闘え!文庫魂

空手を愛する熱い仲間たち
金沢文庫木元道場生におくるメッセージ

2007年08月17日 | 道場日記

 今日も少年部の初級は少ないかと思いきや・・・少しずつ帰ってきた感じで、予想に反して多くの稽古生の参加があった。そして昨日に引き続き、暑いのにもかかわらず、元気いっぱいだった。それぞれ日焼けしていて、なんだか成長したように感じた。夏休みにしかできない経験をしたのだろうか?楽しかった話をしてくれる子もいた。やっぱりみんなほんとに可愛いなぁ~♪
 息子の体調もだいぶ良くなってきたようなので、一般部にも仕事をしながら、残っていた。せんせーが指導しているものの、木曜日は黒帯の先生が担当してくださる日なのでなんともいえない緊張感と喜びがあふれている。それに自主トレに来られた石井指導員も加わって、道場は活気にあふれていた。
 せんせーの怪我で黒帯衆が立派に道場を守ってくださっていたとき、昔のことを思い出していた。じむちょーが出逢った時、せんせーはすでに何年も前から横須賀の体育館で指導を任されていた。常設道場ではなく、今の泉中田や湘南台道場の先生方のように仕事を持ちながら週に一回か二回集る稽古生のところに通っていた。
サポーターもなく、名前や顔を覚えるまでもなく、多くの人が入門し、辞めていく時代だった。その中でもやる気のある人は、稽古の無い日は自分でトレーニングし、稽古できるその日をとっても大事にしていた。
 つきあいも悪く、仕事場でいろいろ言われることもあった。徹夜で仕事をし、高速の入口で数分仮眠して体育館に向かった日もあった。指導をしに抜けて夜中に仕事場に戻ってひとり仕事をした日も数え切れないほどあった。部下ができてからは、自分だけ帰る事がますます難しくなった。それでもどうしてもいけない日は、当時緑帯だった中山先輩、二本木指導員、恵吾指導員、藤本指導員、鈴木国博師範などが稽古を代わってくださっていた。
 一緒にいたくてケンカをしたこともあったな・・・でもよっぽどの事情がないかぎり、体調が悪くても父が危篤のときですら、指導を休むことがなかった。ただ強くなりたかったんだって・・・そしてどんなに倒されても強くなりたくて稽古に来る皆が待っていてくれたからこそだと思う。くじけそうな心も逆に仲間に励まされ、救われた日もあったはずだ。そんな思いをみせつけられては何も言えなかった。
 今は逆に道場で皆をただひたすら待っている。いつ誰がくるかわからないし、昔のようにみんなで顔を合わすことはなかなかできないけれど・・・自分がそこにいて、自分も少しでも力をつけて、強くなりたい皆をひっぱってやりたいといつも言っている。今ある環境の中で、責任を持って自分の役目を果たすことこそが、道場を任せていただいていることに報いることだと思っている。道場にせんせーがいるから!という動機づけがあったとしたら、それを裏切りたくないと思っている。だからこそ今回のことは本当に不本意だったはずだ。そんな事態を助けてくれたのが、体育館時代の仲間でもある黒帯さんたちと黒帯になったばかりの播田指導員だった。
 今はあの頃の道場とは少し違う。せんせーが床に伏しているとき、質問してみた。「習いにこられる人の層もも変わり、今と昔では強くなりたいという気持ちに違いはあるのだろうか?」と。せんせーは言った。

 「今だって、皆負けたくない何かに必死に耐えて、強くなりたいと思っているよ。」と。

 今日来た一般部のメンバーのほとんどが、せんせーがいないときにもそれぞれの黒帯さんの指導を受けていた。来てくれた稽古生ひとりひとりにどう伝えることが最善なのかを時には悩み、頭をひねって指導してくれた思いはちゃんと通じている。せんせーの見ていないところでも、絆のバトンはきちんと渡されているんだと思った。