気がする。

*作品番号8.夢見るテレーズ
椅子の座面に左足を乗せ両手を頭の上で組み目を瞑る少女。挑発的にも無防備ともどちらともつかない微妙な印象を受ける。
膝や膝下のしゅっとしたシャープなラインは少女特有のもの。膝小僧に歯を立てたら、「かりっ!」とした音と共に柑橘系の青い香気がほとばしりそう。
チケットにも使われている作品。

*作品番号15.樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭)
イエロー基調の落ち着いた田舎の風景。積み木のようなかわいらしい農家が点在。画面の前方に冬枯れの大木。
近くで観るとマットな質感。でこぼこ、ざらざらした絵肌をしている。

*作品番号22.朱色の机と日本の女
節子夫人がモデルをされておられる。西洋の遠近法が使われておらず、浮世絵のような雰囲気。
朱色の小机が鮮やかに浮き立ち印象的。

*素描エミリー・ブロンテ「嵐が丘」のための14枚の挿絵
登場人物のヒースクリフに若きバルテュス自身、キャシーにアントワネット(当時の苦しい恋愛の相手)を投影しているらしく、どれもひりひりするような感情が伝わってくる。

*再現されたアトリエ
終の棲家となったスイスのグラン・シャレのアトリエをそのまま再現されたとか。
明るいキャメル色をした木材を壁や天井に使った山小屋風の部屋。
椅子やイーゼル、絵具やパレット、灰皿など。まるで、部屋の主がちょっと席をたっただけのように観える佇まい。

*愛用品の展示
菩提樹の香水を愛用されていたとか。大ぶりのガラス瓶(ウイスキーの角瓶に似ている)が展示されて。
甘く気品のある菩提樹:リンデンの香りがお好きだったのですね。。


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フライヤー。作品は「美しい日々」。




出品作品リスト。




音声ガイドプログラム。貸出料金500円。ナレーターは池田秀一さん♪(シャア!)

 


公式図録 2400円。表紙の作品は「美しい日々」。




裏表紙。作品は「地中海の猫」。




朝日新聞記念号外。出口付近にフライヤーと一緒にあったので、一部いただいてきました。


 












 






 

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『ヴァイブレータ』

2014-06-16 | 映画/DVD

映画『私の男』公開記念とやらで、先日からニコニコ生放送で、「禁断の愛と絡み合うエロス映画無料生放送」と銘打って映画を放送中。タイムシフト予約をして随時、視聴予定。
今回は、『ヴァイブレータ』を視聴。

公式サイトはこちら →  「禁断の愛と絡み合うエロス映画無料生放送」

『ヴァイブレータ』
2003年 95分
【監督】廣木隆一
【脚色】荒井晴彦
【原作】赤坂真理
【キャスト】
寺島しのぶ、大森南朋、田口トモロヲ、戸田昌宏、高柳絵理子、牧瀬里穂 ほか
【ストーリー】
自分の頭の中に氾濫する声に悩まされ、不眠や過食、食べ吐きを繰り返すアルコール依存症の31歳のルポライター・早川玲。
ある雪の夜、コンビニでひとりの若い男に目を留めた彼女は、「彼を食べたい」と言う直感に従い行きずりの関係を結ぶ。男は岡部希寿と言うフリーの長距離トラック運転手。翌朝、そのまま岡部のトラックに揺られ次の仕事先である新潟へと同行した玲は、彼と言葉や肌を重ねながら徐々に心癒されていくのであった...


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※ネタばれがありますので、ご注意くださいませ。

原作は未読。公開当時、寺島しのぶさんの全裸シーンなどで話題だったことを思い出す。気にはなっていたので、今回はちょうどいい機会だったかと。
31歳フリーのルポライター玲と28歳の長距離トラック運転手岡部が、大型トラックでコンビニから始まって川口、新潟、またコンビニへと移動し続けるロードムービー。
もっとドライでエロスな感じかと思っていたら、実は心の話だったというのが意外だった。最初から中盤までは、なかなか玲の心理描写が観ていてひりひりとする。
玲は自分自身を罵倒する心の声(幻聴ではなく)や不眠に悩み、疲弊し、それらから逃れるために、アルコール依存症(アルコホリック)、過食嘔吐(ブリミア)にはまったままの女性。
かたや、岡部は義務教育の中学すらまともに行ってない不良、ヤクザになったこともあるやばい系の過去をもつ男性。
そんな二人がたまたまコンビニで出会ったとはいえ、「旅は道連れ、世は情け」の道行きになったのは、二人とも心にぽっかりと開いた空洞を埋めたかったのではないのかな。。と。実は似たもの同士。同じ匂いをお互いに嗅ぎ分けたのだろう。

