「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.392 ★ 中国経済への大打撃は不可避…「世界最大の貿易国」の根幹だった台湾 企業が相次いで脱中国を決めた背景 「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業 

2024年06月12日 | 日記

PRESIDENT Online (邱 海涛:ジャーナリスト)

2024年6月10日

中国の「貿易」は台湾という外資に支えられている。たとえば「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業で、中国本土の企業は4社に過ぎない。そんな台湾企業の中国脱出が増えつつある。なにが起きているのか。ジャーナリストの邱海涛さんの著書『中国の台湾武力統一が始まる』(徳間書店)より一部をお届けする――。(第1回)

中国で稼いでいる「両面人」

中国本土の人々が中台経済問題について話すとき、「両面人」という言葉をよく使う。

これは中国本土で大きく稼ぎつつ、台湾独立を支持して中台統一を妨害しようとする二面性をもつ台湾の商人を指す。

このような「両面人」は決して少なくなく、中国本土では重要な経済投資を考慮しつつ、これらの人物への対応に頭を悩ませている。

たとえば、台湾3大工業グループの一つ、遠東グループの創始者である徐有庠(じょゆうしょう)と息子の徐旭東(じょきょくとう)は典型的な「両面人」と見なされている。

徐有庠は江蘇省の生まれで、1949年、国民党が台湾に撤退した際、資産をもって台湾へ渡った。台湾で遠東グループを設立し、紡績、エネルギー、化学製品、建材、金融、電信など多岐にわたる分野で事業を展開し、現在では大手企業グループの地位を確立している。

台湾独立を目指す民進党支持に転じている

財を成した徐有庠は、国民党政権を支持し、多額の政治資金を提供してきた。

徐有庠は2000年に死去したが、会社の経営を受け継いだ息子の徐旭東はのちに台湾独立を目指す民進党支持に転じ、2020年には32人の民進党候補者に合計4100万台湾ドルの政治資金を提供したと報じられている。

32人の民進党候補者に合計4100万台湾ドルの政治資金を提供(※写真はイメージです)

中国で嫌われている民進党

民進党は中国本土でもっとも嫌われている。

人前で冗談でも「民進党にも良い点がある」などと言ったら、売国奴と見なされるほどだ。

2021年11月、台湾遠東グループの中国法人に、行政管理部門から5億元近い罰金が科された。その理由として、経営上の不正があったとされるが、台湾では、中国政府による圧力だという声も少なくない。

「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業

いうまでもないが、中国は世界最大の貿易国だ。

WTOによれば、2021年の中国の輸出入総額は6兆510億ドルで、アメリカを29%上回り、日本の4倍にもなる強さを示している。

だが、この結果には中国本土の台湾企業が大きく貢献している。

2020年の中国の対外貿易輸出金額ランキングでは、上位10社のうち、フォックスコン、ASUS、クアンタ・コンピュータなど6社が台湾企業で、残り4社はファーウェイ、中国石油天然ガス集団有限公司などの中国本土系企業だった。

「輸出金額トップ10企業」のうち6社は台湾企業(※写真はイメージです)

つまり、10位の半数以上が台湾企業なのだ。

輸出金額ランキング100位では、台湾企業の存在が一層際立つ。前記の企業に加え、英業達、仁宝など、全体の3分の1に相当する31社が台湾企業なのである。

中国ではかつて「外資=台湾企業」だった

中国の改革開放政策は、1978年に鄧小平が提唱し、1980年代以降、人民公社の解体などとともに本格的に推進された。

当時の経済状況は非常に厳しかった。6億5000万人の農民は、衣食には困らないものの、土地が極端に少なく、働く場所が不足していた。社会問題として余剰労働力の処遇が急務となった。

都市部では、破綻寸前の国営企業が人員削減を迫られ、リストラ対象の労働者は4000万人に達していた。これらの人々も就職先を探していた。

そんななか、台湾企業が本土に進出してきた。1980年代当時、外資企業といえば、おもに台湾企業のことを指していた。香港企業も存在したが、規模では台湾企業に及ばなかった。

日本企業やアメリカ企業など、ほかの外資が進出してきたのは90年代後半になってからだ。

「同じ中国人」の共感を利用して成功した

台湾企業は、日本企業から学んだ生産や品質管理のノウハウを活かし、「同じ中国人」という共感や認識を利用しながら、中国本土でビジネスを成功させた。

当時(1990年代以降も含めて)、中国本土で名を馳せた台湾企業としては、フォックスコン(ファウンドリー)、ASUS(パソコン)、クアンタ・コンピュータ(パソコン)、英業達(パソコン)、友達光電(TFT-LCD)、奇美電子(TFT-LCD)、頂新(食品)、統一(食品)、宝成(スポーツ用品)などがある。

