「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.228 ★ 中国重視のアップル、iPhoneの生成AIはバイドゥ製か AI競争で後れ、パートナーとの協業で開発加速

2024年03月31日 | 日記

JBpress (小久保 重信)

2024年3月28日

上海新店舗のオープニングセレモニーで自らドアを開けるクックCEO(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルがAI(人工知能)の自社端末への導入に関して、中国のIT大手、百度(バイドゥ)と協議していることが分かった。バイドゥは「文心(Ernie)」と呼ぶ、大規模言語モデル(LLM)を手がけており、中国の主要なAI企業の1社である。

iPhoneの生成AIにはパートナー企業が必要

 AI分野で後れを取ると指摘されるアップルは、スマートフォン「iPhone」などの端末のAI機能を強化する取り組みを進めている。自社でも生成AIモデルを構築しているが、パートナーとの協業も検討している。

 先ごろは、米グーグルの生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」をiPhoneに組み込む交渉を進めていると、米ブルームバーグ通信が報じた。アップルは対話型AI「Chat(チャット)GPT」を手がける米オープンAI(OpenAI)とも協議中だと報じられている。

 ところが、中国は「グレート・ファイアウオール(金盾)」と呼ばれるインターネット検閲システムがあるなど情報統制に厳格で、国外の生成AIを認めていないとみられる。米国製などは、当局の意に反するコンテンツを生成する恐れがあると考えているようだ。

中国では外国製生成AI利用できず

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、中国政府は自国のサイバー空間規制当局による審査を経ない生成AIモデルの公開を認めていない。この規則は2023年8月に導入された。当局はこれまでにバイドゥのErnieなど40以上のAIモデルを承認しているものの、オープンAIのChatGPTやグーグルのGeminiなど、日本でも人気のあるAIモデルは中国で利用できない。

 アップルの競合である韓国サムスン電子の最新スマートフォンは、中国国外でGeminiを、中国国内ではバイドゥのErnieを利用し、AI機能を強化している。そこでアップルもバイドゥと提携し、中国向けiPhoneにErnieを採用したいと考えているようだ。

 アップルは、中国のユーザーが作成する写真やドキュメント、メッセージなどのデータを国営のパートナー企業が運営するクラウド上に保存している。これは、収集した顧客データを国内に保存することを義務付ける同国法を順守するための措置だ。

 生成AI分野でも中国企業と組めば規制順守の作業や手続きを軽減できる。アップルは、中国での事業展開には地場企業との提携が必要と考えたようだ。中国語AI機能において競争力が高まるといったメリットもある。ただ、情報筋によると、アップルとバイドゥの協議はまだ初期段階にあるという。

アップル、中国スマホ市場で苦戦

 アップルにとって中国は最大の海外市場だが、最近は地場スマホメーカーの台頭により苦戦している。香港の調査会社カウンターポイントによると、24年年初からの6週間における、iPhoneの中国販売台数は1年前に比べ24%減少した。アップルのシェアは15.7%に低下し、順位は4位に転落した。

 一方、中国ファーウェイ(華為技術)の販売台数は64%増と大きく伸びた。英ロイター通信によると、ファーウェイの中国シェアは9.4%から16.5%に拡大し、順位は2位に浮上した。アップルが中国で直面している課題には、景気低迷に伴う消費の低迷や、中央政府機関職員に対するiPhoneの使用制限などもある。

クックCEO「中国ほど重要なサプライチェーンはない」

 こうした中、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は最近、あらためて中国市場を重視する考えを示した。同氏は24年3月20日に中国を訪問。同日、アップル上海オフィスで開かれた交流会で、記者団に対し「アップルにとって中国ほど重要なサプライチェーン(供給網)はない」と述べた(英フィナンシャル・タイムズの記事)。

 翌日の3月21日には、上海に同社の海外最大規模となる新店舗を開設。オープニングセレモニーでは、クック氏が自ら店のドアを開け、詰めかけた顧客を出迎えた(米アップルの発表資料)。

 24年3月12日には、中国で研究開発施設を拡張・新設し、同国への投資を拡大すると発表した。上海にある研究センターを拡大するほか、24年後半に深圳に新たな応用研究所を開設する。アップルはこれまで、中国の応用研究施設に10億元(約210億円)以上を投じてきた。これらの施設では、世界中の同社技術者や設計チームに材料・構造分析情報などを提供している(アップル中国の発表資料)。

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No.227 ★ 中国シャオミ、初のEV発売 価格21.5万元から テスラ追撃

2024年03月30日 | 日記

ロイター編集

2024年3月29日

中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)は28日、同社初の電気自動車(EV)「SU7」の発表会を開き、同日から発売すると発表した。北京で撮影(2024年 ロイター/Sarah Wu)

[北京 28日 ロイター] - 中国のスマートフォンメーカー、小米科技(シャオミ)は28日、同社初の電気自動車(EV)「SU7」の発表会を開き、同日から発売すると発表した。

