「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.408 ★ 中国の輸出産業に「コンテナ不足」の悪夢再来か コンテナのリース料が 1年前の3倍超に急騰

2024年06月20日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年6月18日

輸出大国の中国は、海外から大量の空きコンテナを回収する必要がある。写真はコンテナ取扱量が中国最大の上海港(上海国際港務集団のウェブサイトより)

中国の輸出産業が、製品出荷用のコンテナの入手難に悩んでいる。

「5月以降、輸出貨物の急増とともに、海運会社からの空きコンテナの供給が追いつかなくなった。出荷を急いでいる輸出業者は、40フィートコンテナ1本あたり1000ドル(約15万6800円)を超えるリース料で探さなければならない状況だ」

財新記者の取材に応じた複数の国際物流業者は、そう口をそろえた。上述のリース料は1年前の3倍を超える水準だ。

不足しているのはコンテナだけではない。中国と海外を結ぶコンテナ船の輸送力も逼迫しており、一部では投機的な動きも現れ始めた。例えば、ある物流業者は輸出用コンテナのワンウェイ(片道)リース料として、顧客に対して2000ドル(約31万3600円)以上を提示しているという。

需給バランスの脆さが露呈

輸出大国である中国は、貨物を詰めて海外に送り出すコンテナの数が、海外から入ってくる数よりもはるかに多い。そんな中、物流業界は大量の空きコンテナを海外から中国に回送すると同時に、中国で新たに製造したコンテナも調達することで、需給バランスを維持している。

だが、需給バランス調整の手段が限られているため、何らかのきっかけで不均衡が生じると、修正するのは容易ではない。今回のコンテナ不足に関しては、発端は2023年10月に始まった「ガザ危機」だった。

中東情勢の緊迫により、中国とヨーロッパを結ぶコンテナ船のほとんどが(スエズ運河経由から)喜望峰回りへの航路変更を余儀なくされ、輸送にかかる日数が伸びた。その影響で、コンテナ船に積まれて“海上を漂う”コンテナが増加したタイミングに、中国の輸出回復が重なり、空きコンテナがにわかに足りなくなったのだ。

需給バランスの乱れによるコンテナ不足は、新型コロナウイルスの世界的大流行の最中にも生じた。今回は当時のような大混乱の再来になるのだろうか。

「目下の空きコンテナの不足は、コロナ禍の時とは様相が異なる」。そう指摘するのは、国際物流のワンストップサービスを手がける涅浦頓供応鏈科技の幹部の陸春栄氏だ。

陸氏の解説によれば、コロナ禍の時期には世界各地のコンテナ港で荷さばきが遅延し、大量のコンテナがヤードに滞留。空きコンテナを中国に戻すこと自体が困難だった。それに比べて、現在はコンテナ港の稼働に問題はなく、空きコンテナの中国への回送に支障はないという。

「今回のコンテナ不足は(一時的な需給のミスマッチによるもので)、9月頃には改善の兆しが見えてくるだろう」。陸氏はそう予想する。

コンテナの総量は余り気味

コンテナの供給サイドの視点で見ると、全世界に存在するコンテナの総量は、国際貿易の規模に対して余り気味だ。

2024年は新造の大型コンテナ船の就航が相次ぐ。写真は国際海運大手のA.P. モラー・マースクの発注で建造中のコンテナ船(同社ウェブサイトより)

業界団体の中国集装箱行業協会のデータによれば、世界のコンテナ保有量はコロナ禍が始まる前は約4000万TEU(20フィートコンテナ換算)だったが、2023年末時点では5100万TEUと3割近く増加した。

ガザ危機の半年前の2023年春には、中国各地の港湾に空きコンテナの山が積み上がっていたことは記憶に新しい。(訳注:詳しくは『【ルポ】中国「空きコンテナ山積み」の現場を歩く』を参照)

コンテナ船の輸送力の増強も、需給バランスの改善にプラスに働く。イギリスの海事情報会社クラークソンズ・リサーチによれば、2024年は新造コンテナ船の(海運会社への)引き渡しが集中することから、全世界の輸送力が9%増える見通しだという。

さらに、中国のコンテナ製造会社も(コンテナ不足を受けて)生産ペースを引き上げている。こうした状況を背景に、業界関係者の間では「コンテナ不足は長続きしない」との見方が多数派になっている。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は5月24日

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No.407 ★ 中国 コンビニ売上高、23年は11%増の4218億元

2024年06月20日 | 日記

NNA ASIA

2024年6月19日

中国チェーンストア業界団体の中国連鎖経営協会(CCFA)と大手会計事務所KPMGが共同でまとめた報告によると、中国コンビニ業界の2023年の売上高は、前年比10.8%増の4,248億元(約9兆2,300億円)だった。伸び率は22年(9.8%)から拡大。新型コロナウイルス対策の終了もあり、来店客は小幅に増えたが、消費額の低下に伴い客単価は落ち込んだ。

調査はCCFAがコンビニ運営企業84社(石油系含む)を対象にアンケート形式で実施した。売上高は15年以降年17%以上のペースで増え、23年は15年(1,181億元)から3.6倍に膨らんだ。

23年の1日当たりの来店客数(店舗平均)は345.8人で、前年から0.6%増だった。一方で、客単価は21.5元となり、17.6%減少した。1店舗当たりの売上高(平均日販)は2.0%減の4,698元で、4年連続で減少した。直近年のピークだった19年(5,297元)からは11%以上減った。

オンライン業務を手がけるコンビニ企業は全体の89.3%を占めた。売上高に占めるオンライン販売の割合は6.4%で、22年(13.5%)から7.1ポイント縮小。新型コロナ禍が落ち着いたことで店舗販売が伸びた。

スナック菓子などの低価格商品を扱うディスカウント店が人気を集める中、コンビニ企業の約7割は「売上高への影響が大きい」と考えており、4割は自主ブランドの開発を強化する考えを示した。

■店舗数は1万店純増

国内のコンビニ店舗数は23年末時点で32万1,000店となり、前年末から7.0%増えた。ただ、伸び幅は20年(46.0%増)、21年(31.3%増)、22年(18.6%増)と年を追うごとに鈍化している。23年の純増数は9,834店で、22年から10.2%増えた。

23年の出店数は過去5年で2番目に多い1万4,373店。設置エリアは住宅街が全体の5割以上を占め、オフィス街が21.3%、特定商圏が13.8%など。

ブランド別で見た23年末の出店数は、広東省東莞市を地盤とする「美宜佳」が3万3,848店で最多。中国石油化工集団(シノペック)系のガソリンスタンド内で展開する「易捷(イージージョイ)」は2万8,633店、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)系ガソリンスタンド内店舗の「崑崙好客(uスマイル)」は1万9,780店と続いた。

外資系では「羅森」(ローソン)が6,330店(5位)、「セブン―イレブン」が3,906店(7位)、「全家」(ファミリーマート)は2,707店(11位)だった。

■競争激しく

KPMGは、「コンビニは規模の維持・拡大の激しい競争段階に入っている」と指摘。市民が消費に理性的になり、ディスカウント店が急増する中で、コンビニはコストパフォーマンスの高い自主ブランド商品の開発を進める必要があるとの見方を示した。

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