気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

モーヴ色のあめふる 佐藤弓生 

2015-07-07 22:58:47 | 歌集
はじめての駅なつかしい夏の午後きいたことない讃美歌に似て

天は傘のやさしさにして傘の内いずこもモーヴ色のあめふる

人は血で 本はインクで汚したらわたしのものになってくれますか

ふる雨にこころ打たるるよろこびを知らぬみずうみ皮膚をもたねば

歩いたらわたし手紙になりたいよ空をくぐってあなたにとどく

空はいまうすむらさきに万国旗ゆれてわたしは意志をもつ船

あなたの耳は入り江のかたちあかつきの星を波打ちぎわにとどめて

ひとの恋ひとの死いくつも映せども空の鏡はわすれる鏡

曲がるたび月みえかくれするバスに耳たぶうすく透けゆく子ども

捨てられた子どもがつどう港あり月のいちばんあかるいところ

(佐藤弓生 モーヴ色のあめふる 書肆侃侃房)

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佐藤弓生の第四歌集『モーブ色のあめふる』を読む。

幻想的で夢のような世界。私自身は現実的で理屈っぽい人間なので、このような作品はできない。憧れのような気持ちで読ませていただいた。

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2 コメント

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Unknown (teruo)
2015-07-08 02:04:09
自分はそうだからと、いちがいには言えない。

〈もうだれも乗らぬ小舟は忘れられゆつくり解くるその舫ひづな〉  『雲ヶ畑まで』近藤かすみ

たとえばこの一首をこのなかにひそませても、十分に幻想的ですこしの違和感もないのですから。
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Unknown (かすみ)
2015-07-08 10:16:24
古い歌まで読んでくださって、ありがとうございます。
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