「彼を食べたかった。彼に食べられた」
ラスト、玲の心のつぶやき。そのときには、もう、頭の中で自分を罵倒する声は聞こえなくなっていた。
玲は、岡部を精神的に食べ、食べられ、心の空洞を少なからず埋めることができたのだろう。


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玲を観ていたら、アルコホリックで摂食障害だったアーティスト木村千穂さんを思い出した。この作品が公開された頃と前後して、NHKで特集番組が放送されており観た記憶がある。
木村さん曰く、「描いているときだけは、自責感や恥辱感から解放されていた」と。リンクしているなぁ。。と。
そういえば、最近、読んだ記事(なんだったかは失念)に、「表現とはなんなのか?」というような内容で、木村さんが「絵と文を描く・書くことで吐き出していたら、最近は描けなくなった」とあった。表現とはそういうものなのか。。


ちなみに、こちらが検索して見つけてきた木村千穂さんの画文集「中庭の少女」。表紙絵からインパクトが大きいけど。。

 


まだ、何作品もタイムシフトで予約してあるので、順次、視聴していこうかな♪ 

 

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『あなたを抱きしめる日まで』

2014-06-13 | 映画/DVD

映画館にて、『あなたを抱きしめる日まで』 を鑑賞。

【製作】イギリス・アメリカ・フランス 98分
【監督】 スティーヴン・フリアーズ
【出演者】 ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガン、ソフィー・ケネディ・クラーク、アンナ・マックスウェル・マーティン、ミシェル・フェアリー、バーバラ・ジェフォード ほか
【受賞歴】
●2013年度アカデミー賞 主要4部門ノミネート
●2013年度英国アカデミー賞(BAFTA) 主要4部門ノミネート
●2013年度ゴールデン・グローブ賞 主要3部門ノミネート
●ヴェネチア国際映画祭 脚本賞受賞
●トロント国際映画祭 観客賞次点入選
【ストーリー】
その日、フィロミナは、50年間隠し続けてきた秘密を娘のジェーンに打ち明けた。
1952年、アイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは家を追い出され、修道院に入れられる。そこでは同じ境遇の少女たちが、保護と引き換えにタダ働きさせられていた。フィロミナは男の子を出産、アンソニーと名付けるが、面会は1日1時間しか許されない。
そして修道院は、3歳になったアンソニーを金銭と引き換えにアメリカへ養子に出してしまう。以来、わが子のことを一瞬たりとも忘れたことのない母のために、ジェーンはBBCの政府の広報担当をクビになった元ジャーナリストのマーティンに話を持ちかける。愛する息子にひと目会いたいフィロミナと、その記事に再起をかけたマーティン、全く別の世界に住む二人の旅が始まる──。

公式サイトはこちら →  『あなたを抱きしめる日まで』 


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※ネタばれがありますので、ご注意くださいませ。

田舎の素朴な老女フィロミナが、元ジャーナリストのマーティンと息子を探すロードムービー。
50年前のアイルランド、カトリック修道院がどういったものであったのかは知らないのだが、明らかに人道を無視した行為がまかり通っていたことに驚き憤りを感じる。信仰の教義を楯に、正論を振りかざし、最後まで謝罪さえもしない老シスターこそが一番恐ろしい。。
ただ、息子に会いたい一心ではるばるアメリカまで出向き、そこで、すでに息子は死亡していることを知るフィロミナ。彼女の心情を想うと涙が流れる。
フィロミナの息子に会いたいという願いは、結局、叶わなかった。。 
しかし、アンソニーは故郷のアイルランドと産みの母を愛していた。これがせめてもの救いのような気がする。
実話に基づくというストーリーは、作品に重みと奥行きを与えているように思う。アイルランドの町並みと風景が美しく、より感慨深く。
ラスト近く、フィロミナが車椅子の老シスターに向かい、「あなたを許します。許すということは苦しい(罰)のだから」という台詞がある。なんて悲しくて、切ない言葉なんだろう。。
自分と息子、ほかの大勢の母子たちを苦しめてきた老シスターに向かって、彼女は許しを与えるのだ。それこそがフィロミナの信仰であり、生き方なのだろう。とても美しい生き方だとしみじみ思う。

