「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.411 ★ 意味が分かるとドン引きする…中国人が庶民を「ニラ」にたとえる  残酷な理由

2024年06月21日 | 日記

DIAMOND online (柯 隆:東京財団政策研究所主席研究員)

2024年6月20日

Photo:PIXTA

習政権による民営企業への締め付けが強くなり、中国では経済成長の失速に一層拍車がかかっている。金融市場は国有銀行によって独占されており、担保資産を有さない零細企業は違法な地下銀行に頼らざるを得ない状況で、零細企業の新たな資金調達先や一般家計の手軽な投資先として、ネットファイナンスが注目を集めているという。しかし、ルール整備が追いつかず、詐欺やトラブルも多発しているようで……本稿は、柯隆『中国不動産バブル』 (文春新書)の一部を抜粋・編集したものです。 

「繰り返し収穫できる韮のようにコスパがいい」搾取されるだけの低所得層

 この社会では富が下から上へ吸い上げられるスピードが予想以上に速い。中国の消費を牽引し支えてきたのは一握りの富裕層と中間所得層である。低所得層は搾取されるばかりで、なすすべはない。清華大学の歴史学者である秦輝教授は、中国経済にとっての比較優位は低人権の優位であると指摘している。経済開発において人権を無視できるため、あり得ない低賃金を実現でき、中国は世界の工場になれたということだ。

 中国では庶民のことを野菜の「韮(にら)」と揶揄することが多い。韮は収穫するとき、根元を残して切って出荷するが、しばらくすると新芽が出てくるので何回も収穫できる。効率がいいという点で、中国の庶民は韮とよく似ているのだ。

 習近平政権が誕生したころ、10年前の中国の大都市はネオンが輝き、高級レストラン前には外国製の高級車がずらりと並び、贅沢三昧の食事を楽しむ高級幹部と会社経営者たちで賑わっていた。10人1卓の食事は飲み物込みで安くても数千人民元、高い場合は数万、数十万人民元も珍しくない。当時の為替レートで考えると、数十万人民元は数百万円になるので、日本の接待ではありえない金額だ。中国の会社経営者からすれば、数十万人民元でそれなりのビジネスの商談が決まると考えれば安いものなのだろう。

 むろん、庶民はこんな贅沢な生活とは無縁である。中国の農家のエンゲル係数(食費÷消費支出)は依然50%以上である。都市部の住民の平均エンゲル係数も40%以上だ。2023年10月に亡くなった李克強前首相は在任中の記者会見で、中国には月収が1000元前後の人口が6億人存在すると述べたことがある。習政権は共同富裕を提唱し、貧困はすでに撲滅したと豪語しているが、少なくとも世界銀行と国連の基準では、中国の貧困問題はまだ深刻な状況にあると言っていい。

 コロナ禍は中国社会に影を落とし、中国人の消費行動も大きく変化している。中小零細企業は相次いで倒産し、大手不動産デベロッパーはデフォルトを起こし、中国経済を牽引するエンジンが失速してしまった。最近の消費者物価指数はマイナス推移となり、内需が大きく落ち込んでいる。経済成長の失速に拍車をかけているのは、習政権による民営企業への締め付けの強化である。

 同時に反スパイ法が改正・施行され、外国企業は中国にある工場をほかの新興国へ移転している。これらの動きのいずれもが、失業者を増やすことにつながっている。コロナ後、日本にはインバウンドの外国人観光客が戻ってきているが、中国人観光客については思ったより戻ってきていない。多くの中国人は消費より家計を守る貯蓄性向を高めている。

零細企業の資金調達は身近な人からの借金か地下銀行が主

 中国人の投資行動の特殊性について説明しよう。中国の金融市場は国有銀行によって独占されている。民間のプライベートセクターには旺盛な資金需要があるが、よほど強い担保資産を持っていなければ、国有銀行から融資を受けることができない。多くの民営企業は「自己資金」によって起業する。民営企業の自己資金とは、自らの蓄えと、親戚や友人からの借金である。

 日本人は一般的に親戚や友人同士の間でお金の貸し借りをしないが、中国では盛んにおこなわれている。そのぶんトラブルも多いが、ビジネスの助けにもなる。とくに民営企業の場合は私的に投資を受け入れることが多い。