統計によると、1990年から2021年の間に、台湾企業8万社が中国本土で4万4577件のプロジェクトを実施、1940億ドルを投資し、8000万人の労働者を雇用した。

間接的な影響も含めると、台湾企業の進出により2億人以上が就職の機会を得たことになる。

これらのデータを見れば、改革開放初期に台湾企業が果たした経済的役割の重要性は明らかだろう。

台湾企業の進出により2億人以上が就職の機会を得た(※写真はイメージです)

台湾企業の撤退が始まった

ところが、2008年頃から風向きが変わり、台湾企業は苦境に立たされるようになった。台湾企業は撤退を始め、次々と東南アジアやインドへ工場を移した。

そのおもな理由は、次のようなものだ。

①労働力コストの増加。2007年に「中国労働契約法」が施行され、基本給が上昇し、福利厚生の基準も高まった。これは法律による強制実施であり、台湾企業にとっては製品コストの増加を意味した。1995年と比較して、コストは15倍に膨らんだ。
②外資企業に対する優遇税制の廃止。以前は外資企業の平均税率は13%だったが、新しい納税制度で本土系企業と同じ30%に引き上げられた。さらに、製品輸出時の税還付も17%から13%に引き下げられ、企業利益が減少した。

6000社あった台湾企業が4000社に減少

③人民元の切り上げによる輸出取引コストの増加。
④インフレーションによるコスト増。原材料や燃料の購入価格指数は2003年から28ポイント上昇したが、工業製品出荷価格指数は0.8ポイントしか上がらず、利益が減少した。
⑤ビジネス拡大への制限。土地使用(工業用地)が厳しく制限され、環境保護対策も企業に課される審査項目となった。

これらの理由により、台湾企業の撤退が加速し、2015年にはピークに達した。

台湾企業が集中していた広東省東莞では、かつて6000社あった台湾企業が2015年には4000社に減少し、製造業を中心に、破産や海外移転で3分の1が消滅した。

とくに電子業界で破産した会社が多かった。

台湾当局の統計数字によると、1991年から2022年までの対中投資金額は2033億ドルで、31年間で平均年60億ドルである。しかし、2023年の対中投資金額は、30億ドルにまで下がったという。

写真=iとくに電子業界で破産した会社が多かった(※写真はイメージです)

「偽造品の横行」「企業技術の盗用」が問題に

台湾企業の破産や撤退によるトラブルは後を絶たなかった。企業が密かに工場売却を進めるなか、労働者たちがストライキを起こし、仕入れ先が支払いを求めて訪れるケースや、社長が夜逃げし、数千人の労働者が一夜にして失業する事態も発生した。

台湾人社長にとって、優遇税制の廃止や人民元の切り上げなどによる打撃に加え、増え続ける労働者のストライキも不安の一因となった。知的所有権の不備、偽造品の横行、企業技術の盗用も大きな問題だった。

さらに、ファーウェイ、レノボ、華星光電、京東方科技集団(BOE)など、中国本土の企業が国際競争力をつけ急成長してきたため、台湾企業のシェアが縮小した。

中華徴信所(CRIF)の調査では、2020年、有力な台湾企業1000社のうち、営業収入が前年比で増加した会社は半分に満たず、税引き前の利益も20%減少した。

2509項目を輸入禁止にしていた

2023年4月、中国商務部は台湾の対中貿易制限措置に関する「貿易障壁」について正式に調査を開始した。対象は半導体、農産品、紡績製品、化学工業製品など2455項目に及んでいる。

2024年1月から調査の結果が少しずつ出ている。同年1月2日に「華夏経緯網」(中央政府系のサイト)は、中国商務部は長期間の調査を経て、台湾の対中貿易の制限措置をめぐる「貿易障壁」の事実があると認定したと報道した。

邱海涛『中国の台湾武力統一が始まる』(徳間書店)

調査結果によると、台湾は大陸から農産品、卑金属および製品、紡績原料および製品などを含む2509項目にわたる産品と製品を輸入することを禁止しており、金額は44億8000万ドルに達している。

対抗措置として、大陸は台湾からプロピレン、パラキシレンなど12項目の商品を輸入する際、ECFAで優遇される税率の適用を中止する。

この対抗措置は、「台湾の化学工業にとって痛い打撃を与える」と大陸の有識者が言う。事態の推移によって、中国側は台湾側を相手取ってWTOに提訴することも考えているという。

