【夫婦の問題】
+++++++++++++++++++++
100組の夫婦がいれば、100の異なった事情がある。
1組とて、同じ事情の夫婦はいない。
しかも複雑。
大小のちがいはあるだろうが、みな、それぞれの事情の中で、
何らかの問題をかかえている。
問題をかかえていない夫婦はない。
みな、懸命にふんばっている。
ぎりぎりのところで、ふんばっている。
東北地方に住んでいる、HY氏もその1人。
HY氏からのメールを、改めて、読みなおしてみる。
HY氏の問題というよりは、私自身の問題として、
読みなおしてみる。
++++++++++++++++++++++
【HY氏より、はやし浩司へ】
お忙しいところ申し訳ございません。
今家の中は妻と娘の問題で騒然、混沌としております。
どう解決していけばいいかわからない状態です。
先生のお知恵をいただき、何とか解決の糸口を見つる事ができればと思っています。
宜しくお願いします。
妻とは職場結婚し、23年になります。
私は外科医師で妻は元看護師です(結婚と同時に退職)。
結婚当初から気に入らないことがあると、1週間でも口を利かなくなり、私を無視するところがありました。
離婚を匂わせる発言も数回ありました。
私はどちらかと言うと家族の絆・連帯を重んじたいほうで、家内にはそれも重荷になっていたようです。
1年3ヶ月前ちょっとしたことで家内が激高し、それ以来寝室は別々で、家庭内別居の状態が続いています。
元々お互いにセックスレスだったこともあり、今は家内に触れただけで大声を上げて嫌がります。
激高したちょっとしたことについて少し書きます。
・・・早めに病院に行かねばならず、家内が車庫から車を出した際、車庫前に駐車していた隣人の車にぶつかった。
急いでいたしその車が誰のものかもわかっていたので、不覚にも私は家内に、「送っていってから隣人に詫び言って弁償相談して」と言ってしまい、家内にそのようにしてもらった。
しかし家内が帰宅すると隣人の車は出発していたので、家内は隣人に詫びを言い、隣人の車が帰ってきたのは夕方だったとのこと。
その後車庫内に置こうとした私の自転車が、代車がそこにあったことで、うまく駐輪できず、内開きになっている駐車場のドアにかかってしまっていた。
家内が車庫に物を取りに行ったとき、自転車を倒し、自転車が代車にぶつかってしまい、代車が傷つき、家内にそのことを強くとがめられた。
そのまま謝ればよかったのだが、私も眠くイライラして「僕も悪かったが車をとめる時、自転車があるのだから、もうちょっと気をつけてくれてとめてくれても良いのではないか」と抗議してしまった。
非常に雰囲気が悪くなったので、慌てて車を見に行き、かすり傷が、代車についているのを認めた。
車庫内で家内は興奮し、近所に聞こえるような大声で泣きながら怒り始めたので、平謝りに謝った。
翌日自動車会社から私に、「たいした傷ではないので大丈夫ですよ」と言ってもらった。
その日以来、寝室は別になった・・・
対外的に妻は非常に良い人で、幼稚園や小学校でお母さん連中に慕われています。
私の両親にも献身的で祖父母が存命だった時は病院への送り迎えや、母が仙台で手術を受けたときなどは、家族のためにウィークリーマンションを借りたり、下準備を全て行ってくれたり、至れり尽くせりで家族は感謝していました。
また私の父も1年6ヶ月前に亡くなり、秋田で暮らしていた母と、重い精神病の妹が2人残されたので2ヶ月ほど前、仙台市内の我が家から500mはなれたところのマンションを借りるのにも尽力してくれました。
でも私には家庭内別居になってから「おはよう」「おやすみ」「おかえり」などの基本的な挨拶も全くありません。
12歳になる長女は3歳頃から「どうして、どうして」といいながら2~3時間は泣くことがしばしばありました。
家が微妙な状態になった頃、突然受験すると言って中学受験を決意しました。
私が殆どマンツーマンで勉強を見ました(家庭教師もつきましたが)。
今は片道1時間半かかる仙台市内まで、バスと電車を乗り継いで通学しています。