価格は標準モデルで21万5900元(約2万9872ドル)と、米EV大手テスラ(TSLA.O), opens new tabの主力セダン「モデル3」の24万5900元を3万元下回り、テスラを追撃する格好だ。

そのほか、「Pro」モデルの価格は24万5900元、上位モデル「Max」は29万9900元に設定した。

高級スポーツカー、ポルシェのスタイリングに類似したスポーティーなデザインで、シャオミの雷軍最高経営責任者(CEO)は、性能の多くはテスラやポルシェを上回ると述べた。

28日に受注を開始し、最初の27分間で5万件の注文が入ったという。

標準および上位モデルの納入は4月下旬に開始する。年末までに中国39都市の211店舗で発売される予定。国外での販売計画については明らかにしていない。

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No.226 ★ 中国のEVオーナー「買って後悔」が急増する背景 マッキンゼー調査、充電インフラの不足が露呈

2024年03月29日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年3月28日

中国のEVオーナーは充電インフラ不足への不満を強めている。写真は中国の公共充電ステーション(運営大手の星星充電のウェブサイトより)

「次の買い替えではEV(電気自動車)を選ばない」——。中国のEVオーナーの5人に1人が、購入したことを後悔しているという驚きの調査結果が明らかになった。

調査を実施したのはアメリカのコンサルティング大手、マッキンゼー・アンド・カンパニーの中国法人だ。同社は3月12日、「マッキンゼー中国自動車コンシューマー・インサイツ」と題する年次レポートの2024年版を発表。このレポートの2023年版では、次の買い替えでEVを選ばないとの回答はわずか3%だったが、2024年版ではそれが22%に跳ね上がった。

EVオーナーの不満の背景には、EVの急速な普及に充電インフラの整備が追いついていないことがある。

地方都市では「後悔」が5割超え

マッキンゼーのレポートによれば、中国で「三級都市」「四級都市」と呼ばれる(充電インフラが脆弱な)地方都市では、EV購入を後悔しているオーナーの比率が54%に上った。一方、「一級都市」(北京市、上海市、広州市、深圳市の4大都市)や「二級都市」(省都クラスの大都市)では、同比率は10%にとどまった。

EV向け充電ステーションの業界団体のまとめによれば、中国全土の公共充電ステーションの設置箇所数で省・直轄市別のトップ10は広東省、浙江省、江蘇省、上海市、山東省、湖北省、北京市、安徽省、河南省、四川省の順だった。いずれも経済的に発展したエリアであり、充電インフラの地域格差が広がっている実態を示唆している。

 

マッキンゼーのレポートによれば、経済的に発展した北京市、天津市、上海市、広東省、浙江省、江蘇省の6省・直轄市では、EVの新規販売台数と公共充電装置の新規設置台数の比率が2020〜2022年は7.1対1だったが、2023年には6.6対1に低下した。充電ステーションの建設が加速し、装置1台当たりのEVの数が減少した(充電しやすくなった)ことを意味する。

ところが、上記の6省・直轄市以外の地方では、同比率が2020〜2022年の7.6対1から、2023年は9.1対1に上昇した。経済発展が(相対的に)遅れた地域では、充電インフラ不足でEVの使い勝手が悪化したのだ。

中国のEVメーカーは自前の充電インフラの拡充を急いでいる。写真は理想汽車が中国各地で建設中の充電ステーション(同社ウェブサイトより)

そんななか、中国の消費者の間では電池だけで走行する純EVより、ガソリンを給油すれば走り続けられるPHV(プラグインハイブリッド車)やレンジエクステンダー型EV(訳注:航続距離を延ばすための発電専用エンジンを搭載したEV)を評価する声が増えている。

顧客のEV離れを防げるか

マッキンゼーのレポートによれば、PHVやレンジエクステンダー型EVの購入動機について、オーナーからは「長距離ドライブの際に電池切れを心配する必要がない」「通勤などの短距離移動ならEVモードだけで必要十分な航続距離がある」などの回答が多かったという。

また、EVは(中古車市場がまだ小さく)新車価格の高さの割に中古車としての評価額が低い傾向がある。このことも、EVオーナーの不満の高まりにつながっていると、レポートは分析している。

EVメーカーの立場では、充電インフラの整備を加速して利便性を高め、顧客のEV離れを防がなければならない。

例えば、レンジエクステンダー型EVを主力にしてきた新興メーカーの理想汽車(リ・オート)は、同社初の純EVの高級ミニバン「MEGA」を3月1日に発売した。それに先立ち、理想汽車は独自の急速充電ステーション網の建設を開始。2024年末までに中国全土に2万基の充電装置を設置する計画だ。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は3月12日

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No.225 ★ Amazon、中国系新興の競合「Temu」「SHEIN」に警戒 米国の若者を中心に利用者急増

