独りぐらしだが、誰もが最後は、ひとり

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放蕩息子の更なる告白(百三十一話)Ⅲ   佐藤文郎

2019-05-08 21:43:03 | 日記
 契約して直ぐの頃、会社のカタログを見ていて,ホームページ制作会社の、社歴の横に社長の経歴や関連する企業の会社名がずらりとならんでいた。殆どが、警察関連の名前が多かった。数えたら十五六有った。それを見て、不審に思う人はいないはずである。安心が出来る,といって信頼をよせるのが普通かもしれない。
 私はちがった。なぜかむしろ不信を感じた。渋谷警察署に行って,調べてもらった。長い事待たされたが、調べましたがこの通りですという答えだった。
 また、ホームページ制作会社から送られて来た「東芝7(新品)」というノートパソコン自体の、内部の仕組みや、操作の仕方がマックとは違うので、どうなっているのかを知りたくて、ブロバイダーとの契約項目の中に、“遠隔操作”があったので、それを利用して行ってもらった。所有者と言ったか,契約者と言ったか、「そこに名前がありますか?」と言われたので、「はい、あります」と言って通りすぎたが、通り過ぎてから知人の名前なので,アレっとおもったが、次々と指示が来て、新しい展開が現れ、それどころではなく一通りの説明が終わった。もうその知人の名前のことも忘れていた。制作会社やそのパソコンへ不審を抱くようになるのは、その後に発生してくるので、その時は前に一歩踏み出したという緊張感と不思議な期待感さえあった。
 知人の名前を思い出したのは、暫くして,考えられないような魑魅魍魎達(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)し始めていたからである。それと契約から二週間が過ぎると,制作会社の社名が変更になった。私の悪戦苦闘が始まり、真空の世界で無感覚状態のなかで、もう一回社名変更があったのを、微かに憶えているが、もう現実の会社には連絡する事もなくどうでも良いという気持ちだった。バーチャルの世界での金策で、大童だったのである。
「誰もがじいさんが詐欺に引っかかったと見たね。じいさんが正で、相手が不正と、ところが逆だよね。相手は正義の御旗を掲げてじいさんを成敗しようとした。これではっきりした。向こうが正義の連中で、錦旗をかざしている。じいさんや,じいさんの会社は、不正行為を働く、ならず者だ」
「自己破産の時の裁判官も判定に苦慮したろうね。誰もが、詐欺に引っかかったと思った」
「向こうは,白、じいさんは黒か」
「警察関連の陣容が、悪をこらしめる正しい人達が、悪い奴だとじいさんを決めつけてトラップ(わな)を仕掛けた。ところが途中でホームページの作業を進めて行くと、会社の内容が判って来て、その慎ましやかな業務実態に愕然とした。ギャンブルをやらない、酒、タバコ、クスリ、一切やらない。金の掛る事は何もない。年金まで本づくりに注ぎ込んでいたんだ」
「じいさんが悪の訳ないだろう。ま、親鸞的には正義の裏は悪だが。正義のミハタさんは社名をつぎつぎ変更しながら逃げを打った。じいさんのこと、ギャンブル好きの社長が欲に目がくらんで、会社を食い物にして潰した事に、方針を変更した。悪を懲らしめる道具を使って、疑わしいと思われる男を精神病院へ送った」
「反社会性を疑ったが、何も出ない。いまのところ埃も出ない。もちろん今後もでるはずがない。H・ミラーや、『単細胞的思考』や、セリーヌや、ロートレアモンは、じいさんの文学空間圏のお友達だが、だからといって法で裁かれるようなものではない。例のZの女性友達と、不倫をしたと女性の夫に訴えられ、敗訴し,百万円の慰謝料、毎月五千円を十六年間で支払う判決で決着したのも」
「うん、五千円位、いいじゃないと言った。夫側の言う通りにしてあげて,とも言った。入信を進めたのは、あたくしではなく、貴方から“崇教輝き”をやってみたいといった事に。お願いだから、そのようにして」というから、そうした。それまでと全く違うタイプの女性で、好ましく思った。知性がすばらしかった。沢山男性の友人が居た。当然だと思うよ」
「Zに彼女の事を、相談しに」
「いや、宗教を辞める事を、その後で彼女のことも」
「監視はつづいているの?」
「何年もずっと続いている。ネットはひどいものだ」
「何だろうね」
「Wordにまで入ってきてイタズラされてる」
「じいさん、以前、書いていたよね。『放蕩息子の告白』に」
「そう、『———更なる告白』を印刷会社に、明日届ける事になっていた前夜、侵入され、掻き回された。親鸞聖人のことを書いた頁、『単細胞的思考』の頁。小沢一郎さんの事を書いた頁、それでも、早めに気が付いて瑕が少なくて済んだ。あれと同じ事が起きている」
「それまでは,誰も信じなかった。じいさんの妄想だと」
「友人で校正、校閲のプロ級の人が本州の端ずれの方にいて、指摘してくれるんです。〝一応お知らせしますが、貴方の場合は、そのままでもいいかもしれませんよ〟なんて皮肉を言いながら知らせてくるんです。大手の出版社だろうと、ビシッと指摘しますからね。眺めただけで判るらしい。とても尊敬しています。おそろしいですよ。指摘を受けてまだそのままになっている。そのうち,見放されるかもね。そうならないようにします」

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