しかし今だ1週間に1回くらいは「自分だけどうして、どうして」と2~3時間大声で幼児返りのようにして泣き続けます。
私立中学入学当初は「一番になる」と豪語していましたが、最近は反抗期も重なりイライラが強く腰を据えて勉強できなくなってきています。
中間テストの2週間前は椅子に座ったと思ったら数秒で立ち上がることを繰り返し、下の子供が寝ると歯磨きをし始める有様に成りました。
もちろん成績も200人中160位くらいでした。「こうやって自分は落ちこぼれていくんだ」と言い聞かせているようにつぶやきます。
今は下の子と帰ってきてから2~3時間遊んで(と言うより遊んでもらって)、下の子が寝る9時頃から1時間かけて10分くらい宿題をして寝てしまいます。
制服も帰ってきてからどんなに注意しても、脱いだままにしています。
「勉強したほうがいいのでは」などというと「今しようと思っていたところなのに、いわれたからやらない!」と拒絶します(言わなかったら殆どしません)。
下の子には思いっきり意地悪をすることが多く、家内は娘を怒ります。
娘はここぞとばかりに、「下の子ばかりかばってどうして自分だけ怒られなければならないの、下の子の方が悪いのに」と言ってまた泣きます。
家内にダッコを求めますが、家内は仁王のように腕組みして立ちはだかり、私に対するのと同じように、「触られたくない」と拒絶します。
弟との差を感じてますます娘は泣きます。
長男は今のところ明るい社交的な子に育っており、母の愛情も充分受けています。でも家庭内のギクシャクのためか切れやすくなってきています。
私の対応としては、出来るだけ家庭内で明るく振舞い家内が嫌な (しつこくする)ことをできるだけ避けるようにしています。でも家内は冷たい・・・
離婚相談のOK先生に円満になれるように相談し始めたところです(家内に内緒で)。
家内に第三者に入ってもらって相談することで建設的になれればと、いっしょに相談にのってもらおうと話を持ちかけましたが、家内は、「それは修復したいと思っている人のすることで、私はこの家にも子供にも未練がない。親権もくれてやる。
あなたにしても、子供にしても帰ってくるのが苦痛だ。私を早く一人にさせて。」と言います。
全てが本心でないのでしょうけど、私に対することは本心と思われます。
「子供には両親が必要だし下の子が20歳になるまでは我々の責任だ」と説得していますが、最近は内心そこまで持たないのではと思います。
家内の精神面がかなり荒廃していると思われ精神科の先生にも相談し安定剤を処方したことがありますが、「私が神病だって言うのかい!」といわれ、1回内服してくれただけで拒絶されました。
それからは何か相談しても(娘のことに関しては会話がかろうじて出来ます)、「精神病の人に聞かないで」と言われてしまいます。
出来るだけ家内を解放して、実家のK町に少しでも帰るように仕向けていますが、外へ向けての完ぺき主義の家内は、夏祭りの準備などで殆ど帰れないように雁字搦めになっています。
今まで家族のためにと思って頑張って働いていたのに、私も死にたい気持ちになったりしています。
ただこのまま私が死んでしまったら子供たちがかわいそうで、母と妹も引っ越してきて、どうしようもないし、私が弱ったらだめと言い聞かせています。
わたしの精神もかなり磨り減っており、カーネギーの「道は開ける」や、心の学校のST先生の、「捨てる生き方」など読み漁っています。
とに角怒らないようにし、子供を過保護にしているのかもしれないけど、抱きしめるようにしています。
ダブルベットで上の子と私は一緒に寝ています。下の子のベッドで家内は寝ていますが、私の部屋が涼しいので、下の子もダブルベットに来るようになり、3人で川の字に寝ることが多くなりました。
このままでは子供の精神が壊れてしまうのではないかということと、家内も相当壊れてきているのではないかと心配しています。
最近は(家内にだけ秘密)、両方の家族に実情を説明し、サポートを期待しています。
あと私に出来ることは何でしょうか?
