一昨日のブログの続きです。
ギリシャは、対外債務を自国の経済力では、償還することができずに、欧州中央銀行やIMF(国際通貨基金)からの大量の融資を、期限が到来した国債の償還資金に充当しています。
一時的に資金がショートしているのとは訳が違って、税収で国債を償還するには、今後数年から十数年必要だと言われていますし、わたくしも同意見です。
融資する側は、もちろん国内経済を早急に立て直して、自力で国債を償還するように緊縮財政を条件にし、定期的な検査も義務づけています。
ギリシャの国内経済は、全くもって火の車ですから、福祉のレベルが下がり、税金や公共料金が上がり、公務員の数も制限され、国民は、これまでとは全く異なった生活を受け入れなければなりません。
こうした最中、議会が解散され、新しい政権が国民から選ばれましたが、与野党の力関係で組閣ができずに、再度総選挙という混乱ぶりを呈しています。
ギリシャ国民は、緊縮財政を受け入れるのに反対で、ユーロ圏離脱も反対ということですから、緊急に国内経済を立て直すことでしか彼らのエゴを通す方法はありません。
しかしギリシャは、これと言った産業がありませんし、観光資源と海運で国家財政を支えているだけですから、国内経済を早急に立て直すことは、先ず無理でしょう。
昨日、イタリアのモンティ首相は、加盟国がギリシャに要求していること(向こう3年以内の経済回復)は現実味を欠いており、広範囲にわたる同国の経済改革達成には数十年を要す可能性があると指摘しました。
これは正確にギリシャという国の状況を見ていると思います。
一昨日のブログでは、ギリシャのユーロ離脱には、自ら撤退の道を選択するか、欧州中央銀行の融資がストップし、撤退させられるという2つのストーリーが考えられると書きました。
モンティ首相の指摘のとおりだとすれば、中央銀行が融資を止める可能性が大きくなってきます。
融資を継続したくても、各国の世論がそれを許さないでしょうし、各国政府も自国の経済を犠牲にしてまで、ギリシャを助ける大儀を見つけられないでしょうから、やむを得ない選択を迫られるXデーがやってくることになりそうです。
デフォルトに陥ると、とてつもないインフレが起こるでしょうし、旧通過であるドラクマとユーロの交換比率が恐らく2:1で始まるだろうとも言われています。
つまり旧通貨ドラクマを今日から復活させますとギリシャ政府が表明した瞬間に50%のインフレから経済がスタートするということです。
軍隊や警察を含む公務員には、通貨ではなく、有価証券のような紙で給与を支払うことになりそうですし、国際的な信用がほとんどない通貨ですから、さらにインフレが拡大し、物価は高騰、仮にお金があっても物がないという状況にもなることでしょう。
最悪の場合、暴動が起こる可能性もあり、軍隊も警察も国家の統制下に置くことは、困難であるかも知れません。
国内のいくつかの金融機関は破綻し、ギリシャ国債が紙切れとなってしまいますので、国外で破綻する金融機関もあると考えられます。
こうなると、EU圏域全体で経済が冷え込み、ユーロの価値は下がり、逃避先の通貨としてのファーストチョイスは円でしょうから、ユーロを売って円、次いでドルを買う動きが相当活発になりそうです。
中国は、ヨーロッパに対する輸出が鈍り、不動産バブルの崩壊と相俟って、経済は縮小
日本も当然ながらこの波によってリーマンショック以上の打撃を受ける可能性があります。
だからどうすればいいの?という疑問に対する答えはないのかも知れません。
最近、ギリシャ国民は覚醒せよ!EUと世界経済全体に対する責務を考えろ!のような論評を見ることもありますが、市場の潮流は、変えられそうにありませんから、皆が腹をくくるしかないと言うのが本当のところでしょう。
ユーロ主要国は、絶対に離脱はさせないと公言していますが、ソフトランディングでこのことを解決させたいというのが本音でしょう。
スペインやイタリアが追従する可能性も捨てきれませんし、一気にユーロワールドの崩壊という恐ろしいシナリオも書けてしまいます。
為替相場を見ると、対円でのユーロは、週明けは100円を再度割り込みそうな勢いで下落していますし、ドルに対しても売られ過ぎだと観測されています。
もちろんこのまま一気に下がることはないのでしょうが、徐々に下がって行くとする読みは間違っていないと思います。
円高の今こそ!外貨預金というキャッチフレーズで外貨(特にユーロ建て)預金を始めてしまったのなら、損切りしてもいいので、100円を超している間に円に切り替えておくのが賢明な選択と言えましょう。
こう書いてくると、どうしても離脱させたいの?とお考えになる方もいらっしゃるでしょうが、存続というシナリオが描けないというのが本当のところです。
最近投資家の間で囁かれているスラング
ドラクマゲドン(だったかな?)
ドラクマとハルマゲドンを組み合わせた造語ですが、ギリシャの置かれた立場を端的に表しているような気がします。
わたくし達日本人が、あるいは、日本国がギリシャのデフォルトに間接的にでも関与できることは、何もなさそうですが、今後気をつけなければならないことは、政府民主党がこのことを大々的に利用し、3.11以降の情報隠しに拍車をかけることを我々国民は、かなり冷静に監視しなければなりません。
消費税増税の言い訳に使うことも考えられますし、放射能汚染された震災瓦礫の国内全域へのばらまきを覆い隠すのに格好の材料ともなりかねません。
日本経済に押し寄せる波は、先にも書いたように大きいと思われますが、3.11とギリシャのデフォルトは、全く関連がありません。
そんなことは当然なのですが、あの民主党政権なら「自分のおちどは、小さく小さく」
「人様のおちどは大きく大きく」「都合の悪い情報は、マスコミを丸め込んで覆い隠す」等のことが分かってきましたから。
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