boban のんびり 株投資日記

備忘録です。ディトレードなどの短期勝負ではないので、日々の変化はあまりありません。

中国の「株価PKO」が効かない理由

2015-07-08 | 2015
2015年 07月 8日 13:49 JST ロイター 

James Saft


[7日 ロイター] - 中国当局が相次いで打ち出した異例の株価支援策。それがうまく行かないと考えるのは、勇気があり余る投資家だけだろう。一方、それがうまく行くと考えるのは、愚か者だけだ。

今の中国株に関して選択の余地があるなら、正しい態度は傍観者として様子を見守ることだ。なぜなら、株式市場の急落に直面した中国当局は、一連の強力な対策で売り手を威圧しようとしており、それらは株価にとっては支援材料だが、現実と株価のかい離をもたらすからだ。

6月12日以降に上海総合指数が約30%下落したのを受け、中国当局は今月4日から立て続けに株価の下支え策を発表。中国の大手証券21社は、相場を下支えするため総額1200億元を株式投資に充てると発表。中国人民銀行(中央銀行)は、これら証券各社への信用取引向け融資を手掛ける国営の中国証券金融に対し、流動性支援を提供する方針だという。

さらに中国株式市場への上場を計画していた28社が4日、株式新規公開(IPO)を中止すると明らかにした。

これらの対策が打ち出される直前には利下げも行われていたが、どちらも株式市場の下落を食い止めるには至っていない。

中国当局はまた、株式市場の空売り筋にも怒りの矛先を向けており、「相場操縦」の可能性を調査すると表明した。

彼らは明らかに、自らを自国資本市場での最後の買い手と位置付けようとしている。株価支援資金の多くは、当局の意向に依存し、当局の期待に応えることが求められている機関に流れ込んでいる。

<日本のPKOの教訓>

週明け6日の中国市場は、上海株が支援策を好感して2.4%反発した一方、本土当局のコントロールが及びにくい香港株は3.2%下落。1日の下落率としては2012年5月16日以来3年ぶりの大きさとなった。

中国当局は明らかに、積極的な金融緩和や発言などを通じて相場を下支えする「バーナンキ・プット」や「ドラギ・プット」のような考えに傾注している。しかし、一連の株価支援策は、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁のやり方をはるかに超越している。

また中国当局には、輸出主導型経済から消費主導型経済への転換を株価上昇を通じて促したいという意向もある。足元の株価急落は、こうした経済モデルの転換を台無しにし、それによって中国政府の威光を曇らせる可能性もある。

現在の中国の株価支援策と、1929年にJPモルガンなどウォール街の銀行が取り組んだ相場暴落阻止策(結局は失敗に終わった)には、いくつかの類似点はある。ただ、どんなコストもいとわない中国のやり方は、やはり別物と言えるだろう。

おそらく歴史的に最も近いのは、1992年に日本政府が取った株価維持策(プライス・キーピング・オペレーション=PKO)だ。日本政府は総合経済対策の1つとして、郵便貯金や簡易保険の資金運用について株式組み入れ制限を撤廃した。

当時の日本政府の考えは、おそらく現在の中国政府も同様だが、当局が株価を押し上げることさえできれば、景気回復に伴って民間投資家も後に続くというものだ。日本株は公的資金の投入でいくらか回復したものの、ほどなくして下げに転じた。その後の日本と日本株が厳しい道をたどったのは周知の通りだ。

現在の中国政府は間違いなく、1992年の日本政府や2008年のバーナンキFRB議長(当時)、2012年のドラギECB総裁に比べ、自分の領域内で強い力を持っている。

これが、中国の資本市場のゆがみを一段と強めており、ほぼ間違いなく、最終的な代償はかなり高く付くことになるだろう。






中国株、3%超の急反落:識者はこうみる

2015-07-08 | 2015
2015年 07月 7日 17:20 JST ロイター


[東京 7日 ロイター] - 中国株式市場の大規模な混乱を防ぐため当局が週末に異例の株価支援措置を発表したにもかかわらず、7日の中国株式市場は急反落して始まった。中国株式市場は6月中旬から先週末までに約30%急落していた。

識者の見方は以下のとおり。

<楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之氏>

中国株が下げ止まらない。これまで過度にレバレッジを掛けた個人資金が主導して買われていた分、下げたときのダメージが大きくなっている。

中国当局は利下げや株取引の手数料引き下げ、年金による株式投資の解禁、証券各社による基金設立など市場安定化策を矢継ぎ早に打ち出しているが、後手に回っている印象を拭えず、不安心理を高めている。

投資家は近視眼的な株価対策ではなく、日本のような政府主導の企業改革を求めているのだろう。

中国株の急落が中国経済に悪影響を与えると、世界的なリスクオフが起こりかねない。そうなれば日本への影響は、中国関連株やインバウンド消費関連銘柄にとどまらないだろう。

警戒される時期は秋口。株価下落により中国の個人資金が相当目減りしており、中国消費の下押し懸念が強い。

株価がいったん下げ止まれば一時的に警戒心は和らぐだろうが、株価下落の影響が現れる8─9月の経済指標で悪化が確認されれば、一段安の展開を余儀なくされそうだ。

<東洋証券 ストラテジスト 檜和田 浩昭氏>

信用取引も多く、需給的なところで売りが出ている。上海総合指数は終値ベースで前年の安値と直近の高値の半値押しの水準が3578ポイント付近となる。

また、リーマンショック後の2009年夏に付けた高値が3471ポイントとなっており、このあたりが節目となるだろう(前日終値は3775ポイント)。

一方通行になりやすい市場のため、テクニカル的なものが効きにくい部分もあるだろうが、これらの水準まで来れば、ある程度落ち着いてくるのではないか。

人民銀行や証券当局がさらなる政策を打ち出してくる可能性も高い。株価下落などを背景に、批判の矛先が政府に向かうことも避けたいところだろう。

手口では海外投資家の買い越しが目立っているということも、現地では伝わっている。海外勢が安値を拾いに来るということも、下支えの材料となると思われる。

日本株に対しては、小売関連などの重しとなる可能性もあるが、極端に影響することはなさそうだ。中国株が下落したとしても、(GDPが)7%程度はしっかり成長していくとみられる。

さらに「一帯一路政策」でインフラ輸出もやっていく。成長モデルの転換を図る動きは、今後も続いていくと見ている。

<学習院大学 経済学部教授 渡邉真理子氏>

中国では5月と10月に株価が下がりやすいと言われている。今年5月はガス抜き程度の下落で終わったが、6月に入って本格的な下落となった。中国経済が弱いなかで株価だけが上昇してきた反動が出ているのだろう。

日本への旅行は、もはや一時的な流行ではない。冬にニセコ、秋に京都と定番化しているようだ。米国や欧州に行くより、飛行機代は安いし、時差もほとんどない。日本国内にマンションなど不動産を買った人も多く、日本行きを止めることはないのではないか。

ただ、中国は個人投資家が多いので、このまま株価が下落を続ければ「爆買い」と言われているような大量買いをちょっと控えるようになるかもしれない。

気になるのは、中国政府のあわてぶりだ。ファンダメンタルズからかい離したような株価の調整はある程度、想定されていたと思うが、矢継ぎ早に出てきた対策は、口座監視や空売り監視など場当たり的な対策が中心だった。

その裏には何があるのかと、逆にマーケットの不安をあおっている。