このまま現状維持で子供は大丈夫でしょうか?
やはり子供が巣立ってから離婚になるのでしょうか、子供のために今離婚したほうが良いのでしょうか?
無理難題の質問してしまい申し訳ありません。
家内は非常に勘が鋭いので、何かありましたら私の携帯(090-xxxx-xxxx)にかけていただければと思います。
何卒ご回答宜しくお願いします。
【はやし浩司よりHYさんへ】
●離婚
こうした問題は、なるようにしかならない。
また(そうなる)ときは、本当に、自然と、(そうなる)。
水が高いところから低いところを求めて流れていくように、(そうなる)。
たとえば離婚にしても、「離婚する」とか「しない」とか、がんばっているときは、離婚などしない。
言い争っている間は、離婚などしない。
「子どもはどうする」「親はどうする」などと騒いでいるときも、離婚などしない。
本当に夫婦が離婚するときは、ごく自然な(流れ)の中で、離婚していく。
そのときは、子どもの姿も、親の姿もない。
もちろん夫婦の間の会話も途絶え、「話し合っても、無駄」という状態になる。
たがいにサバサバした状態で、夫婦は離婚届に署名し、押印する。
●干渉
で、改めてHYさんからのメールを読みなおしてみる。
1年前にいただいたときには感じなかった重みを、今は、感ずる。
しかしこれメールだけで、返事を書くことはできない。
夫婦にはその夫婦にしかわからない、深い事情がある。
いくら想像力を働かせても、そこにはかならず限界がある。
このことは反対の立場を経験してみると、よくわかる。
私もいろいろな経験をした。
けっして平穏、無事な人生ではなかった。
そうした中で、あれこれと私に意見を言ってくる人がいた。
こちらの事情を表面的な部分だけを見て、そこに自分の解釈を加えてくる。
しかもわずか数歳年上というだけで、ものの言い方が説教ぽい。
偉そうな顔をして、「浩司クン、君はねエ・・・」と言ったりする。
あのとき感じた不快感は、今でも忘れない。
ガラス板を、つめ先でひっかくような不快感と言ってもよい。
そういう私を知っているから、こうした問題、つまり夫婦の問題にかぎらず、
家庭内の問題については、私は、首をはさまないようにしている。
もちろん相手から相談があれば、話は別。
が、それでも一方的な話だけでは、
何とも答えようがない。
このHYさんにしても、私はHYさんから相談を受けた。
おそらくHYさんは、自分につごうの悪い話は書いていない。
あるいは自分でも気がついていない問題が、ほかにもあるのかもしれない。
正当に判断しようと考えるなら、HYさんの妻の話も聞かなければならない。
が、それはさておき、メールからもわかるように、HYさん夫婦は、現在、
危機的な状況にあることだけは、よくわかる。
(1) 寝室は別々で、家庭内別居であること。
(2) 妻の体に触れただけで、はげしく拒否されること。
(3) ささいな会話が、そのまま爆発的に、夫婦喧嘩になってしまうこと。
(4) 意思の疎通も、ままならないといった状態、など。
●がんばる当事者たち
私は若いころ、アメリカ人の離婚率は高いと、よく聞かされた。
しかし現在、アメリカ人の離婚率も、日本人の離婚率も、それほどちがわない。
それだけ生活が欧米化したともとれる。
が、ともに心のブレーキがはずれたことも、理由のひとつと考えてよい。
日本では、女性の側が、がまんした。
「離婚は恥」という文化性も、まだ色濃く残っていた。
それに離婚したばあい、女性のほうが決定的に不利な立場に置かれた。
一方、アメリカでは、宗教的な制約から、離婚したくても離婚できない夫婦が多くいた。
今もそうなのかもしれない。
もしその制約が緩めば、離婚率は、もっと高くなるかもしれない。
ともかくも、(離婚)イコール(悪)という考え方は、今では通用しない。
日本では、女性ががまんする時代は、終わった。
5組に1組は離婚する状態である。