「中台経済が共に繁栄する時代は終わった」という言葉が、いま双方の経済界で囁かれている。

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No.391 ★ 大流行の「ガチ中華」本場のおいしさとマナー 中国全土を食べ歩いたジャーナリストが指南

2024年06月12日 | 日記

日刊ゲンダイ

2024年6月9日

「ウワサの店はとにかく訪ねます」(近藤大介氏)/(C)日刊ゲンダイ

 中国大陸の味を日本風にアレンジすることなくそのまま伝える「ガチ中華」が大流行していて、今月13日にはNHKの「あさイチ」でも、東京の激戦区・池袋が取り上げられたほどだ。日本で独自の進化を遂げた日式中華と何が違うのか。

「池袋や大久保など中国人が多く暮らすエリアには元々、ガチ中華の店がありました。それが急拡大したのがコロナ禍以降です。日本の飲食店が閉店する一方、そういう中国人は母国への帰省が難しくなりました。それで日本で故郷の味を求めるようになり、ガチ中華の店が空いたテナントに入って拡大したのです」

 こう言うのは、講談社「現代ビジネス」編集次長の近藤大介氏だ。1995年から1年間、北京大学に留学したほか、2009年から12年まで講談社北京副社長として現地に駐在した。その経験から22の省と5つの自治区、4つの直轄市、2つの特別行政区をすべて回り、中国全土のガチ中華を食べ歩いている。

 まさに“ガチ中華のプロ”はこのほど、「進撃の『ガチ中華』」(講談社)を上梓。ガチな店が軒を連ねる池袋を中心に突撃して見つけた激ウマガチ中華店を紹介している。そこで、ガチ中華のおいしさやマナーを聞いた。

 

餃子は湯、黒酢、おろしニンニクが3点セット

主食の存在感(兆奎餃子)/(写真)近藤大介氏

 日本で餃子というと圧倒的に焼くのが主流で、ビールのつまみになったり、定食のおかずになったり……。

「中国で餃子は主食として水餃子を食べるのが王道です。おかずではありません。本場の餃子師傅(餃子作りの親方)が作る餃子は、具材たっぷり、皮もっちりでボリューム感が半端なく、明らかに主食です。ガチ中華の店で餃子とほかの主食を組み合わせるのは、日本で例えるならご飯とトーストを合わせるような感じでしょうか」

 では、どうするか。

「水餃子を2、3種類頼んだら、おかずは1つか2つで十分。中国には『原湯化原食(もとの湯はもとの料理を消化する)』という考え方から、水餃子を茹でた湯を飲んで体を温める習慣があります。特に寒い東北地方では、餃子湯を飲んだら、黒酢とおろしニンニクでいただくのが定番。この3つはセットです」

 お気に入りの兆奎餃子(東京都新宿区百人町1-10-10)では、餃子湯とおろしニンニクを頼んでタレにするそうだ。

四川料理はトイレまで含めて味わう

まず白湯スープをすする(海底撈火鍋池袋店)/(写真)近藤大介氏

 

 人によっては、ガチ中華=激辛をイメージするかもしれない。その前提にあるのが、激辛でおなじみの四川料理だろう。

「私が四川省の成都でいただいた本家の麻婆豆腐は東京で食べ慣れたものと明らかに違いました。色は赤ではなく、こげ茶。一口食べると、舌がしびれてきます。そのしびれは食道から胃に伝わり、腸を経由して最後は尻に来ます。実は四川省を巡ったとき、ガイド役の地元の方が1日置きに夕食の予定を組んだのを見て、何も知らない私は『空白の日も予定を』とお願いしたのですが、翌朝のつらさで体感しました」

 ガイドはそれを見越して、1日置きの夕食の予定を組んだわけだ。激辛料理を食べた翌朝に“被爆”するのは、中国人も同じだそうだ。

「四川の名物である激辛の火鍋や水煮(肉や魚を唐辛子で煮込んだ料理)なども同じ。家に帰るまでが遠足と教えられたように、翌朝のトイレまでが四川料理の楽しみ方でしょう」

 ちなみに火鍋のスープを2種類選ぶ場合、1つを辛くない白湯に、もう1つを激辛にするのが一般的だ。火鍋チェーンなら、スープが沸く間にタレを作って待つ。

「スープが沸いたら、小皿に白湯をすくってタレコーナーから持ってきたパクチーを振りかけてすすると、フレンチでアペリティフを飲むように胃が動き始めます。そして羊肉などは激辛に、野菜は白湯にひたしていただくのがセオリーです」

 海底撈火鍋池袋店(東京都豊島区南池袋1-21-2 5、6階)の締めの麺は、川劇俳優が麺の塊を振り回しながら伸ばしていくと、最後に切り分ける。「食べてよし、見てよしがガチ中華です」とほほ笑む。

山西料理の過油肉はあっさりしてこそ!

