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[3-35] 双1次変換 |
ディジタルフィルタの設計に関する説明は [#37] だけで,かつ極めて簡単になってしまいました.伝達関数が与えられたときの回路の構成については[3-1], [3-2]等で説明されていますから,ここでは帯域制限用のフィルタの伝達関数の設計例について述べます.詳細は下記の資料等をご覧下さい.
帯域制限フィルタとは,信号の所定の周波数成分はそのまま通過させ,その他の成分は阻止するフィルタで,その典型が[#37]の理想低域通過フィルタです.任意の遮断周波数に対する低域通過フィルタを設計できれば,それを用いて高域通過フィルタ,帯域通過フィルタを設計できます.
理想低域通過フィルタは本質的に(因果的な回路による)実現が不可能なのでこの伝達関数を近似する伝達関数を考えます.画像を走査した信号のように波形の歪を抑えたいときは直線位相に近い伝達関数(例.バターワースフィルタ)を考え,音声のように位相歪はあまり問題にならないときは遮断特性のすぐれた伝達関数(例.チェビシェフフィルタ)を考えます.
3次のバターワースフィルタの伝達関数を H3(s) とすると
| H3(s) |2 = 1 / (1 + (s/jωc)6)
であり,ωc = 1 と正規化したときの右辺の極のうち s の左半平面にあるものを集めたのが[#37] の s の有理式で,この式に s = (z - 1)/(z + 1) を代入した[#37]の H(z) が ωc = 1 の3次のアナログのバターワースフィルタを双1次変換した伝達関数です.
補足: 静止画像の処理では2次元のz変換,2次元のディジタルフィルタが用いられます.お薦めの書物はいくつかありますが,Google の検索では詳しい解説を見つけられませんでした([3-36]は専門的な論文の例).
[3-33](再掲) ディジタルフィルタ
http://ufcpp.net/study/digital_filter/
バターワースフィルタ,チェビシェフフィルタ,逆チェビシェフフィルタ,楕円フィルタ
チェビシェフ有理関数
[3-35] ディジタルフィルタ設計
http://www3.bpe.es.osaka-u.ac.jp/~nakamura/Filter.pdf
フーリエ級数展開法,周波数サンプリング法; インパルス不変法,双1次変換法.
アナログフィルタの伝達関数(バターワース,チェビシェフ,楕円)
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[3-36] LMSアルゴリズムを用いた2次元再帰形適応フィルタ
http://opac.lib.yamanashi.ac.jp/metadb/up/yamanashi/KJ00000158550.pdf