sys-s.pdf 用の「有限体の拡大」( http://www18.ocn.ne.jp/~pulsar/tmp/sys-E2S.pdf )を補足したブログ記事「GF(3)の拡大」 を pdf 化した
http://pulsar.blog.ocn.ne.jp/topics/B2014-03.pdf
を作りました.剰余類の記号が違いますが,括弧,バーのいずれも使われているようです(バーの方が省スペース).
これらの資料は GF(2)から GF(2m)への拡大では分かり難かった有理数体の拡大を学ぶための橋渡しを意図していますので,[x] と α を同一視することに違和感が無くなれば,B2014-03.pdf の内容は忘れてください.
※ 数学書を読むには「同一視」に慣れることが必至です.典型例は双対空間で,『ベクトル空間 x 上の線形汎関数が作る空間を x* としたとき,x* 上の線形汎関数が作る空間 (x*)* を x と同一視する』ことです.「(x*)* = x」が数学者の常識 --- 難しいですね (行ベクトルと列ベクトルの具体例なら高校生でもわかるのですが).
補足:(1)B2014-03.pdf では sys-E2S.pdf の K[x]/(g(x)) についての説明を割愛しましたが,(g(x)) は g(x) で割り切れる多項式の集合で,B2014-03.pdf の [0] のことです([0], [1] は g(x) に依存するので,丁寧に書けば例えば [0]gや [1]g).K[x]/(g(x)) の表現は除算のように見え,名称も商環(体になれば商体)です.
(2) K[x]/(g(x)) をさらに g'(y)=0 等の根で拡大するときも多項式のままで議論できます --- Kが有理数体で,g(x) = x3 - 2, g'(y) = y2 + 1 のとき,剰余類がなす線形空間の基底は [1], [x], [y], [xy], [x2], [x2y] (x = (3√2), y = (√-1))で,[0] は g(x)g'(y) で割り切れる多項式の集合.
(3) 有理数体を拡大するときは,逆元の存在に B2014-03.pdf のような論法は使えません.
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