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「自然エネルギー」という欺瞞語

2011-05-24 | Weblog
「自然流の随想」

非常に的確かつ分かり易いブログ、特に「自然エネルギー」についての考え方を正確に教えてくれます。

転載します。

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「自然エネルギー」という欺瞞語

原発は要らないと言う人が増えて来たのは大変喜ばしいが、その替りに自然エネルギーを推進せよという主張が多い。原発の安全神話には騙されない人でも、「自然エネルギー」という言葉には簡単に騙されている。

自然エネルギーを推進する人達がどういう意味で自然エネルギーという言葉を使っているのかわからないが、どうやら太陽光発電や風力発電を指しており、石炭、石油などの化石燃料は自然エネルギーには属さないらしい。だが、これは極めて非科学的な言葉の使い方である。

エネルギー保存の法則により、人間はエネルギー源を造り出すことができない。天然に存在する未加工のエネルギー媒体が一次エネルギーであって、自然エネルギーとは一次エネルギーと同義である。石炭、原油も自然エネルギーにほかならない。

したがって、一次エネルギーに人手を加えたエネルギー(二次エネルギー)は自然エネルギーではない。といっても、採掘、集積、運搬のような人手が加っても、エネルギー媒体の形が変らなければ、自然エネルギーと呼んでも差し支えなかろう。コークス、木炭、ガソリンなどは元の石炭、材木、原油から人工的に成分を変えたものなので、二次エネルギーであり、自然エネルギーとは言えない。それでも、電力に比べれば自然度は高い。

太陽輻射、風力、水力も太陽熱温水器、風車、水車のようにそのままの形で使えば自然エネルギーだが、電力に変えたら自然エネルギーではなくなる。電力は人工の塊のようなもので、自然エネルギーからは最も遠い。だからこそ磨き上げた良質のエネルギーなのだ。

太陽光発電や風力発電を再生可能エネルギーと言うのも大きな誤りである。発電のためには再生不可能な化石燃料や材料資源を大量に使わなければならない。

太陽光発電や風力発電を自然エネルギーとか再生可能エネルギーとか呼ぶのは、それらが大量の非再生可能資源を使って加工されたエネルギーであることを誤魔化すもので、原子力発電は「発電する時にCO2を出さない」からクリーンだという屁理屈と大差ない。

このような欺瞞語を使っては理にかなった議論ができるわけがない。英語にもnatural energyという言葉はあるようだが、エネルギー関連の書物や論文ではほとんど見かけないのは、使う意義がないからだろう。

太陽光発電も風力発電も、エネルギー密度の薄さや天候•時刻による変動などの制約があるだけでなく、自然エネルギーでも再生可能エネルギーでもないという事実からしても、現在の化石燃料や原子力発電の代替にはならない。

いくら脱原発や環境保護をうたっても、太陽光発電のような手の込んだ人工的なエネルギーの推進をはかるだけでは、大量消費の容認と一層の消費拡大につながる。地球環境破壊への道から何も踏み出さない。

本当に環境を保護し、持続可能な社会にするためには、原発をやめると同時に、化石燃料の総消費量に厳しい上限を設けなければならない。

太陽光発電がなかなか普及しないのは高くつくからだが、高くつくのは、結局は化石燃料を余計に使うからである。「試論:お金のかかる環境保護は本物か」を参照。

太陽光発電が本当に化石燃料消費を減らし、エネルギー供給量を増やすことができるのなら、税金を使って無理して推進しなくても、経済原理で自然に普及するはずだ。(2011年5月10日)

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風力発電の優等生デンマークの実態

2011-05-24 | Weblog
風力発電について調べていたところ、素晴らしいブログを発見しました。

「自然流の随想」

そのなかで、デンマークの風力発電についての記事があったので転載します。

その他の記事も大変参考になるので、是非一度訪問してみて下さい。

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「風力発電の優等生デンマークの実態」

つい最近、環境省は風力発電で原発7-40基分の発電が可能だと発表した。7-40%とは大きな幅だが、平均の稼働率を24%と仮定しているから、立地の見積りの幅だろう。

40基分という最も楽観的な見積りでも、現在の原発54基の74%だから、日本の現在の発電量の30%が原子力だとしても、総発電量の22%を補えるに過ぎない。原発7基分なら、たった3.8%である。風力発電が日本の現在の電力需要にほとんど応えられないことがわかる。

風力発電は地表面積当りの発電密度や発電量の変動の点では太陽光発電以上に不利であるほか、騒音や鳥類被害という固有の問題もある。

いろいろ問題があっても、それなりに対応ができ、最終的なコストが火力発電より安上がりならば、政府が税金を使って無理に支援しなくても自然に普及するはずだ。そうならないのは、問題解決が困難で、コストの点でも結局は化石燃料より不利なのだろう。

風力発電は太陽光発電よりコスト的に有利かも知れないが、本当のところはよくわからない。いずれにしろ、火力発電より経済負担が増えるということは、火力発電より化石燃料を余計に消費することを示唆する。

風力発電の優等生としてしばしば引き合いに出されるデンマークだが、実態はどうか。いくつかの情報によると、とてもお手本になる状況ではないようだ。

2007年、デンマークは全発電量の19%を風力で発電した。しかしその多くがスエーデン、ノルウェー、ドイツ、オランダなどに輸出され、国内消費は電力需要の5-10%である。風力発電量が多い時には消費しきれないので、補助金をつけて安く輸出させる。

水力発電が豊富な北欧は、デンマークから安く電力が買える時はそれでダムに揚水し、デンマークは風力発電ができない時は北欧から輸入する。輸入価格は輸出価格より高い。その差額を払うのはもちろんデンマークの消費者である。デンマークの電力は0.32ドル/kWhで、欧州でも突出して高いという。

デンマークがコスト割れでも風力発電電力を輸出するのは、バックアップ発電所を自国内に造るより安いからであろう。風力発電を導入したら、その最大発電能力と同等な火力、水力などのバックアップ発電所が必要なのである(発電所の二重投資が必要)。

デンマークにこんな事ができるのは、近隣に需要国があり、特に北欧のダムという「電力貯蔵所」とつながっているからである。更に、人口わずか550万の小国であることにもよる。日本のお手本にはならない。

なお、近年の風力発電増加にも拘わらず、デンマークでは石炭消費量もCO2排出量も下がっておらず、一次エネルギー消費の化石燃料依存率は、アメリカと同水準だという。

風力発電の数々の問題点が表に現れないのは、まだ数が少ないからに過ぎない。増えてくると激しい発電変動への対応に莫大なコストがかかり、バックアップ火力発電の効率も下がる。ドイツでも限界に近いようだ。

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参考文献
http://www.aweo.org/problemwithwind.html
http://rightwingnews.com/environment/
u-s-should-not-repeat-germanys-wind-power-mistake/
Renewable Energy Cannot Sustain a Consumer Society
(Ted Trainer 2007 Springer)
Power Hungry (Robert Bryce 2010 PublicAffairs)
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2011年5月19日

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