 原材料の仕入れや従業員のボーナス支給などで大量の現金が必要になった場合は、往々にして地下銀行からお金を調達せざるを得ない。むろん中国では、地下銀行は違法な存在だが、中小零細企業の資金需要に国有銀行が応えないため、地下銀行は必要不可欠な存在となっている。

 中国で、地下銀行がもっとも発達しているのは、民営の小規模製造業が多い浙江省や福建省などの沿海地域である。一般的に地下銀行は地域を跨いで大きく成長する可能性が低い。貸し倒れのリスクを管理するため、地域密着型でなければならないからだ。地域密着型で商売をすると、お金を借りに来るのはたいてい顔見知りの中小企業の経営者になる。お金を借りる経営者も、期日通りに返済しないと地域での名声に傷がつくので、よほどのことがなければ貸し倒れが起きない。

 タイやインドなどの新興国でもマイクロファイナンスが盛んであるが、中国ほど小規模製造業が成長していない。例えばスリランカでは、農業関連のマイクロファイナンスが盛んに行われている。主に穀物の種の仕入れ、化学肥料と農薬を購入するために、農民はマイクロファイナンスを利用して資金を調達する。

 中国では一部の民営企業がキャッシュフロー管理に成功した。吉利やBYDなどの自動車メーカー、アリババやテンセントなどのビッグテック企業、滴滴出行(配車アプリ)、新東方(進学塾)などは目覚ましい成長を成し遂げた。これらの民営企業が成功した背景には、厳格なキャッシュフロー管理に加え、国有企業との競争を避けてニッチなビジネスに専念したこと、巨大な国内マーケットに立脚していることなどがある。

収益性と安全性がネックとなり くすぶる中国の投資需要

 中国人のお金の貸し借りについて、近年大きな変化がみられる。従来は地域着型がほとんどだったが、2000年代に入ると、インターネットを介して資金の融通が行われるようになった。P2Pと呼ばれるネットファイナンスである。P2Pは2010年代以降に急成長を成し遂げた。その背景には、旺盛な資金需要、投資意欲の強い個人、中央銀行の金融引き締め政策、インターネットの普及などがある。

 問題は借り手の資格審査がきちんと行われていないため、詐欺などのトラブルも多発していることだ。借り手の資質に加えて、P2Pサービスを提供するプラットフォーマー企業の資質も問われはじめている。もともと中国では金融市場が開放されておらず、金融サービス業への参入は厳しく規制されている。しかし、インターネットというものの特殊性と借り手企業の旺盛な資金需要に加え、一般家計の投資意欲も強いため、P2Pを中心としてネットファイナンスは急成長した。それに対する監督とルール化が追いつかず、トラブルが多発するようになった。

 コロナ禍を経て、中国では貯蓄性向が高まり、投資需要が盛んになっている。しかし、安心して投資できる金融商品が少ないため、中国人の巨額の貯蓄はマグマのようにうねりながら右往左往している。国有銀行を介する金融仲介は非効率であるため、中国における資金配分は極端に効率が悪い。家計の投資行動は、収益性、安全性と流動性のバランスを取りながら、ポートフォリオを最適化すると思われる。

『中国不動産バブル』(文春新書)柯隆 著

 日本人は安全性と流動性を大事にする傾向が強いように思われるが、中国人は収益を最大化しようとする傾向が強い。収益性を大事にしすぎるあまり、リスク管理が粗末になる傾向がある。証券投資がその例だが、不動産投資も同じである。不動産バブルの崩壊は、不動産投資を行っている家庭にとっては悪夢となるだろう。

 なぜ中国人はリスク管理を粗末にしてまで利益を最大化しようとするのか。中国人が欲張りだからといわれると、そうかもしれないが、これまでの成功体験が背景にあるのかもしれない。この30年間、中国は奇跡的な経済成長を成し遂げ大成功した。そのため中国人は、将来に対して無意識のうちに楽観的になっている。成長するのが当たり前であり、成長が鈍化するのは一時的なことに過ぎないと思っているのだ。将来を見通すバランス感覚に著しく欠けているといえよう。

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No.410 ★ エリートは海外移住、低所得者は密入国…祖国を捨てる「中華民族  大移動」が始まった!