2024年03月29日 | 日記

JBpress (小久保 重信)

2024年3月27日

(写真:當舎慎悟/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムが、2つの中国系新興電子商取引(EC)サービスの台頭を警戒していると米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。

 (1)中国でネット通販「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」を展開するPDDホールディングスが手がける越境EC「Temu(ティームー)」と、(2)アパレル越境ECを手がける「SHEIN(シーイン)」である。

利用者急増の新興EC、アマゾンの脅威に

 TemuとSHEINはいずれも米国で急速に人気を集めている。Temuは2022年秋に米国でサービスを始めた。米調査会社のセンサータワーの推計によると、Temuはそれ以降若者を中心に利用者を増やしており、米国における月間アクティブユーザー数は、24年1月に5140万人へと増加した。

 SHEINの月間アクティブユーザー数は同じ期間に、2090万人から2600万人へと増えた。一方、アマゾンの月間アクティブユーザー数は同期間に6960万人から6700万人へと減少した。

 関係者によると、アマゾンではこれまで、米小売り最大手ウォルマートと米ディスカウントストア大手のターゲットを主な競合として扱ってきた。だが最近はTemuとSHEINが社内会議の話題の中心になっている。この2つの新興ECプラットフォームを自社サービスの優位性に対する重大な脅威と捉え、注視しているという。

アマゾンとは異なる物流モデル

 アマゾンと、これら2つの新興ECには決定的な違いがある。アマゾンは最近、米国での物流体制を見直した。全米の自社物流網を8つの地域に分割し、地域それぞれで自己完結できる「リージョナリゼーション(地域化)」と呼ぶオペレーションに切り替えた。これにより、顧客に最も近い場所に在庫を配置し、配送の迅速化とコスト削減を図っている。アマゾンは、23年に40億個以上の商品が当日または翌日に到着したと説明している。

 これに対しTemuとSHEINは越境ECである。基本的に米国の倉庫に大量の在庫を置かず、注文が入る都度、中国から輸入する。配達までの期間は延びるが、それを割安な価格で補っている。WSJによれば、TemuとSHEINは、待つことをいとわない顧客が存在することを見いだし、低価格戦略でアマゾンというEC巨人に対抗している。

TikTokも米国でEC参入、アマゾンの対応とは

 しかし、状況は変わりつつあるようだ。Temuは最近、アマゾンのビジネスモデルを取り入れ始めた。自社のECマーケットプレイスを米国と欧州の販売業者に開放したのだ。これによりTemuは配送コストを削減し、より高価な商品を販売できるようになるとアナリストは分析する。

 中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社は23年に米国でECサービスを始めた。TikTokとSHEINはアマゾンのお膝元である米ワシントン州シアトルで従業員数を拡大している。米国における物流・サプライチェーン構築の一環としてアマゾンの従業員を引き抜いているという。

 アマゾンは、自社事業の脅威になる可能性があるサービスが現れると、特別チームを編成しライバルを徹底的に調査・研究する。そうした取り組みには、値下げによる対抗、M&A(合併・買収)、戦略の模倣などがあるとWSJは報じている。

 同社は10年にベビー用品の通販サイトの米ダイパーズ・ドット・コム(Diapers.com)などを傘下に持つ米クイッツィを傘下に収めた。このときのM&Aもアマゾンという企業の行動パターンを表しているとWSJは指摘する。

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No.224 ★ 米財務長官、中国の過剰生産能力巡り建設的協議期待 次回訪中で

2024年03月29日 | 日記

ロイター編集

2024年3月28日

 3月27日、イエレン米財務長官は、次回の訪中で、中国の過剰生産能力や補助金による悪影響に関し「建設的な」協議を望んでおり、報復の可能性について議論するつもりはないと言明した。2月27日、サンパウロで撮影(2024年 ロイター/Carla Carniel/File Photo)

[ワシントン/ノークロス(米ジョージア州) 27日 ロイター] - イエレン米財務長官は27日、次回の訪中で、中国の過剰生産能力や補助金による悪影響に関し「建設的な」協議を望んでおり、報復の可能性について議論するつもりはないと言明した。

イエレン長官は米南部ジョージア州アトランタ郊外の太陽電池モジュール工場訪問後、記者団に対し、中国の産業政策に対する米国側の懸念を中国当局が理解することが重要と指摘。「欧州でも同様の懸念が見られるが、私は報復に出ることは望んでいない。建設的に何ができるかを見極めたい」と語った。

MSNBCとのインタビューでは、太陽光パネルや電気自動車(EV)などクリーンエネルギー産業に対する中国政府による補助金の悪影響について中国に警告する意向とし、次回訪中で「これらの産業の一部における過剰生産能力について中国側に伝え、米国だけでなく、最も親密な同盟国の多くに安価な製品があふれ、市場に望ましくない影響を与えていることを理解してもらうつもりだ」と語った。

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