goo blog サービス終了のお知らせ 

「天狗の中国四方山話」

”中国の今”~中国に関する耳寄りな話~

No.489 ★2024世界AI大会開催、セキュリティーガバナンスが重要課題に  中国上海

2024年07月18日 | 日記

JETRO上海事務所

2024年07月16日

2024世界人工知能(AI)大会・AI世界ガバナンスハイレベル会議(WAIC、注1)が7月4~7日に、中国・上海市で開催された。大会・会議事務局の発表によると、上海世界博覧中心を会場とし、過去最大規模の展示面積(5万2,000平方メートル)に500社以上が出展。延べ約30万人が来場した。展示製品・技術は1,500点以上、うち初公開となった製品・技術は56点に上り、大規模言語モデル(LLM、注2)、半導体チップ、ロボット、自動運転技術など多岐にわたった。

中国企業では、AIサービスの開発・提供を積極化するIT大手の華為技術(ファーウェイ)、騰訊科技(テンセント)、百度(バイドゥ)をはじめ多数の企業が出展したほか、初出展した中国・動画配信大手のbilibili(ビリビリ)は、自主開発した大規模言語モデルを初公開した。外国企業では、電気自動車(EV)大手のテスラや、クラウドコンピューティングサービスのアマゾンウェブサービスのほか、グーグルやマイクロソフトの中国現地法人など米国企業の出展が目立った。

また、開催期間中に24件の重大プロジェクトの契約が締結され、投資額は合計400億元(約8,800億円、1元=約22円)に達した。

会場の入開催口(ジェトロ撮影)

ビリビリのブース(ジェトロ撮影)

初日の4日に行われた開幕式には、ブラジルのルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官や、新開発銀行(NDB、通称:BRICS銀行)のジルマ・ルセフ総裁(元ブラジル大統領)、国連工業開発機関(UNIDO)のゲルト・ミュラー事務局長をはじめ、国際機関、各界の代表者ら約1,000人が出席。中国政府からは李強首相が参加し、中国はAIのイノベーションや発展を協力に推進するとともに、セキュリティーガバナンスについても、高度に重視していると強調した(注3)。同会議では、「AIグローバルガバナンス上海宣言(注4)」が発表された(2024年7月10日記事参照)。

同日午後に開催されたAIグローバルガバナンスフォーラムには、陰和俊科学技術部長、龔正上海市長、馬朝旭外交部副部長が出席し、龔市長は、同市がこれまで取り組んできた経験を生かし、AIグローバルガバナンスの構築にさらに貢献していくと述べた。

(注1)中国政府が2018年から上海市で毎年開催しているAI関連製品の展示会・会議イベント(2023年の様子は2023年7月14日記事参照)。

(注2)自然言語処理の分野で使用される深層学習モデルの一種。膨大な量のテキストデータを学習し、人間に近い自然な言語生成や理解の実現を目的としている。

(注3)この大会・会議の開催に先立ち、中国の工業情報化部など4部門は7月2日、AI標準化の体系的な計画の強化と、AIを活用した新型工業化の構築の促進に向けて「国家人工知能(AI)産業総合標準化システム構築ガイドライン」を発表した(2024年7月10日記事参照)。

(注4)上海市が運営する日本人向け情報ウェブサイト上に同宣言の日本語訳が掲載されている。

(趙姝萍)

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動


最新の画像もっと見る

1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
レールガン (特殊鋼ネジ工場)
2025-04-24 22:44:38
最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。