2024年06月21日 | 日記

DIAMOND online (柯 隆:東京財団政策研究所主席研究員)

2024年6月20日

Photo:PIXTA

所得層に応じた住宅供給が充実している日本に対し、持ち家文化の根強い中国では公営住宅の整備が不十分で賃貸マーケットも育っておらず、低所得層の住む家が不足。さらにコロナ禍の横暴な隔離措置を目の当たりにし、共産党統治体制に絶望した人々が自由を求めて次々と国外脱出を試みているという。本稿は、柯隆『中国不動産バブル』(文春新書)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜ中国で賃貸マンションが敬遠されるのか

 日本では、若者は大学を卒業して就職したら、自宅から通う人は別として、多くの人は賃貸のアパートを借りて住む。日本の賃金体系は今でも年功序列であるため、ある程度年数が経って給料が徐々に上がれば、結婚に向けてマンションを買う人が多い。なかには、結婚してからも賃貸マンションやアパートに住む人も少なくない。賃貸で家を借りるメリットには気楽さがあるだろう。

 とくに財産形成を考えないのであれば、気楽に生活したい人にとって賃貸で家を借りるのは決して悪い選択ではない。また、低所得層の人々は家賃の安い公営住宅に申し込むこともできる。日本では、各々の所得層の多様化した需要に応える形で住宅の供給も多様化しているのだ。

 それに対して、中国では不動産バブルの崩壊以降も、賃貸に乗り換える人が少なく、公営住宅も整備されていない。低所得層は住む家がなく、大都市の一角がスラム化している。数年前に北京市政府は街の景観をよくするため、「低端人口」(低所得層の人々)を本籍地に強制送還する措置を講じた。当時の北京市長は習政権常務委員の一人である蔡奇だ。

 都市部にスラム街が出現すると、治安が悪くなるのは確かだが、だからといって住民を本籍地に強制送還するやり方は、明らかに乱暴すぎるといわざるを得ない。北京市の経済力であれば、日本の公営住宅のような住宅を整備して、抽選で入居者を受け入れることができるはずである。これらの「低端人口」と呼ばれる低所得層の人々は、大体が市内で飲食や宅配などのサービス業に従事していた。彼らが本籍地に強制送還されてから、北京市民の生活に支障が出るようになったと報道されている。

 中国の都市部では公営住宅が整備されていないだけでなく、民間の賃貸マーケットも大きく育っていない。賃貸マーケットが育つには、貸すほうと借りるほうがいずれも契約をきちんと守らなければならない。しかし中国では、法律の整備は進んでいるものの、法の執行がきちんと行われていない。契約を一方的に破棄しても罪に問われないため、賃貸契約の文化が根付かないのだ。トラブルになって自分だけが損をすることを恐れ、部屋を貸そうとする人も借りようとする人もなかなか現れない。

資産形成としての不動産購入

 中国人が賃貸を忌避するもう一つの理由は、資産形成ができないということである。仮に10年間、賃貸で家を借りた場合、せっせと毎月家賃を払っても、退去時には手元になんの財産も残らない。中国人は日本人に比べて財産形成に関心が高く、さらにマイホームはステータスシンボルであるため、なんとか家を購入しようとする。ただし、ビジネスを行う人、とりわけ、店を経営する人たちは例外である。彼らはたいてい不動産を買わずに、賃貸で店舗を借りる。ビジネスは失敗のリスクもあり、家賃は店の経費として計上できるからであろう。

 総じていえば、中国人は自分が住む家としてマイホームを買う志向が強い。人口の多い国であるため、みんながいっせいにマイホームを購入しようとして、不動産ブームが一気に巻き起こった。実需と潜在需要を考えて、投資家も中国の不動産市況を楽観的に見通すようになった。一方で、経済発展とともに、所得格差は急速に拡大した。富裕層はマイホームを所有するだけではなく、投資目的で2戸目、3戸目の物件を買っていった。不動産ブームが過熱しすぎたため、中国政府は銀行に通達を出して、2戸目以上の物件を購入する個人に対して、頭金を引き上げたり、住宅ローンの金利優遇を引き下げたり、さまざまな措置を講じるよう命じた。

 ただ、もっとも重要な固定資産税はいまだに導入していない。富裕層は投資目的で2戸目や3戸目の物件を購入するが、ほとんどの人はその物件を賃貸に出すことはない。物件の値上がりを待って転売し、キャピタルゲインを狙うのだ。一般的にマイホームの購入は実需であり、不動産バブルにはなりにくい。投資と投機が盛んになることで、バブルは大きく膨らむようになるのだ。

