Fireside Chats

ファイアーサイド・チャット=焚き火を囲んだとりとめない会話のかたちで、広報やPRの問題を考えて見たいと思います。

世耕議員とブロガー懇談会

2005年12月30日 22時54分33秒 | PR戦略
年末になり世耕議員のTV出演が増えている。
年末に出版された著書「プロフェッショナル広報戦略」にテレビが飛びついたということだろうか。
世耕議員が師走のロシア出張中に、時差ボケを利用し深夜に校正を済ませたという、特急出版のタイミングがうまくフィットしたようだ。

たまたま、ロシアからの帰国直後、12月12日にインタビューして書いた記事が28日発売の「PRIR」に掲載された。
この号には、IPRAのグランプリをとった電通PRの花上君、ガ島通信の藤代さん、東洋大学の井上邦夫助教授、愛・地球博への出向から戻った青田君、その愛・地球博でプロデュースしたシンポジウムに招聘したシャンドウィック北京のデビッド劉氏などが登場。

さて、世耕氏には1時間ほどインタビューしたが、記事に出来たのは、紙面の都合により、その10分の一ぐらいでしかない。記事に出来なかったところでエキサイティングな話しが多くある。

その中でも気になっているのがブロガー懇談会。
これまで2回開催されたが、今後も年に5~6回のペースで開催したいという。
また、長期的にはブロガーに対し自民党本部への入館証も発行し、政調部会の傍聴も視野に置きたいとのこと。
平河クラブからの反発の可能性をたずねると、何かしらの軋轢があったとしても乗り越えるべき障害だと思うとの返事。
鎌倉市や長野県で始まった記者クラブの液状化現象がいよいよ永田町をも見舞うかもしれない。
政治ニュースの一次情報が市民に公開されるということだ。

もし、ブロガーが自民党本部を闊歩するようになると、その動きは民主党に波及し、地方自治体からも追随の動きが出てくるだろう。
平河クラブの(そして既存ジャーナリズムの)弱点は、政局報道になると必要以上に張り切るのに、政策報道にはからきし弱いところだ。いまでも自民党は政策マターは平河クラブではなく各省庁の記者クラブで発表する傾向がある。

民主党もシンクタンク「プラトン」をたちあげ、自民党もシンクタンクの慣らし運転を開始している。今後は政策報道の重要性が増すだろう。
にもかかわらず、既存ジャーナリズムはポスト小泉の政局動向ウォッチングに地道を挙げる体質から脱皮できないだろう。
おろそかになる政策報道をカバーするのが興味本位でテーマを追いかける個人ブロガーなのではないか。、
とはいえ、個人ブログがビジネスとしては成立しがたいことは、泉あいさんの状況が示唆していると思う。
オーマイニュース型は日本ではうまくいかないだろう
と湯川鶴章さんは指摘する。ぼくもJANJAN、ライブドアPJ、ツカサネットなどパブリックジャーナリストを抱え込んだオーマイニュース型の組織ジャーナリズムは日本では困難だと思う。
求められているのは、ボランティア精神に裏打ちされた“独立した”個人ブロガーをつなぐ仕掛けであり、そのビジネスモデルではないだろうか。

世耕議員のインタビューに続き、今回の衆院選で自民党広報の戦略パートナーとして「コミュニケーション戦略チーム」にも参加したプラップ・ジャパンの矢島社長にもインタビューを行ったが、こちらは口が堅かったですねえ。
まあ、黒子としての配慮は当然でしょうね。