黒酢の香りがすばらしい(山西亭の過油肉)/(写真)近藤大介氏

 中国北部に位置する山西省は、黒酢を大切にしていて、ふだんはビールで乾杯するが、吉事があるとその最高峰・山西老陳醋で乾杯するという。北京ではそのブランド黒酢のニセモノが出回るほどだが、山西料理にはふんだんに使うそうだ。

「山西老陳醋は日本の白酢と異なり、深いコクとウマミがあり、飲み干すと血液にのって体にしみ渡る感じがします。その高級黒酢を惜しげもなく使用した山西名物が過油肉です。初めていただいたとき、料理名のイメージとは違って、『あっさりしていますね』と感想を述べると、『あっさりしていなければ過油肉ではない』と返されました。この料理は豚肉とタマネギ、ニンニクの芽などを炒めるときに、山西老陳醋を使用することで、豚肉はふっくらとし、味はあっさりとするのです」

 酢豚をはじめ黒酢を用いる中華料理はよくあるが、それほどあっさりした印象はない。「山西料理は黒酢の魔術師」と高評価する現地の味を提供するのが山西亭(東京都新宿区大久保2-6-10 B1)だ。

5つの命!蘭州拉麺は朝食として細麺を

手で伸ばした細麺をさっと食べて帰る(薩斐蘭州牛肉麺)/(写真)近藤大介氏

 日本のラーメン店にはインバウンドが大挙して訪れ、ラーメンは今や日本のB級グルメのような感じさえするが、もとをたどれば中国だ。

「ラーメンを漢字で書くと拉麺で、『拉』は両手で引っ張って伸ばす行為のことで、引っ張る作業がないと拉麺とはいえません。中国で現在、最も有名な拉麺は、甘粛省の省都・蘭州をルーツとする蘭州拉麺です。蘭州人は細麺を好み、手で伸ばした麺をもたもたしながら食べていると、麺が固まってきてしまいます。拉麺はそれくらい新鮮な料理で、朝食にいただくのです」

 日本でも蘭州牛肉麺の看板を目にすることが増えた。牛肉を添えるのが蘭州拉麺の定番で、本場では5つの命が宿るといわれるという。

 一清=牛骨のスープが清く澄んでいる。
 二白=新鮮な薄切り煮込み大根が添えてある。
 三赤=香り豊かな赤いラー油。
 四緑=葉ニンニクとパクチーの彩り。
 五香=麺が香りを漂わせる。

「蘭州人の師傅(料理人)に聞いたら、細麺は太麺より仕上げるのに時間がかかるといいます。日本の納得する店でいただいたときも10分ほど待って、蘭州での思い出がよみがえる5つの命を宿した一杯に出合えました。もっちり、しっとりを味わいつつも、麺が固まらないようにサッと食べて帰るのが、ガチ中華の拉麺です」

 薩斐蘭州牛肉麺(東京都豊島区池袋2-13-8)では、麺の太さは2ミリから40ミリまで6種類そろえているという。

(料理写真はすべて近藤氏撮影)

  ◇  ◇  ◇

 ガチ中華の世界は、もっともっと奥深い。翌朝のトイレ問題も含めて、ガチ中華を食べ歩いてはどうか。

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No.390 ★ 中国の越境EC輸出額、24年1~3月は14%増の約10兆円 事業者数は 12万社以上

2024年06月12日 | 日記

36Kr Japan

2024610

中国商務部のデータによると、中国の2024年1~3月期の越境電子商取引(EC)輸出入額は前年同期比9.6%増の5776億元(約12兆7000億円)、うち輸出額は14%増の4480億元(約9兆9000億円)だった。

おおまかな統計によると、中国全土の越境ECの事業者数が12万社以上、関連の産業パークは1000カ所以上となっている。海外倉庫は2500以上あり、面積は合計3000万平方メートル以上。うち越境ECに特化した海外倉庫は1800カ所以上で、面積は合計2200万平方メートル以上に上るという。

商務部の何亜東報道官は「越境ECはここ数年、海外倉庫など新たな国際貿易インフラと連携することで、発展のペースが速まり、成長のポテンシャルが増大した。過去5年間で、中国の越境ECの規模は10倍以上に拡大した」と述べた。

*1元=約22円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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