つれづれな日々のつぶやき♪

ドラマや映画、展覧会や写真展の感想をぽつぽつと。
日々の暮らしの中でふと感じたことをつぶやいたり。

いのうえシェイクスピア『鉈切り丸』~W・シェイクスピア<リチャード三世>より

2013-12-01 | 舞台/DVD

いのうえシェイクスピア『鉈切り丸』~W・シェイクスピア<リチャード三世>より を東急シアターオーブにて、11月29日(金)開演13:00を観てきました。

【脚本】青木豪
【演出】いのうえひでのり
【音楽】岩代太郎
【照明】原田保
【美術】二村周作
【衣装】小峰リリー
【音響】井上哲司
【振付】川崎悦子
【映像】上田大樹
【キャスト】
森田剛:源範頼
成海璃子:巴御前
秋山菜津子:イト
渡辺いっけい:梶原景時
千葉哲也:武蔵坊弁慶
山内圭哉:大江広元
木村了:和田義盛
須賀健太:源義経
宮地雅子:比企尼/女郎屋の女将
麻実れい:建礼門院
若村麻由美:北条政子
生瀬勝久:源頼朝
【ストーリー】
源氏と平氏が天下を二分する戦乱の世、鎌倉期。
「鉈切り丸」こと源範頼は天下を取らんがため、悪事の限りを尽くして駆け上がる。
しかし、一瞬にして転がり落ちることに‥

「逃げろ、逃げろ。どこまでも逃げろ。この先どこへ逃げようが、この国は鉈切りの支配下になる!」
美しく産まれた者にとっちゃ、地獄の有様も、醜く産まれた者にとっちゃ、極楽の蓮池―――

【上演時間】
1幕 85分
休憩 20分
2幕 95分
合計 3時間20分

公式サイトはこちら → 『鉈切り丸』 


★★・‥…―━━━―…‥・・‥…―━―…‥・・‥…―━━━―…‥・★★ 


※ネタばれがありますので、ご注意くださいませ。

客入れは壮大な雰囲気の音楽。

美術は、上手・下手側に天井高までの建築物。上部に生演奏の演奏者の方々。下部は開口していて入退場に使用。
中央から奥に向かってニ段の段差。
丈の高い竹林が幾つかあり、人力での可動式。先日観劇した『ムサシ』と同じ感じのもの。
これが一列に並ぶときに、後ろでは転換が行われ鎌倉の海岸、遊女屋、頼朝の屋敷、寺などに場面が変わります。

プロジェクションマッピングも使用され、背景に空を飛ぶ鳶や平家の亡霊、建礼門院の生霊などが映し出されて。
照明が繊細で美しい。血しぶきの赤、心象を表すような青。ピンスポットが客席にも向けられ、複雑に交差して幻想的。
下手に鉈切り丸が立つとき、壁にせむしのシルエットが映し出されるのがおどろおどろしく。

衣装も豪華。
効果も殺陣の音、飛び散る血飛沫、天から舞い落ちてくる鳶の羽、ラストの雨や水溜りと盛りだくさん。
遊女、雅楽、巫女などの舞が華を添えて。

華やかな時代絵巻の体で、重いテーマがあるストーリー。
残虐非道の限りを尽くす鉈切り丸ですが、何故か不快感はあまりなく、あっけない最後には哀れみすら覚えました。
鉈切り丸に関わる言葉では、鳶がモチーフ or キーワード。空を飛翔する姿と鳴き声、舞い落ちる羽、鉈切り丸の呼びかけなど。
醜く生まれついたが故に、見下され虐げられた者が見る夢。【 鳶=空・飛翔=上昇志向】という図式なのかと。
もうひとつは、大地。こちらは建礼門院の生霊が語る言葉。
一族を滅ぼされ、我が子すらも亡くした母親の怒りと悲しみ。【大地に還る(帰る)ために生まれてくる=生きる】ということなのかと。

ラスト、鉈切り丸が霧雨が降る中をずぶ濡れになりながら刃に倒れるシーンに、蜷川版『祈りと怪物』のトビーアスが重なりました。
どちらも森田剛さんが演じており、片足が不自由な青年ですし。

実力派揃いの役者さんばかりで安心の布陣。
森田剛さん、ほぼ出ずっぱりのうえ、せむしで片足を引きずり、激しい殺陣、膨大な台詞と相当負荷がかかると思われる役を熱演され圧巻でした。
成海璃子さん、初舞台で体を張って熱演されておられたんですが、時折、台詞が聞き取りにくく、声が裏返るのが気になってしまいました。
秋山菜津子さん、愚かな女性を凄みのあるふてぶてしさで体現されて。
渡辺いっけいさん、千葉哲也さんは安定感たっぷり。
山内圭哉さん、おどおどした挙動不審気味がおかしくてかわいらしくもあり。
宮地雅子さん、女郎屋の女将がおかしくて重いストーリーの中で和みました。比企尼の鳥居や屏風はもはや被り物ではないような(笑
麻実れいさん、建礼門院の生霊となった姿が凄みがあって怖い。圧倒的な存在感と立ち姿。元宝塚トップの方は、みなさんどうしてこうもすごいのかと。
若村麻由美さん、男勝りな北条政子がぴったり。衣装もとてもお似合いでした。
生瀬勝久さん、生瀬さんらしさ全開。ちょこちょこと笑いを取りつつ、最後はしんみりと。

カーテンコールは3回。1回目、三方礼。2回目からはスタンディングオベーション。


★★・‥…―━━━―…‥・・‥…―━―…‥・・‥…―━━━―…‥・★★


フライヤーの表裏いろいろ。










パンフレット 2000円。カラー写真満載のずっしり重い410g。
登場人物相関図やキャストさん同士の対談など。




★★・‥…―━━━―…‥・・‥…―━―…‥・・‥…―━━━―…‥・★★ 


余談。
年末恒例のお祭り、る・ひまわりの舞台『歳末明治座 る・フェア ~年末だよ!みんな集合!!。~』と何気に、鎌倉期の源平合戦という設定がかぶっていますね~
お陰でしっかり予習ができました^^
『鉈切り丸』の宣伝も、る・ひまわりさんなのですね。おもしろい偶然(笑


 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« みずみずしい日々 第8回 よ... | トップ | 二十四節気「大雪」と雪虫。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

舞台/DVD」カテゴリの最新記事