「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.383 ★ 台湾 コンピューテックス盛況 AI需要拡大、最新製品をPR

2024年06月07日 | 日記

NNA ASIA

2024年6月6日

台北市南港区の南港展覧館で開かれている台湾最大のIT見本市「台北国際電脳展(コンピューテックス台北)」で、台湾のパソコン大手などのハイテク企業が最新の人工知能(AI)関連製品やソリューションなどをPRしている。

AIの応用に関する需要が拡大する中、4日の開幕日から大勢の来場者が会場を訪れ、米半導体大手エヌビディアの製品を搭載した新製品などが特に注目を集めている。【安藤千晶、張成慧】

コンピューテックスは初日から多くの人が訪れた=4日、台北(NNA撮影)

台湾のパソコンブランド世界大手、宏碁(エイサー)はAIノートパソコンの新製品「Swift(スウィフト)14 AI」を展示した。同製品はエイサーにとって初の「コパイロット+PC」のモデル。コパイロット+PCはAIのために設計された新しいカテゴリーのウィンドウズパソコンで、Swift14 AIは米クアルコムの中央演算処理装置(CPU)「スナップドラゴンX」シリーズを採用している。

同製品はバッテリーが26時間維持できることなどが強みだといい、担当者は「多くの人がAIがもたらす利便性を享受しており、開幕日からAIパソコンについての問い合わせは非常に多い」と述べた。

エイサー子会社で、サーバーやソリューションサービスを手がける安図斯科技(アルトス)もブースを構え、AIサーバーやAIのトータルソリューション「Altos aiWorks」をPRした。

アルトスの李占傑総経理によると、サーバーのハードウエア部分にはエヌビディアのハイエンドな画像処理装置(GPU)などを搭載。アルトスではハードウエアだけでなく、ソフトウエアの開発も手がける。李氏は「Altos aiWorksは、統合されたAIコンピューティングプラットフォームだ」と強調した。企業や高等教育機関が主な顧客だとして、CPUやGPUは高度なカスタマイズが可能である点をメリットに挙げた。

李氏は、AIサーバー業界は今後数年間で急成長を遂げるとの見方を示した。一方で、同時にセキュリティー問題も懸念されており、独自のAIクラウドまたはAIデータセンターを構築する必要のあるエンドユーザーが、自社のターゲット層だと述べた。

エイサーはAIパソコンの体験コーナーを設けた=4日、台北(NNA撮影)

■ASUSはクリエーター向けPC

台湾のパソコンブランド世界大手、華碩電脳(ASUS)はクリエーター向けノートパソコン「ProArt(プロアート)」の最新製品などAIパソコンを展示し、来場者が実際にパソコンに触って体験できるコーナーを設けた。

プロアート「PX13」と「P16」は、米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)の新CPU「Ryzen(ライゼン)AI300」とエヌビディアのグラフィックスカード「GeForce RTX 4070」を搭載している。担当者はプロアートについて、「アウトドアシーンなど、いつでもどこでもクリエーターが制作・使用できるよう、より薄型でシンプルな外観にこだわった」とアピールした。

ASUSはノートパソコンProArtを展示した=4日、台北(NNA撮影)

ASUS傘下の雲端架構軟体中心は、繁体字中国語の大規模言語モデル「FFM」やソリューションの「AFS(AIファウンドリーサービス)」など企業向け生成AIのトータルソリューションをPRした。

同中心の陳忠誠協理は「当社のソリューションは企業のデータやシステムに基づいて回答したり、企業のライブラリに基づいてユーザーの問題を解決したりできる」と紹介。顧客がデータセンターを設置する際に、サーバーやネットワーク、全てのソフトウエアを提供できると話した。その上で、「ASUSはノートパソコンなどハードウエアだけではなく、トータルソリューションを手がけており、今回の展示を通じて、ソフトウエアやデータセンターを設置できることを知ってもらいたい」と意気込んだ。

■ギガバイトも出展

大勢の来場者でにぎわう技嘉科技のサーバーコーナー=4日、台北(NNA撮影)

マザーボード大手の技嘉科技(ギガバイト)は、エヌビディアの最新AIチップ「GB200」を搭載したコンピューター「GB200 NVL72」のデモ版「NVL36」を展示した。このほか企業のAI導入の支援に向けた、AMDや米インテル、エヌビディアのチップやGPUを搭載したAIサーバーも展示。

ネットワーク通信関連企業の研究開発(R&D)部門で働く台湾人男性(47)は「AIやデータセンターの発展に関心がある。自分の業務内容の勉強のために来場した」とコメントした。

コンピューテックスの開幕式典に頼清徳総統も参加した=4日、台北(NNA撮影)

