goo blog サービス終了のお知らせ 
日記と雑学、それからシトロエンC5について。
Just About C5



私のシトロエン車歴は、初期型Xantia SX →後期型Xm →00年式Xantia SX →C5 2L。こうしてみると節操なく乗り換えているようだ。最初のXantiaで車に対する見方が変わってしまい、2台目のXmに6年乗るに至って完全にハイドロ以外の足周りは考えられなくなってしまった。

どうしてこうなったのか。その理由の一つは「ハイドロの魅力と不完全性」にあるのだと思う。最初の完全なハイドロ車であるDSにまで遡れば、半世紀に渡る改良を経たサスペンション機構である。なのに、乗っていたどの車も、それぞれに魅力を感じつつも、「もっと良くなる、次はどうなるんだ」という気持ちを強く抱かせた。つまり「もっと進化したハイドロ」にずっと乗ってみたくなる。「その先」を見届けたくなるのだ。

しかし私も一般サラリーマンなので、共働きだった時代が終わり子供が1人、2人と生まれるに至って、そうそう車にばかり血道を上げるわけにもいかない。

実は過去、本当に欲しくてたまらなかったが結局諦めたシトロエンが1台だけあった。おそらくその存在はあまり知られていないだろう。歴代のシトロエンの中で最も先進的なロール制御機構を備え、実験的サスペンションを装備した特別なXantia、"Xantia Activa"である。

この車は非常に徹底したロール制御のシステムを持っており、そのためだけに電子制御で断続がコントロールされるスフィアを2つ持っている。XantiaのHydractive2ではスフィアはメインの他に4輪に各一つ、アディショナルが前後に一つずつ、車高維持のために別に一つついているが、Xantia Activaはさらに2つ、全部で10個ものスフィアを搭載する代物である。

ロール制御の仕組みは比較的シンプルで、フロントとリアに極太のスタビライザーを装備し、シャシーとの間に油圧シリンダーとそれにバルブを介してそれぞれ1つずつスフィアを備えている。ボディのローリングが予測されると、バルブが切断されシャシーとスタビライザーが剛結された状態になる。実際、ほとんどロールが発生しないサスペンションで、異次元の操縦感覚を持っていたらしい。それでいて、ロール制御から解放された分、ソフトモードの設定を従来より柔らかくすることができたので、直線路の通常走行ではHydractive2よりもさらにゆったりとしたフラットな乗り心地を得ていた。話だけ聞くと、まさに理想のサスペンションである。

このXantia Activaについては、本国ではXantiaのスポーツモデルという位置付けで発売されたが、上述のごとくその内容は別物であった。1988年にパリショーで発表した"Activa"というサスペンションシステム実験用のコンセプトモデルがあり、そこで完成したシステムをXantiaに搭載したということだったと思う。

現行のC5は見かけや雰囲気はともかく、ハイドラクティブの能力向上に関しては開発に力の入った車で、全面的に電子制御を取り入れ反応速度の圧倒的な改善と(これによって走行中のリアルタイムの車高制御などが可能になった)モジュール化により信頼性も高めた「新世代」と言える内容を持つ。

しかし今から振り返ると「過渡期の試作品」であったかもしれないが、"Activa"にはシトロエンの熱い思いが込められており、当時のライバル車である3シリーズ、AUDI A4などのライバルとはその独自のサスペンションシステムによってまさに「1線を画していた」。一部の情報によると新しいC6には、この"Activa"で培われたノウハウが受け継がれているとのこと。もしそれが本当だとすると、このクラスのVIP車として再びライバルと「1線を画す」操縦性を持っている可能性があり、内装/外装のテイストが保守的になってしまったことを差し引いてもこれは本当に楽しみである。(当時のライバルとの比較記事はブックマークを参照)



コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



« 新C5への期... AUDI A4 »
 
コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
シトロエンとの出会い (opsensual)
2005-02-21 00:26:52
こんばんは。



金曜日の夜、東京からまた 350 km ほどの道のりを XM を運転して帰ってきました。



c5skyblue さんは、ずいぶんといろいろなハイドロ車を乗り継がれたのですね。ハイドロ車に対する思い入れには、ただ感心させられるばかりです。Xantia Activa のことは昔ヨーロッパの自動車雑誌で読んだことがありますが、c5skyblue さんのコメントを見て記憶が少し蘇ったような気がします。



私にとっての最初の車は AX で、初めて車を買ったときから今日に至るまで、飽きもせずシトロエンに乗りつづけています。ただ、車の生活を始めたころはマドリードに住んでいましたので、なにかこだわりがあってシトロエンに手を出したというよりも、むしろ日常生活の中でありふれている車のひとつということだったと思います。それくらいスペインでは仏車が多いんですね。



ですから、私の場合、乗っているうちにだんだんシトロエンが好きになりはじめて、日本に戻ってきてシトロエンというだけで珍しがられる環境の中で、逆に自分の趣味として固まってしまったという感じでしょうか。今では、ハイドロ車にどっぷり漬かっていますが(c5skyblue さんにはかないませんけど)、入り口はハイドロ車ではなかったんですね。
 
 
 
フランスで (c5skyblue)
2005-02-22 01:06:29
お仕事お疲れ様です。



ちょっと、思い出話になりますが・・



昔、嫁と旅行(新婚旅行ですね;)しているときに、ルーブル宮の前のバス停で寒さに震えながらバスを待っていると、目の前にブルーの306が停まり、窓から若い女性が顔を出し、片言の英語で「どこに行くの?乗って」と親切にもホテルの近くまで送り届けてくれました。



今でも良い思い出の一つですが、そのとき306の乗り心地の良さに感動したことも覚えています。



最初のシトロエンはXantiaでしたが、フランス車の乗り心地の良さ、居心地の良さは色々なところで語られている通り、素晴らしいものでした。



ブランド物や、高価な料理だけがフランスの魅力ではなく、庶民の足や生活の道具の中にも国民性や感性があらわれていると思います。



日本でシトロエンに乗る、ということは、私にとってフランス人の培って来た感性を味わうことができる機会(機械?)であり、それだけではなく、乗っていてとても癒されるのです。



また、とても洗練された道具でありながら部分的に不完全だったりして、元来飽きっぽい性質の私がいつまでたっても興味が尽きません。



ハイドロ車だけでなく、AXも、306も、2CVも好きな車です。所有したことはありませんが。



脈絡なくすみません。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。