 日本も中国も貯蓄率の高い国であるが、両者には異なる面がある。日本人はお金をためても、無理にリターンを求めず、多くの人は金利がゼロでもせっせと銀行に預金する。それに対して、中国人はリターンを求める傾向が強い。個人の金融資産は直接的ないし間接的に不動産市場に流れていき、不動産バブルを拡大させたといえる。

伝統的な家族観は崩壊し 若者の生活の西洋化が進む

 中国人の伝統的な生活様式と家族意識といえば、大家族と親孝行である。伝統的な祝祭日といえば、春節(旧正月)、清明節、中秋節などであるが、いずれも家族団らんのためのものであると考えられている。日本のお正月に相当する春節は、家族が集まって一年の終わりを祝い、新たな一年の無事を祈るもっとも重要な祭日である。清明節は先祖を祭る祭日で、墓参りする人が多い。中秋節は中秋の名月を観賞しながら一家団らんする重要な祭日である。

 しかし、40余年間の改革・開放を経て、中国人、とりわけ若者の生活は西洋化しており、核家族化も進んだ。中国社会では、伝統的な生活様式は徐々に消えていっている。伝統的な祭日は休みにこそなるが、家族が集まらないことも多くなっている。また、春節の風物詩である爆竹は環境汚染をもたらすとして、都市部を中心に多くの地域で禁止・制限された。若者にとって伝統的な祭日は、中身のない大型連休になっているようだ。とくに、独身の若者は実家に帰ると親に結婚を急かされるため、家族と集まるのを嫌がる人が少なくない。

 かつて中国では、親孝行が儒教の美徳とされていた。今は「啃老(こうろう)」、すなわち、親に支援を仰ぐ若者が増えている。日本では若者は自立して実家を出た後、たまには顔を見せに帰ってくるが、基本的に経済的に自立しているのがほとんどである。中国では、むしろ親の支援を頼りにする若者が多い。

 中国でも出生率は低下しており、子供を産まないか、産んでも1人だけである。その結果、中国の家庭の形は完全に変わってしまった。子供が多い大家族は過去のことで、今はほとんど「4─2─1」という逆三角形の構成になっている。4は高齢者で、2は現役の夫婦であり、1は子供である。公的な介護保険は整備されておらず、4人の高齢者を夫婦2人で介護することは現実的に不可能である。

コロナ禍が共産党統治体制への絶望をもたらした

 こうしたなか、中国はコロナ禍に見舞われた。中国政府は厳格な隔離措置を軸とするゼロコロナ政策を3年にわたり実施した。当時、新型コロナウィルスの性質が十分に知られていなかったため、隔離措置を講じるのはやむを得なかった。ただ、ゼロコロナ政策を実施する現場では、1人の陽性者が見つかったら、エリア全体のすべての人を専用の施設に強制的に閉じ込めるなど暴力的な行為が多々あった。隔離施設に連れていかれた住民の家には、医療関係者や警察官とみられる人たちが許可なく侵入し、家中に消毒液をまき散らし、ペットも手あたり次第殺処分してしまった。こうした行動は中国の法律に違反する可能性がある。

 上海などの大都市では数カ月にわたって隔離措置が実施され、食料の供給も停止させられた。病院は医療崩壊に陥り、持病のある患者が治療を受けられず、犠牲になった人はSNSなどでたくさん報告されている。中国のエリート層は政府に対し不信感を抱き、コロナ禍が終息する前に自宅マンションを含めて保有する物件をすべて売りに出し、海外へ移住した。

 一方、低所得層の人々は先進国へ移住しようとしても、正規のビザを取得することが難しい。多くの人は中国のパスポート保持者に対してビザを免除するベネズエラなどの南米の国へ一旦入国し、そのあと陸路でメキシコに入り、アメリカへの入国を試みる。2023年に入ってから、メキシコからアメリカへ密入国する中国人が急増していると、アメリカのメディアは報道している。

『中国不動産バブル』(文春新書)柯隆 著

 アメリカに密入国しようとする低所得層の多くは英語ができないはずである。アメリカに無事に着いたとしても、どのように生活をするのだろうか。なぜ彼らは祖国を捨てて、アメリカに渡ろうとするのか。中国人は幼いころから学校などで厳格な愛国教育を受けているにもかかわらず、どうして自分の国を捨てるようになったのか。

