「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.431 ★ 習近平が落ちた「長期“没落”の罠」…!「校内暴力」と「暴走族」が あいつぐ中国で、「愛に飢えた若者たち」の間で起こり始めた「異変」

2024年06月28日 | 日記

現代ビジネス (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティングフェロー)

2024年6月27日

中国「国債バブル」で鮮明に!生贄にされる若者たち

photo by gettyimages

低迷する中国経済が、立ち直るのはもはや不可能かもしれない。  習近平国家主席の経済失策は、のちのちまで大きな禍根を残すことは、明白だ。

 前編「中国経済は終わった…! 経済長期大低迷を示す「国債バブル発生」でついに明らかになる「習近平の大罪」」で、紹介したように中国国債の金利は歴史的な低水準となり、「国債バブル」が発生している。

 国民の消費意欲が後退したことで極度の需要不足に陥り、企業の投資活動が後退した。行き先を失ったマネーが国債に集中するのは、まさに長期停滞に陥った過去の日本がたどってきたのと同じ道だ。  習氏が罪深いのは日本の先例があるにもかかわらず、まったく同じ轍を踏もうとしていることだ。  そして、それは若者たちの人心を荒廃させることになるだろう。

若者の不満のはけ口を奪った「言論封鎖」

中国の若者たちはどこへ向かうのか…Photo/gettyimages

 中国の若者たちは生まれた時から日に日に豊かになる生活を享受してきたが、その状況が反転、「塗炭の苦しみ」を味わうようになっている。  

若者たちの不満が募る中、当局の規制強化で自由な言論空間が急速に消失している。  6月4日付米ニューヨークタイムズは「中国でインターネットサイトの数が激減し、不都合な記憶や歴史が消し去られている」と報じている。中国ウオッチャーの間でも「中国で活発な討論の文化が失われた」ことがコンセンサスになりつつある(6月13日付日本経済新聞)。  自由な言論を失われた若者たちはどこにはけ口を求めればよいのだろうか。

中国で「暴走族」が大暴れしていた…

 上海市の復旦大学の卒業式で学生が教師を殴ったという「事件」が発生した。6月19日にネット上で動画が出回り、「不都合な真実」が明らかになった。

 学生の動機は定かではないが、就職に失敗した腹いせだった可能性が高いだろう。上海市では若者によるレース用自転車による信号無視などの交通違反が日常的に発生し、市民生活を脅かす事態となっている。

 自転車「爆走」集団の動きは中国各地で起きており、警察当局にとって頭の痛い問題となっている(6月17日付RecordChina)。  若者たちが暴力的な行動に出始めている証左だが、筆者は「この問題の根はさらに深いのではないか」と考えている。

「いじめ」の横行と「監視社会」

 日本であまり知られていないが、中国の小中高校で校内暴力といじめが横行している。  今年3月に河北省で長期間いじめを受けていた13歳の男子生徒が同級生3人を殺害する事件が発生したことを受け、中国政府は対策の強化を余儀なくされている。

 中国メデイアは「福建省などで校内暴力予防のためにトイレなどに『悪口探知機』が設置された」と伝えている。  学生の問題行動の要因の1つとして考えられるのは中国で蔓延する児童虐待だ。

 国連児童基金(ユニセフ)によれば、中国の18歳未満の26.6%が家庭で身体的虐待を、19.6%が精神的虐待を、26%が親の育児放棄を受けているという。

 このため、家族での愛情に不足している中国の子供たちは、ネット上で「愛情深い両親の姿」をコンテンツとして配信するインフルエンサー(デジタルペアレンツ)に救いを求めているというのだ(6月16日付クーリエ・ジャポン)。  愛情に飢えた若者たちは今後、国に救いを求める行動に出るのかもしれない。

よみがえる「文革の悪夢」

悪夢がよみがえらなければよいのだが…Photo/gettyimages

 中国の若い世代の愛国主義者は「小粉紅」と呼ばれ、その勢力は拡大中だからだ。中国政府もこの動きに注目し、今年1月に愛国主義教育法を施行するなど愛国宣伝に力を入れている。

 「習近平国家主席が『文化大革命2.0』を志向している」と指摘されて久しいが、文化大革命の運動母体は「紅衛兵(毛沢東を支持する青少年の組織)」だった。経済発展から阻害されていた紅衛兵の怒りは「人民の敵(地主や富裕層など)」に向けられ、中国全土で凄惨な暴力事件が繰り広げられた。死者は2000万人におよんだとされる。