●男親
それはそれとして、私も「男親」の1人として一言。
男親というのは、仕事をすることで、家族への義務を果たそうとする。
また仕事をしていれば、家族への義務を果たしていると思いやすい。
しかし残念ながら、(仕事)の力は弱い。
安定した仕事をしていればしているほど、家族は、それを(空気)のように思う。
つまり男親が自負しているほど、家族は、それを評価しない。
私も、よく言われた。
「パパは、仕事ばかりしている」と。
そういう状態になると、男親の苦労話など、家族にとっては、愚痴になってしまう。
HYさんも「家族のために……、がんばって……」という言葉を使っている。
しかしそうした(思い)というのは、家族には通じない。
もっと具体的には、現在、親に感謝しながら高校へ通っている高校生など、さがしても
いない。
大学生でも、少ない。
つまりそういう幻想をもたないこと。
またそういう幻想に、しがみつかないこと。
バートランド・ラッセルも言っているように、(親として、すべきこと)はする。
しかし常にその限度をわきまえる。
●拒否
メールを読むかぎり、なぜHYさん夫婦が離婚しないかという問題より、なぜ
夫婦でいるかということのほうが、理解できない。
仲がよくても、セックスレスの夫婦はいくらでもいる。
一方、セックスをしているからといって、夫婦仲がよいということにもならない。
が、「妻の体に触れただけで、はげしく拒否される」というのは、ふつうではない。
妻のほうに、何か、理由があるのだろうか?
夫のほうに、何か、原因があるのだろうか?
しかしもしそうだとするなら、HYさん夫婦は、他人以上の他人になっている。
私がHYさんだったら、1日だって、そういう状態には、耐えられないだろう。
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100組の夫婦がいれば、100の異なった事情がある。
1組とて、同じ事情の夫婦はいない。
しかも複雑。
大小のちがいはあるだろうが、みな、それぞれの事情の中で、
何らかの問題をかかえている。
問題をかかえていない夫婦はない。
みな、懸命にふんばっている。
ぎりぎりのところで、ふんばっている。
東北地方に住んでいる、HY氏もその1人。
HY氏からのメールを、改めて、読みなおしてみる。
HY氏の問題というよりは、私自身の問題として、
読みなおしてみる。
++++++++++++++++++++++
【HY氏より、はやし浩司へ】
お忙しいところ申し訳ございません。
今家の中は妻と娘の問題で騒然、混沌としております。
どう解決していけばいいかわからない状態です。
先生のお知恵をいただき、何とか解決の糸口を見つる事ができればと思っています。
宜しくお願いします。
妻とは職場結婚し、23年になります。
私は外科医師で妻は元看護師です(結婚と同時に退職)。
結婚当初から気に入らないことがあると、1週間でも口を利かなくなり、私を無視するところがありました。
離婚を匂わせる発言も数回ありました。
私はどちらかと言うと家族の絆・連帯を重んじたいほうで、家内にはそれも重荷になっていたようです。
1年3ヶ月前ちょっとしたことで家内が激高し、それ以来寝室は別々で、家庭内別居の状態が続いています。
元々お互いにセックスレスだったこともあり、今は家内に触れただけで大声を上げて嫌がります。
激高したちょっとしたことについて少し書きます。
・・・早めに病院に行かねばならず、家内が車庫から車を出した際、車庫前に駐車していた隣人の車にぶつかった。
急いでいたしその車が誰のものかもわかっていたので、不覚にも私は家内に、「送っていってから隣人に詫び言って弁償相談して」と言ってしまい、家内にそのようにしてもらった。
しかし家内が帰宅すると隣人の車は出発していたので、家内は隣人に詫びを言い、隣人の車が帰ってきたのは夕方だったとのこと。