 答えは一つしかない。彼らは祖国というより、共産党統治体制に心から絶望したのだろう。中国の諺には「哀莫大於心死」というものがあるが、どんな大きい悲しみも、心が死ぬことと比べると、たいしたことではないという意味である。心が死ぬというのは、まさに絶望だ。コロナ禍の3年間は、中国が40年にわたり築いた経済の奇跡と人々の幸せな生活を一変させ、すべてを壊してしまった。

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No.409 中国シャオミ、EVに注目集まる裏でスマホ絶好調 1~3月のスマホ出荷台数34%増、純利益は倍増

2024年06月21日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年6月19日

小米は新規参入したEV事業に注目が集まっているが、祖業のスマートフォン事業も好調だ。写真は同社のハイエンドスマホ「Xiaomi 14 Pro」(小米のウェブサイトより)

中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の業績回復が一段と鮮明になってきた。

同社が5月23日に発表した2024年1~3月期の決算によれば、売上高は755億700万元(約1兆6347億円)と前年同期比27%増加。一時損益などを除いた調整後純利益は64億9100万元(約1405億円)と前年同期比で倍増し、アナリストの事前予想を上回る増収増益を達成した。

なお、市場情報サービス会社のファクトセットのデータによれば、アナリストの事前予想の平均値は売上高が742億7000万元(約1兆6079億円)、調整後純利益が55億1000万元(約1193億円)だった。

海外の需要回復が追い風に

シャオミの四半期売上高は2023年4~6月期を底に増加に転じていたが、2024年1~3月期は増収幅が大きく拡大した。その原動力になったのは、売上高の6割以上を占めるスマホ事業の好調だ。

決算報告書によれば、シャオミの1~3月期のスマホ出荷台数は前年同期比33.7%増の4060万台に上った。その結果、スマホ事業の売上高は465億元(約1兆67億円)と、同32.9%増加した。

ここ数年、シャオミはハイエンドスマホの販売拡大による利益率の引き上げに注力してきた。だが、1~3月期のスマホ1台当たりの平均単価は1144.7元(約2万4782円)と、前年同期の1151.6元(約2万4931円)からわずかながら低下した。

その理由についてシャオミは、平均販売単価が(中国市場より)低い海外市場での出荷台数が伸びたためと説明している。

シャオミのスマートフォン事業の好調は、グローバル市場の需要回復のタイミングを(競合他社よりも機敏に)つかんだ結果だ。市場調査会社のカナリスのデータによれば、2024年1~3月期の全世界のスマホ出荷台数は2億9600万台と、前年同期比10%増加。伸び率が直前の2023年10~12月期の8%から2ポイント上昇した。

そんな中、シャオミは1~3月期のグローバル市場で前年同期より3ポイント高い14%のシェアを獲得。メーカー別ではサムスン電子、アップルに次ぐ世界第3位のポジションを維持した。

スマホ事業は収益性も改善している。決算報告書によれば、1~3月期のスマホ事業の粗利益率は14.8%と、前年同期より3.6ポイント上昇。シャオミの説明によれば、スマホ用のストレージなど中核部品の調達コスト低下が寄与したという。

第1号モデル「SU7」を3月下旬に発売したEV事業は、小米の4~6月期以降の業績に寄与する見通しだ(写真は同社ウェブサイトより)

シャオミはスマホ事業のさらなる成長を図るとともに、新規参入したEV(電気自動車)事業との相乗効果の発揮を目指している。

「2024年から2026年にかけて、中国で新たに1万店の実店舗をオープンし、既存店舗と合わせて2万店体制を築く。さらに既存店のスペース拡張やアップグレードを進め、EVの展示ニーズにも対応していく」

同社総裁の(社長に相当)盧偉冰氏は、決算説明会でそう述べた。

EVの販売目標を引き上げ

シャオミは3月28日、EV(電気自動車)の第1号モデル「SU7」を発売し、価格性能比の高さで大きな注目を集めた。同社によれば、SU7は4月24日までの約1カ月で5781台を納車し、その時点の(キャンセルを受け付けない)確定受注残が7万5700台に達したという。

SU7の発売時点では、シャオミは最初の1年間の販売目標を10万台に定めていた。しかし盧氏は、この目標を12万台に引き上げたことを決算説明会で明らかにし、次のように述べた。

「現時点のEV事業の課題は、顧客の納車待ち期間が長すぎることだ。しかし6月からは、工場で2交代制の生産体制をとる。それにより生産能力が倍増し、月間1万台を突破できる見通しだ」

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は5月24日

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