sys-s.pdf R2012-07.pdf 記事一覧 |
コーシーの積分表示(実軸上は相殺) |
R2012-07.pdf 第10章の抜書きを少し加筆しましたが,あまり改善できませんでしたので補足を追加します.もちろん1変数だけです.
補足:(1) δ(t) や u(t) の F±(z) による表現の前に,まず普通の関数のコーシーの積分表示(上図)で |ζ| → ∞ とした積分路での積分値を 0 として,実軸近傍の積分値だけを考えます.f(ζ) が実軸上に極を持たなければ,z = t とおいた [A%31] の積分路を [33%3] と同様に定めると,F+(ζ) - F-(ζ) では微小半円上の積分値の差が残ります.C(+) の微小半円は時計回り,C(-) の微小半円は反時計回りですから,差には時計回りに1回転することになり f(t) が現れます.f(ζ) が実軸上に極を持つときも同様です.
※ z = t が極でなければ積分するまでもなく f(t + jε) = f(t - jε) ですが,積分を考えることにより z = t が極のときは積分によって留数が現れることが分かります.積分を使わないと [1%1] のような定義から δ(t + jε) - δ(t - jε) の値を考えるのは困難です.また,F±(t ± jε) を計算するときの閉路が小さいと実軸から離れたところでの積分値も無視できなくなります.実軸上(極は微小半円で避ける)であれば差をとったとき留数以外の積分値は相殺されます(極は複数あってもよい).
(2) δ(t) を考えるときは [A%11] のようなフーリエ逆変換より [A%31] のような ∫f(t)δ(t) dt = f(0) に基づいた導出の方が普通の関数の場合との対応が分かりやすくなります.
(3) u(t)(普通の関数として解析接続できない)の波形からは F+(t + j0) - F-(t - j0) = u(t) となる {A%12] の F(z) を想像し難いのですが,δ(t) の F(z) を積分すると辻褄が合っていることを確認できます.