Fireside Chats

ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

中国ビジネスでの現地化努力

2005年04月12日 20時27分22秒 | PR戦略
日中関係の地合が従来になく悪化している。
しらとりじゅんさんのブログに、リアルな現地の写真が掲載されていた。
イトーヨーカ堂やジャスコが反日活動の対象になっているようだ。
今日の日経流通新聞の終面の記事によると、アサヒビールや味の素も排斥の対象となっているという。

20世紀には憧れの対象だった日本企業は21世紀の声を聞くに及んでその地位をずるずると後退させて現在に至っている。その理由を思いつくまま挙げると、
欧米系の企業が本格進出を果たし、日本企業を上回る評価を得始めた。
現地資本が力をつけ、ハイアールやレノボを筆頭にグローバルブランドに名を連ね始めた。
これに対し日本企業は、いつまでも東京の本社に顔を向け続け、現地化に失敗している。
雇用や昇進制度でも差別を設け、現地採用社員の気持ちを掴みきっていない。
真偽のほどは確認していないが、こういった指摘をかねてから耳にする。

確かに、小泉首相の靖国参拝をはじめとした問題はあるだろう。
中国政府が反日教育を行い、国内の不満のガス抜きとして日本叩きを見過ごしているとの指摘も当たっているかもしれない。
しかし、中国ビジネスにこの種のリスクが存在していることは最初からわかっていたことだろう。
日中関係がどうあれ地元に中国社会に愛されるための努力が、いまこそ日本企業に求められているのではないだろうか。

例えば「希望工程」という社会貢献活動がある。中国の貧困地域における未就学児童の就学を援助するプロジェクトだ。
日本からもキヤノンや全国各地のNPOなどが協力しているが、なんといってもこのプロジェクトを支えているのがコカコーラだ。
希望工程により僻地にいくつもの学校が建てられているが、コカコーラの援助で建てられた学校にはコカコーラの社名やマークが掲げられている。
このため、中国奥地には、コカコーラを学校のことだと信じている人が多くいるという。
こうした地道な活動の積み重ねがあってこそ、国籍を超えて支持される強靭な評価を得ることが出来るのだろう。

8月7日、愛地球博会場で国際シンポジウムを開催する。広報の観点からこうした問題を考えようというものだ。
たまたま、中国での日本に対する風あたりはアゲインストであるが、こういうときこそ、個々の企業の努力が必要であり、ひいてはそれが日本に対する好意も醸成するのだろう。