その後車庫内に置こうとした私の自転車が、代車がそこにあったことで、うまく駐輪できず、内開きになっている駐車場のドアにかかってしまっていた。
家内が車庫に物を取りに行ったとき、自転車を倒し、自転車が代車にぶつかってしまい、代車が傷つき、家内にそのことを強くとがめられた。
そのまま謝ればよかったのだが、私も眠くイライラして「僕も悪かったが車をとめる時、自転車があるのだから、もうちょっと気をつけてくれてとめてくれても良いのではないか」と抗議してしまった。
非常に雰囲気が悪くなったので、慌てて車を見に行き、かすり傷が、代車についているのを認めた。
車庫内で家内は興奮し、近所に聞こえるような大声で泣きながら怒り始めたので、平謝りに謝った。
翌日自動車会社から私に、「たいした傷ではないので大丈夫ですよ」と言ってもらった。
その日以来、寝室は別になった・・・
対外的に妻は非常に良い人で、幼稚園や小学校でお母さん連中に慕われています。
私の両親にも献身的で祖父母が存命だった時は病院への送り迎えや、母が仙台で手術を受けたときなどは、家族のためにウィークリーマンションを借りたり、下準備を全て行ってくれたり、至れり尽くせりで家族は感謝していました。
また私の父も1年6ヶ月前に亡くなり、秋田で暮らしていた母と、重い精神病の妹が2人残されたので2ヶ月ほど前、仙台市内の我が家から500mはなれたところのマンションを借りるのにも尽力してくれました。
でも私には家庭内別居になってから「おはよう」「おやすみ」「おかえり」などの基本的な挨拶も全くありません。
12歳になる長女は3歳頃から「どうして、どうして」といいながら2~3時間は泣くことがしばしばありました。
家が微妙な状態になった頃、突然受験すると言って中学受験を決意しました。
私が殆どマンツーマンで勉強を見ました(家庭教師もつきましたが)。
今は片道1時間半かかる仙台市内まで、バスと電車を乗り継いで通学しています。
しかし今だ1週間に1回くらいは「自分だけどうして、どうして」と2~3時間大声で幼児返りのようにして泣き続けます。
私立中学入学当初は「一番になる」と豪語していましたが、最近は反抗期も重なりイライラが強く腰を据えて勉強できなくなってきています。
中間テストの2週間前は椅子に座ったと思ったら数秒で立ち上がることを繰り返し、下の子供が寝ると歯磨きをし始める有様に成りました。
もちろん成績も200人中160位くらいでした。「こうやって自分は落ちこぼれていくんだ」と言い聞かせているようにつぶやきます。
今は下の子と帰ってきてから2~3時間遊んで(と言うより遊んでもらって)、下の子が寝る9時頃から1時間かけて10分くらい宿題をして寝てしまいます。
制服も帰ってきてからどんなに注意しても、脱いだままにしています。
「勉強したほうがいいのでは」などというと「今しようと思っていたところなのに、いわれたからやらない!」と拒絶します(言わなかったら殆どしません)。
下の子には思いっきり意地悪をすることが多く、家内は娘を怒ります。
娘はここぞとばかりに、「下の子ばかりかばってどうして自分だけ怒られなければならないの、下の子の方が悪いのに」と言ってまた泣きます。
家内にダッコを求めますが、家内は仁王のように腕組みして立ちはだかり、私に対するのと同じように、「触られたくない」と拒絶します。
弟との差を感じてますます娘は泣きます。
長男は今のところ明るい社交的な子に育っており、母の愛情も充分受けています。でも家庭内のギクシャクのためか切れやすくなってきています。
私の対応としては、出来るだけ家庭内で明るく振舞い家内が嫌な (しつこくする)ことをできるだけ避けるようにしています。でも家内は冷たい・・・
離婚相談のOK先生に円満になれるように相談し始めたところです(家内に内緒で)。