それにしても、女性は「産む性」である宿命なのだと改めて思わざるを得ず、なんとも複雑な気持ちになってしまった。
男性は「産まない性」なので、自分自身の肉体には全く犠牲を強いられない。痛くも痒くもないのである。相手の女性が妊娠したかどうかすら知らない場合もあるだろうし。
ストーリー中の台詞に、「何故、神は快楽(セックス)を与えて欲望を禁じるのか?」というのがある。至極真っ当な疑問だと思う。
神と人、信仰(カトリック)と罪。人が罰を与えるという名目で、他者の人生に干渉し破壊していってもいいのだろうか?
老シスターが逆ギレしながら、「私を裁くのは神だけです!」というくだりがあるが、では、あなたは神なのか?罰を与えるというのなら、それは、神が与えるべきではないのか?
観ていて一番不快な人物が、敬虔な老シスターだというのが救われない気がした。。

今もまだ、イギリス、アメリカの両国で互いに親子が探しあっているという現実に胸が痛む。
こんなことは、もう二度と起こって欲しくない!と、本当に強く思う。

 


 

 

 


 

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『銀ニ貫』

2014-06-09 | テレビ/ドラマ/DVD

NHK木曜時代劇『銀ニ貫』を視聴終了。

2014年4月10日(木)~ 6月5日(木)
総合 毎週木曜 午後8:00~8:43放送 [43分・連続9回]

【原作】『銀ニ貫』高田郁(「高」の字は、はしごたか)
【脚本】森脇京子、岡本貴也
【演出】梛川善郎、小島史敬
【音楽】サキタハヂメ
【キャスト】
林遣都…松吉
松岡茉優…真帆
善次郎…塩見三省
芦田愛菜…真帆(少女時代)
お里…いしのようこ
ほっしゃん。…嘉平
尾上寛之…梅吉
板尾創路…半兵衛
石黒賢…彦坂数馬
風間俊介…建部玄武
映美くらら…お広
浦浜アリサ…お咲
渋谷天外…山城屋与平
団時朗…松葉屋藤三郎
萬田久子…お和歌
津川雅彦…和助
山口智充…語り(テンちゃん)
【ストーリー】
江戸時代の大阪天満。
松吉は仇討ちで父を亡くし、自分も討たれるかというところを、偶然居合わせた寒天問屋・井川屋の主人・和助に銀ニ貫で救われた元武士の息子。
生きるために井川屋の丁稚となった松吉だが、武士を捨て、商人の道を歩むことに心が揺れていた… 

公式サイトはこちら →  NHK木曜時代劇『銀ニ貫』 


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※ネタばれがありますので、ご注意くださいませ。

実力のあるキャストさんとスタッフさんたちが丁寧に創りあげたドラマ。こういうドラマはなかなか民放では観ることができないね。。

時代劇だけど現代にも通じる人が生きていくということの辛さ、悲しさ、そして喜びがぎゅ~っと詰まった作品。
松吉、真帆、善次郎ほかのみんなも真面目に必死で生きているのに、これでもかと次々と降りかかってくる災難や不幸。
それでも人は明日も生きていかなければならない。
真帆の台詞で「生きていてよかったと初めて思った。。」というのがあり、涙せずにはいられなかった。
ともすれば重くなりがちなストーリーを、天神さんの狛犬テンちゃんの語りでほっとさせられる。天神さんの狛犬さんだったのね。どうりで、いつまで経ってもお姿が変わらないわけだ。
松吉役の林遣都さん、きりりとした顔立ち、難しい感情を表現していて、いい役者さんだなぁ。。と。恥ずかしながら、今まで存じあげず。

人には「物語」が必要なんだというのを読んだことがある。
「物語」。嘘、虚構といってしまえばそれまでだが、その嘘や虚構が人を癒やし、励ますのだと思う。
目の前の現実ではないからこそ、その世界観にどっぷりと浸ることができるし、どんな悲惨な状況でも観ていることができる。

素敵なドラマをありがとうございました。

 

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