  「文革の悲劇が繰り返す」と断言するつもりはないが、虐げられた中国の若者の今後の動向に細心の注意を払う必要があるのではないだろうか。

 つづく記事『中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…! 海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」』でも、中国の深刻な状況についてレポートしているので、参考としてほしい。

 *左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動


No.430 ★ 中国の車載電池業界「淘汰の時代」に早くも突入 PHV台頭で需要に変調、上位企業の寡占も進行

2024年06月28日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年6月26日

世界的なEVシフトを追い風に急成長した中国の車載電池業界だが、将来に暗雲が広がってきた。写真はEVと車載電池の両方を自社生産するBYDの輸出車両(同社ウェブサイトより)

急成長を遂げた中国の車載電池業界が、早くも淘汰の時代を迎えつつある。

業界団体の中国汽車動力電池産業創新聯盟(動力電池聯盟)が5月30日に発表した年次レポートは、車載電池市場の最新動向として需要サイドに構造的変化が生じていることや、上位の電池メーカーによる(市場の)寡占化が進んでいることなどを指摘した。

このレポートによれば、中国は2024年も引き続き「新エネルギー車」の世界最大の市場であり、年間販売台数は前年比14%増の1083万台、それらに搭載される車載電池の総容量は同36%増の527GWh(ギガワット時)に達する見通しだ。

(訳注:「新エネルギー車」は中国独自の定義で、電気自動車[EV]、プラグインハイブリッド車[PHV]、燃料電池車[FCV]の3種類を指す。通常のハイブリッド車[HV]は含まれない)

電池の需要に構造的変化

だが、2023年初めからテスラや比亜迪(BYD)が仕掛けた価格競争をきっかけに、中国の新エネルギー車メーカーのほとんどがコスト重視に舵を切り、電池の需要に構造的変化が生じた。

その象徴と言えるのが、PHVやレンジエクステンダー型EV(EREV)の急成長だ。車載電池だけで走行するEVは、航続距離を稼ぐために大量の電池を搭載する必要があり、それがコスト高の要因になっている。

その点、PHVやEREVは(エンジンを併用するため)同じクラスのEVに比べて電池の搭載量が3分の1で済み、メーカーはコストを大幅に抑えられる。さらに消費者の間でも、電池切れの心配が小さく価格も相対的に安いPHVやEREVを積極的に選ぶ傾向が強まった。

その結果、2023年からPHVやEREVの販売の伸び率がEVを上回るようになった。中国汽車工業協会のデータによれば、中国市場における同年のPHV販売台数(EREVを含む)は280万4000台と、前年比84.7%増加。これに対して、EVの販売台数は668万5000台と絶対数では2倍以上だが、前年比の伸び率は24.6%にとどまった。

PHVの台頭とEVの成長鈍化は、車載電池メーカーにとっては大きな誤算だった。EV販売の高い伸びが続く前提で数年前から建設してきた電池工場が続々と稼働する中、需要の伸びが減速したからだ。

中国の車載電池メーカーは、EV販売の高い伸びを前提に生産能力を急拡大してきた。写真は最大手のCATLが江蘇省に建設した電池工場(同社ウェブサイトより)

それだけではない。動力電池聯盟のレポートによれば、2023年に中国で生産されたEVは最大航続距離が400~600キロメートルの車種が約6割を占め、600キロメートルを超える車種は12%しかなかった。EVだけを見ても、電池の搭載量は(コスト志向の強まりを受けて)頭打ちなのだ。

こうした構造的変化により、数年前までの車載電池の供給不足は完全に過去の話になった。今後は電池メーカーの淘汰が避けられないだろう。

上位5社で市場シェア97%

すでにその兆候は出ている。動力電池聯盟のレポートによれば、2023年に中国で生産されたEVやPHVには合計51社の電池メーカーの車載電池が搭載されたが、その数は2022年より6社減少した。

と同時に、業界内では(規模のメリットを生かせる)少数の上位メーカーに市場シェアの集中が進んでいる。上位3メーカーの2023年の市場シェアは合計78.8%、上位5メーカーでは96.8%に上った。

ある自動車メーカーの関係者は、車載電池業界の今後について匿名を条件に次のような見方を示した。

「新エネルギー車メーカーはすでに淘汰の段階に入っており、生き残れる企業は多くない。車載電池業界はサプライチェーンの川上に位置するため、生き残りはさらに困難だろう。仮に生き残る新エネルギー車メーカーが10社だとすれば、生き残る電池メーカーは多くても5社ではないか」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は5月31日

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動