家内に第三者に入ってもらって相談することで建設的になれればと、いっしょに相談にのってもらおうと話を持ちかけましたが、家内は、「それは修復したいと思っている人のすることで、私はこの家にも子供にも未練がない。親権もくれてやる。
あなたにしても、子供にしても帰ってくるのが苦痛だ。私を早く一人にさせて。」と言います。
全てが本心でないのでしょうけど、私に対することは本心と思われます。
「子供には両親が必要だし下の子が20歳になるまでは我々の責任だ」と説得していますが、最近は内心そこまで持たないのではと思います。
家内の精神面がかなり荒廃していると思われ精神科の先生にも相談し安定剤を処方したことがありますが、「私が神病だって言うのかい!」といわれ、1回内服してくれただけで拒絶されました。
それからは何か相談しても(娘のことに関しては会話がかろうじて出来ます)、「精神病の人に聞かないで」と言われてしまいます。
出来るだけ家内を解放して、実家のK町に少しでも帰るように仕向けていますが、外へ向けての完ぺき主義の家内は、夏祭りの準備などで殆ど帰れないように雁字搦めになっています。
今まで家族のためにと思って頑張って働いていたのに、私も死にたい気持ちになったりしています。
ただこのまま私が死んでしまったら子供たちがかわいそうで、母と妹も引っ越してきて、どうしようもないし、私が弱ったらだめと言い聞かせています。
わたしの精神もかなり磨り減っており、カーネギーの「道は開ける」や、心の学校のST先生の、「捨てる生き方」など読み漁っています。
とに角怒らないようにし、子供を過保護にしているのかもしれないけど、抱きしめるようにしています。
ダブルベットで上の子と私は一緒に寝ています。下の子のベッドで家内は寝ていますが、私の部屋が涼しいので、下の子もダブルベットに来るようになり、3人で川の字に寝ることが多くなりました。
このままでは子供の精神が壊れてしまうのではないかということと、家内も相当壊れてきているのではないかと心配しています。
最近は(家内にだけ秘密)、両方の家族に実情を説明し、サポートを期待しています。
あと私に出来ることは何でしょうか?
このまま現状維持で子供は大丈夫でしょうか?
やはり子供が巣立ってから離婚になるのでしょうか、子供のために今離婚したほうが良いのでしょうか?
無理難題の質問してしまい申し訳ありません。
家内は非常に勘が鋭いので、何かありましたら私の携帯(090-xxxx-xxxx)にかけていただければと思います。
何卒ご回答宜しくお願いします。
【はやし浩司よりHYさんへ】
●離婚
こうした問題は、なるようにしかならない。
また(そうなる)ときは、本当に、自然と、(そうなる)。
水が高いところから低いところを求めて流れていくように、(そうなる)。
たとえば離婚にしても、「離婚する」とか「しない」とか、がんばっているときは、離婚などしない。
言い争っている間は、離婚などしない。
「子どもはどうする」「親はどうする」などと騒いでいるときも、離婚などしない。
本当に夫婦が離婚するときは、ごく自然な(流れ)の中で、離婚していく。
そのときは、子どもの姿も、親の姿もない。
もちろん夫婦の間の会話も途絶え、「話し合っても、無駄」という状態になる。
たがいにサバサバした状態で、夫婦は離婚届に署名し、押印する。
●干渉
で、改めてHYさんからのメールを読みなおしてみる。
1年前にいただいたときには感じなかった重みを、今は、感ずる。
しかしこれメールだけで、返事を書くことはできない。
夫婦にはその夫婦にしかわからない、深い事情がある。
いくら想像力を働かせても、そこにはかならず限界がある。
このことは反対の立場を経験してみると、よくわかる。
私もいろいろな経験をした。
けっして平穏、無事な人生ではなかった。
そうした中で、あれこれと私に意見を言ってくる人がいた。
こちらの事情を表面的な部分だけを見て、そこに自分の解釈を加えてくる。
