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日々是サンゴ礁

普段の生活の中でサンゴ礁保全ができるような話題を綴ってみたいと思います

思い出のハゼ5 クロエリカノコハゼ

2010-02-04 02:04:00 | サンゴ礁の魚たち
引き続き、個人的に思い出深いハゼについてご紹介します。今日ご紹介するのはクロエリカノコハゼです。

標準和名 クロエリカノコハゼ
学名 Vanderhorstia hiramatsui
英名 
撮影地 伊豆大島、秋の浜
撮影日 2001年1月29日

2007年に標準和名と学名が付きました。記載論文での分布は伊豆大島、柏島になっていますが、ネットを調べると鹿児島でも確認されているようです。

クロエリカノコハゼにとても良く似たハゼにキラキラハゼという種がいます。こちらの分布は伊豆大島、相模湾、伊豆半島です。成魚での違いは、第一背鰭に黒点が無いのがクロエリカノコハゼ、あるのがキラキラハゼです。

クロエリカノコハゼが柏島からしか知られていなかった(そもそもほとんど知られてなかったのですが)頃は、キラキラハゼ近似種と言ってました。キラキラハゼと同種なのか別種なのか、研究者が調べている最中であると当時聞きました。この写真を撮影してから6年経って、ようやく別種であるとはっきりしました。

図鑑では、クロエリカノコハゼはハゼ好き必携の図鑑「日本のハゼ」平凡社、に「ヤツシハゼ属の1種-5」として掲載されています。実はこの写真は私が撮ったので、図鑑の著者であり写真の大半を提供されている矢野維幾さんの厳しい基準をクリアして掲載していただいた2枚のうちの1枚なのです。その点でも思い出深い種です。

思い出のハゼ4 フトスジイレズミハゼ

2010-01-27 14:06:30 | サンゴ礁の魚たち
引き続き、個人的に思い出深いハゼについてご紹介します。今日ご紹介するのはフトスジイレズミハゼです。

標準和名 フトスジイレズミハゼ
学名 Priolepis latifascima
英名 
撮影地 伊豆大島、秋の浜
撮影日 2001年6月8日

日本と台湾に分布しています。以前は西部太平洋に分布するイレズミハゼと混同されていましたが、1993年に伊豆半島産の標本を元に新種記載され、その後、標準和名もつきました。

フトスジイレズミハゼとイレズミハゼはとても良く似ています。写真で見分けるポイントの一つは「胸鰭の背側で合流している白い筋のうち、頭側から合流する筋よりも、胸鰭から背に延びる筋の方が太い」とのことです。写真は上下逆になっていますが、見ていただければその通りになっていることが分かると思います。実際には、2-3cmの魚ですので、肉眼でそこまでは確認できません。「これで別種になるのか・・・。」と思ったものです。

フトスジイレズミハゼは、岩の亀裂などで見つけることができます。水深数mのところにもいるので、浅場でのんびりぶらぶらしている時によく見つけて楽しんでいました。伊豆、伊豆大島ではほとんどがフトスジイレズミハゼと研究者から聞いたことがあるのですが、「もしかしたらイレズミハゼもいるのではないか?」と思い、一時期熱心に写真を撮っていました。結果としては、私が写真を撮った範囲では、やはりフトスジイレズミハゼでした。

思い出のハゼ3 スジクロユリハゼ

2010-01-26 13:13:35 | サンゴ礁の魚たち
引き続き、個人的に思い出深いハゼについてご紹介します。今日ご紹介するのはスジクロユリハゼです。

標準和名 スジクロユリハゼ
学名 Ptereleotris grammica
英名 Lined dartgoby
撮影地 伊豆大島、秋の浜
撮影日 2000年10月23日

西部太平洋の暖かい海に分布しています。

スジクロユリハゼを含むクロユリハゼ属は、現在クロユリハゼ科に分類されています。細かいことを言えば「ハゼでは無い」のですが、この写真を撮った当時はまだハゼ科でしたので、紹介させていただきます。

スジクロユリハゼは、よく見られる水深が少し深いため、なかなか観にいくことができません。成魚はとても美しく、同じくらいの水深にいるアケボノハゼ(こちらもクロユリハゼ科)と並び、ダイバーに人気です。沖縄や四国の柏島で観られることが知られていましたが、それよりも北の海では知られていませんでした。

この写真を撮った2000年の2年前、1998年は世界的に水温が高く、大規模なサンゴの白化が話題になりました。日本もご多分に漏れず、沖縄の広い範囲でサンゴが白化しました。水温が高いのは、実は黒潮流路近辺の海にとっては「低温に弱い死滅回遊魚が生き残る」ということでもあります。1998年の秋は色々な魚が伊豆・伊豆大島などに現れ、ダイビングシーンをにぎわしました。そのため、それ以前だと「いるはずがない」と思われていた魚についても、「もしかしたらいるかも」と探されるようになりました。

その一つがスジクロユリハゼであり、熱心なダイバーにより、伊豆大島でも幼魚が発見されました。私は見つかって少し経ってから潜りに行ったので、どこに何匹くらいいるかという情報が揃っており、比較的簡単に観ることができました。神経質なので、なかなか良い写真は撮れず、上記の写真はずいぶんトリミングしています。

