「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.381 ★ 習近平に「給料半分カット」された国民が爆発寸前…!中国「経済  無策」でよみがえる、「パナソニック」を襲った「チャイナリスク」の記憶

2024年06月06日 | 日記

現代ビジネス (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティングフェロー)

2024年6月5日

「空回り」をつづける習近平

photo by gettyimages

 

 「不動産や雇用の分野で改革の突破口が必要だ」  習近平国家主席は5月23日に山東省で開かれた座談会でこのように強調した。

  習氏は27日の共産党中東政治局の集団学習会でも同様の主張を行っている。  国家安全保障を最優先としてきた習氏だったが、改革開放以来、最悪の経済危機を前に方針転換を余儀なくされている。  人口14億人の中国は過去40年間、所得と富の比類なき向上を享受してきたが、今は違う。習氏は前任者が経験しなかった難題に直面している。

 3年に及ぶゼロ・コロナ政策の後遺症や不動産バブルの崩壊、猛烈に進む少子高齢化などが災いして繁栄をもたらしてきた成長エンジンが失ってしまったからだ。気がかりなのは、中国政府が経済を立て直すために何をすべきかわかっていないことだ。  不動産市場対策が発表されたが、救済策としてはあまりに小規模だ。

なんと「給料が半分」に…

 雇用対策についても口先ばかりで、実効性のある政策が見えてこない。  7月に予定されている第20期中央委員会第3回総会(3中総会)で抜本的な対策が打ち出されるとの期待もしぼみつつある。むしろ「中国政府は改革開放以前の政策に戻り、土地の公有制も復活させるのではないか」との懸念が生まれている。

 政府が一向に経済を回復させることができないことから、中国では猛烈な「賃下げの嵐」が吹き荒れている。中国では昨年、雇用者の約3分の1が給与を減らされた(5月27日付ブルームバーグ)が、今年はさらにひどい状況になっているようだ。

 一時期、花形職業と言われてきた銀行員も厳しい状況に置かれている。 5月の給料が前月の半分に減額されたケースが相次いでおり「これでは暮らしていけない」と若手中心に転職の動きが本格化している(5月26日付RecordChina)。

強烈な監視のウラで蓄えられた「怒り」

没落する中国の中間層を目の当たりとしても、習近平は有効な経済政策を打ち出せない Photo/gettyimages

 政府の支援が厚いとされる主要国有企業でも同様だ。特に鉄鋼業界で給与カットと支払いの遅延が急増している。  中小企業は悲惨の一語に尽きる。経営者たちは巨額の借金を抱え、生活の基盤である自宅や車を失い、借金返済のためだけに働いていると言っても過言ではない状況だ。

 40年間以上にわたって中国社会の動きをフォローしてきた米ハーバード大学のアンソニー・サイチ教授は「中国の中間所得層の間でこれほど高いレベルの不満やいらだちを見聞きしたことがない」と指摘している。  だが、中国政府は表向き平静を装っている。

 中国公安部は5月27日に開いた記者会見で「中国は殺人事件の発生率が最も低く、銃発砲事件も最も少ない国の1つだ」と昨年の治安状況を総括した。

 中国は世界に冠たる監視国家だ。都市では2人に1台の割合で監視カメラが設置され、1270万人の中国人が警察の監視下に置かれている(5月27日付ブルームバーグ)。

 21世紀に入り、治安維持に充てる公共安全費が常に国防費を上回っている。政府は力尽くで国民の不満を封じ込んでいるわけだが、これがいつまでも続く保証はない。  中国政府にとって致命的なのは、「豊かさな生活を提供する代わりに共産党が国を統治する」という国民との社会契約が失効しつつあることだ。

くすぶる「火種」とよみがえる「チャイナリスク」

 習氏への不満は政治エリートから中間層、そして社会全体に広がりつつあることから、「中国社会は見かけほど安定しておらず、明日に何らかの異変が起きてもおかしくない」との声が聞こえてくる。

思い返せば、2008年のリーマンショック直後も中国は今と同じような雰囲気だった。当時何があったのかを思い出してみれば、よい。中国にあるパナソニック工場や諸外国の現地工場で起こった暴動である。  その当時の様子と、これから中国で起こりかねない政情不安はどのようなものだろうか。

 後編「習近平の「経済無策」と「国民監視」で、いよいよ「日本叩き」の動きが…! いま警戒すべき「リーマンショック」と「福島処理水」のヤバすぎる関係」でじっくりとお伝えしていこう。

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