しかもわずか数歳年上というだけで、ものの言い方が説教ぽい。
偉そうな顔をして、「浩司クン、君はねエ・・・」と言ったりする。
あのとき感じた不快感は、今でも忘れない。
ガラス板を、つめ先でひっかくような不快感と言ってもよい。
そういう私を知っているから、こうした問題、つまり夫婦の問題にかぎらず、
家庭内の問題については、私は、首をはさまないようにしている。
もちろん相手から相談があれば、話は別。
が、それでも一方的な話だけでは、
何とも答えようがない。
このHYさんにしても、私はHYさんから相談を受けた。
おそらくHYさんは、自分につごうの悪い話は書いていない。
あるいは自分でも気がついていない問題が、ほかにもあるのかもしれない。
正当に判断しようと考えるなら、HYさんの妻の話も聞かなければならない。
が、それはさておき、メールからもわかるように、HYさん夫婦は、現在、
危機的な状況にあることだけは、よくわかる。
(1) 寝室は別々で、家庭内別居であること。
(2) 妻の体に触れただけで、はげしく拒否されること。
(3) ささいな会話が、そのまま爆発的に、夫婦喧嘩になってしまうこと。
(4) 意思の疎通も、ままならないといった状態、など。
●がんばる当事者たち
私は若いころ、アメリカ人の離婚率は高いと、よく聞かされた。
しかし現在、アメリカ人の離婚率も、日本人の離婚率も、それほどちがわない。
それだけ生活が欧米化したともとれる。
が、ともに心のブレーキがはずれたことも、理由のひとつと考えてよい。
日本では、女性の側が、がまんした。
「離婚は恥」という文化性も、まだ色濃く残っていた。
それに離婚したばあい、女性のほうが決定的に不利な立場に置かれた。
一方、アメリカでは、宗教的な制約から、離婚したくても離婚できない夫婦が多くいた。
今もそうなのかもしれない。
もしその制約が緩めば、離婚率は、もっと高くなるかもしれない。
ともかくも、(離婚)イコール(悪)という考え方は、今では通用しない。
日本では、女性ががまんする時代は、終わった。
5組に1組は離婚する状態である。
●男親
それはそれとして、私も「男親」の1人として一言。
男親というのは、仕事をすることで、家族への義務を果たそうとする。
また仕事をしていれば、家族への義務を果たしていると思いやすい。
しかし残念ながら、(仕事)の力は弱い。
安定した仕事をしていればしているほど、家族は、それを(空気)のように思う。
つまり男親が自負しているほど、家族は、それを評価しない。
私も、よく言われた。
「パパは、仕事ばかりしている」と。
そういう状態になると、男親の苦労話など、家族にとっては、愚痴になってしまう。
HYさんも「家族のために……、がんばって……」という言葉を使っている。
しかしそうした(思い)というのは、家族には通じない。
もっと具体的には、現在、親に感謝しながら高校へ通っている高校生など、さがしても
いない。
大学生でも、少ない。
つまりそういう幻想をもたないこと。
またそういう幻想に、しがみつかないこと。
バートランド・ラッセルも言っているように、(親として、すべきこと)はする。
しかし常にその限度をわきまえる。
●拒否
メールを読むかぎり、なぜHYさん夫婦が離婚しないかという問題より、なぜ
夫婦でいるかということのほうが、理解できない。
仲がよくても、セックスレスの夫婦はいくらでもいる。
一方、セックスをしているからといって、夫婦仲がよいということにもならない。
が、「妻の体に触れただけで、はげしく拒否される」というのは、ふつうではない。
妻のほうに、何か、理由があるのだろうか?
夫のほうに、何か、原因があるのだろうか?
しかしもしそうだとするなら、HYさん夫婦は、他人以上の他人になっている。
私がHYさんだったら、1日だって、そういう状態には、耐えられないだろう。