不思議なもので一度見つかると、その後は比較的よく見つかるようになります。スジクロユリハゼも、伊豆大島、伊豆でも、毎年とは言いませんが、発見されるようになりました。きっとダイバーの目が肥えてくるからでしょうね。

思い出のハゼ2 ヤシャハゼ

2010-01-25 12:35:21 | サンゴ礁の魚たち
引き続き、個人的に思い出深いハゼについてご紹介します。今日ご紹介するのはヤシャハゼです。

標準和名 ヤシャハゼ
学名 Stonogobiops yasha
英名 White-rayed shrimpgoby
撮影地 伊豆大島、秋の浜
撮影日 2000年10月21日

西部太平洋の暖かい海に分布しています。伊豆大島では、なぜか時々越冬しているように思う時があります。昨日ご紹介したヤノダテハゼと分布としてはあまり変わらないのですが、少し寒さに強いのでしょうか。

この当時、ヤシャハゼという標準和名はついていたのですが、まだ学名はついていませんでした。既に20年くらい前に標本は採集され、魚類分類学の大家が研究している、というのは、昨日ご紹介した西表島の矢野さんから聞いていました。2001年にようやく記載論文が発表され、晴れて「新種」となりました。20年もダイバーの間で比較的よく知られている種類であるにもかかわらず、「新種」と言われると、なんだか不思議な気がしたものでした。

時々図鑑に載っていない生き物が見つかった時に「新種が見つかった」と騒がれることがありますが、これは誤解を招きやすい表現だと思います。一般には「新種=それまで見つかっていなかった種」という印象があると思いますが、学術的には「新種=過去に学名が無く、新たに学名に関する記載論文が発表された種」という意味になります。

ダイバー人口が増え、水中写真がはやったことから、魚の写真も沢山撮られるようになりました。必然的に図鑑に載っていない魚の写真も発表されるようになり、「新種ハンター」も増えていったように思います。雑誌やインターネットで「自分が初めて見つけた」という魚の写真が掲載されることもありました。

研究者に色々と写真を見せていく中で、ダイバーが「新種を見つけた!」と騒いでいる魚は、実は大抵研究者の誰かが標本を持っていて、研究者仲間では知られている、というのが大半だということが分かり、ちょっとがっかりしたことを覚えています。だから、たまに「これは初めて見ました。」という答えが研究者から返ってくると、とても嬉しかったです。

思い出のハゼ1 ヤノダテハゼ

2010-01-24 08:23:59 | サンゴ礁の魚たち
国立科学博物館のハゼ企画展に触発されましたので、個人的に思い出深いハゼについてご紹介していきたいと思います。

今日ご紹介するのはヤノダテハゼです。

標準和名 ヤノダテハゼ
学名 Amblyeleotris yanoi
英名 Flagtail shrimpgoby
撮影地 伊豆大島、秋の浜
撮影日 1999年1月5日

西部太平洋の暖かい海に分布しています。伊豆大島では、残念ながら水温が低くなるので冬を越すことができません。

ヤノダテハゼを知ったきっかけは図鑑だったと思います。まだ和名も学名もついておらず「ダテハゼ属の一種」として紹介されていました。1996年に新種として論文発表され、研究者に協力した西表島のダイビングガイド矢野維幾さんへの献名として、標準和名、学名共に「ヤノ(yano)」が使われました。

実物を初めて観たのは、確かインドネシアのバリ島の有名なダイビングポイント「トランバン」だったと思います。当時、インドネシアの魚図鑑として人気だった「Tropical Reef-Fishes of the Western Pacific INDONESIA AND ADJACENT WATERS, Rudie H. Kuiter, 1992」(通称白クーター)にも学名が決まっていない種として掲載されていました。当時はまだヤノダテハゼと同じ種かどうか分かっていませんでした。トランバンは火山性の砂のために色が黒く、そのために棲んでいる魚も多くが色が濃くなる傾向にあります。ヤノダテハゼも、西表で撮影された写真と比較すると随分色が濃く、尾びれの模様も若干異なっていたので、「もしかしたら別種かも」という話でハゼ好きなダイバーの仲間と盛り上がったのを覚えています。

その後、西表でも矢野さんのガイドで実物を観ました。その時に、尾びれの模様にはバリエーションがあり、バリのも同種だろうということを教えていただきました。

当時、伊豆大島に年何回か潜りに行っていました。ある時、この魚を自分で見つけました。観た瞬間に「ヤノダテハゼだ!」と思ったのですが、それまで伊豆大島で見つかったということを聞いたことがなかったので、自分の目に間違いは無いと思いながら、それでもまだ半信半疑でした。まだデジカメは無く、銀塩写真だけですから、すぐに写真を確認することはできません。水中で何枚も写真を撮り、じっくり観て、サービスに戻って魚に詳しいガイドの皆さんに「ヤノダテハゼって見たことありますか?」と聞いても、やはり「伊豆大島での発見例は無い。」と言われました。そこで他の魚に詳しいダイバーにも観にいってもらい、「確かにヤノダテハゼだ!」ということになりました。

その後、その前年に伊豆大島で写真を撮っていたダイバーがいたことが分かり、伊豆大島での第一発見者では無くなってしまったのですが、それまで知られていなかった魚を見つける楽しさを教えてくれたという点で、とても思い出深いハゼです。

クマノミは意外に凶暴?