コンピューテックス台北は、台湾政府系貿易振興機関の中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)と台北市電脳商業同業公会(TCA)が共催し、会期は7日まで。今年は「AIとつながり 未来を共創」をコンセプトとし、台湾内外の約1,500社が約4,500ブースを構える。海外と台湾のバイヤー約5万人が期間中に来場すると見込んでいる。

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No.382 ★ 中国アリババ、事業6分割後「初の通期決算」の中身 改革断行で増収増益も、市場の期待には及ばず

2024年06月07日 | 日記

東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)

2024年6月5日

アリババは大胆な構造改革で成長の再加速を目指したが、まだ道半ばの状況だ。写真は浙江省杭州市の本社オフィス(同社ウェブサイトより)

中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババ)は5月14日、2024年3月期の通期決算(訳注:アリババの会計年度は4月から翌年3月まで)を発表した。

これはアリババにとって、2023年3月に主要事業の6分割を柱とする大規模な構造改革に着手してから初の通期決算となる。決算報告書によれば、2023年度の売上高は前年度比8%増の9411億6800万元(約20兆3416億円)、 純利益は同10%増の797億4100万元(約1兆7235億円)を計上し、増収増益を達成した。

アリババは同時に、2024年1~3月期の四半期決算を発表。1~3月期の売上高は2218億7400万元(約4兆7954億円)と前年同期比7%の増収を確保したが、純利益は32億7000万元(約707億円)と同86%の大幅減益となった。同社の説明によれば、投資先企業の評価額の見直しに伴い199億元(約4301億円)の評価損を計上したのが主因だという。

国内EC事業は低空飛行

事業グループ別の業績をみると、国内EC事業を束ねて総売上高の約4割を稼ぐ「淘宝天猫(タオバオ・Tモール)コマース・グループ」は、1~3月期の売上高が932億1600万元(約2兆147億円)と前年同期比4%増加、調整後EBITA(利払い・税引き・償却前利益)は385億100万元(約8321億円)と同1%減少した。

「中国の家計は貯蓄水準が高く、一定の消費能力を持つ。だが、マクロ経済の(先行き不透明の)影響や不動産市況の低迷などが消費マインドを冷やしており、今後の消費動向を見極めるにはまだ時間が必要だ」

アリババの董事会主席(会長に相当)を務める蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は、国内EC事業の現状について決算説明会でそうコメントした。

また、アリババのCEO(最高経営責任者)を務める呉泳銘氏は、国内EC事業の新年度の優先課題として(ECプラットフォームで販売する)商品の競争力向上とUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善を挙げ、「ユーザーの購買頻度を増やすことでGMV(流通取引総額)を拡大したい」と述べた。

6大事業グループのなかで、1~3月期に売上高を最も大きく伸ばしたのは海外EC事業の「インターナショナル・デジタル・コマース・グループ」だった。同四半期の売上高は274億4800万元(約5932億円)と前年同期比45%増加し、総売上高に占める比率が12.37%と前年同期より3.29ポイント上昇した。

とはいえ、同グループの1~3月期の調整後EBITAは40億8500万元(約883億円)の赤字であり、損失額が前年同期の21億7100万元(約469億円)から大幅に増加、収益性の改善が急務になっている。

アリババのクラウド事業は、利益率が高いパブリッククラウドに集中して大幅増益を達成した(写真は同社ウェブサイトより)

一方、1~3月期に利益面のパフォーマンスを大きく向上させたのがクラウド事業の「クラウド・インテリジェンス・グループ」だ。同四半期の売上高は255億9500万元(約5532億円)と前年同期比3%の伸びにとどまったが、調整後EBITAは14億3200万元(約309億円)と同45%の大幅増益を達成した。

その背景についてアリババは、(利益率が低い)プロジェクト・ベースの受注を減らしてパブリッククラウドに集中し、プロダクトミックスの改善と経営効率の向上を図った成果だと説明している。

自社株買いに約2兆円投入

構造改革を断行して成長の再加速を目指したアリババだが、過去1年の株価の推移を見る限り、資本市場から評価されているとは言い難い。

アメリカのニューヨーク証券取引所に上場する同社のADR(アメリカ預託証券)は、2023年3月末時点で1単位当たり102.18ドル(約1万5984円)だったが、通期決算発表後の2024年5月14日の終値は79.51ドル(約1万2438円)と2割以上低い水準にある。

そんな中、アリババは株主への積極的な利益還元をアピールしている。2023年度は総額125億ドル(約1兆9554億円)もの自社株買いを実施し、流通株式の6.42%相当を買い戻した。

さらに今回の決算では、株主に対して通常の普通配当とともに特別配当を支払うと発表。配当金の総額は約40億ドル(約6257億円)に上る。

(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は5月15日

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