2010-01-23 16:39:53 | サンゴ礁の魚たち
ナショナルジオグラフィック社のサイトの「情報交差点」からご紹介します。

「水族館へ行ってみよう」という記事の中で、東海大学海洋科学博物館のリング水槽で飼育されているカクレクマノミが紹介されています。1000匹以上が泳ぎ回る姿は圧巻ですね。自然状態には無い光景なので、ちょっと異様な気もしますが。

それと絡めて、記者の方が奄美大島でクマノミに突付かれた話が書かれています。私もクマノミには何度か突付かれたことがあります。記事にもありますが、割と強気で、特に卵を守っている時は熱心に突付いてきます。これがなかなか痛いんですよね・・・。

クマノミの仲間全てが強気というわけではなく、シャイなのも何種類かいます。

ハゼの世界とその多様性 セミナー(1/31(日))

2010-01-20 16:01:20 | サンゴ礁の魚たち
昨日ご紹介した展示に関するセミナーが開催されます。演者の一人、林先生のお話は何度か伺ったことがあるのですが、毎回とても楽しい時間を過ごさせていただきました。皆様もぜひご参加下さい。

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日時:平成22年1月31日(日)午後2時~4時

場所:日本館2階講堂

演題
「“ハゼ展”の開催にあたって」
 講師:篠原現人(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹)

「ハゼ学入門」
 講師:林 公義(横須賀市自然・人文博物館 館長)

「ハゼは,なぜこれほど多様なのか?:DNA解析が明らかにした種の多様化の歴史」
 講師:向井貴彦(岐阜大学 地域科学部 准教授)

募集:100名

申し込み方法:下記必須事項を記入の上、メール又は往復はがきでお申し込み下さい。

【必須事項】(1)参加者の氏名、(2)住所、(3)電話番号、(4)年齢、(5)職業、(6)イベント名
【メールアドレス】kikakuten●kahaku.go.jp (●を@に変えて下さい)
【往復はがきお申込み先】
郵便番号110-8718 東京都台東区上野公園7-20 国立科学博物館 企画展示担当係

締切: 平成22年1月27日(水)必着

注意
・通常入館料が必要です(一般・大学生600円、高校生以下無料)
・家族またはグループでの参加希望の場合は、参加者全員の氏名、年齢をご記入くだ
さい。
・申込者多数の場合は、抽選となります。

ハゼの世界とその多様性(~2/28(日))

2010-01-19 15:54:11 | サンゴ礁の魚たち
国立科学博物館で、ハゼの研究者でもある天皇陛下の御在位20年記念展示が開催されています。

ハゼの世界とその多様性

展示内容について、上記サイトから引用してご紹介します。

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(1)天皇陛下のご研究
ハゼの形態学と統計分類学:天皇陛下のご研究を論文・著書や標本資料などをとおして紹介します。

(2)身近な隣人たちの素顔
ハゼの世界を科学的に見る:ハゼのさまざまな姿や生息場所のちがいを水中写真の液浸標本をつかって紹介します。

(3)ハゼの形態と分類
研究者はどこをみているのだろう:色や形以外にも、いろいろなところに特徴が隠れています。

(4)ハゼの起源と進化
研究者を悩ます親類さがし:ハゼ同士の類縁関係やハゼに近縁と考えられている魚たちを紹介します。

(5)ハゼの生態
研究者やダイバーを魅了する:繁殖方法、共生関係など、ハゼのさまざまな生態を写真や映像でご覧下さい。
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 ハゼ好きには堪らない内容ですね。上記リンクの写真を見てるだけでも楽しいので、ぜひご覧下さい。

 まだ行ってないので、行ってきたらまた感想を書きたいと思います。

テンガイハタ

2010-01-18 22:03:29 | サンゴ礁の魚たち
新江ノ島水族館に深海魚のテンガイハタが展示されました。
1/18朝に小田原の定置網に入った個体を譲り受けたとのことです。

弱っているので一日だけの展示になるようです。今日見れた人はラッキーでしたね。

新江ノ島水族館には、普段から深海の生き物が展示してあります。時々入れ替わっていますので、新着生物のコーナーをチェックすると良いですね。

シーラカンスの幼魚

2009-11-19 00:03:01 | サンゴ礁の魚たち
シーラカンスの幼魚が世界で初めて撮影されました。シーラカンスは卵胎生で、卵が親の体の中で孵り、ある程度育ってから産み落とされます。今回見つかったのは、生まれたてと思われるサイズだったとのことです。

生まれたてでも30cm強と大きいですが、親より鰭などが大きくて、かわいい感じがしますね。

いつか見てみたいものですが、161mは深すぎますね・・・。