竹林の愚人  WAREHOUSE

Doblogで綴っていたものを納めています。

裏技デジカメ術

2007-01-08 12:29:34 | BOOKS
鐸木能光 「裏技デジカメ術―“納得の写真”が撮れる!直せる!作れる!」 青春新書 2006.12.15. 

デジカメは大人にとって最高の遊び道具である。楽しみのために、数万枚もの写真を撮るなど、デジカメでなければ到底できないことである。デジカメのおかげで、センスを磨けば、誰もが「日常写真家」になれる時代が来た。 技術は進歩する一方であり、退化するなどありえない。特にデジタル技術は日進月歩だから、発表されたときは高性能に見えた製品も、半年もしないうちに魅力を失うと。しかし、最近デジカメの世界では、必ずしもそうとばかりはいえない。工業製品は市場のニーズによって育つ。ユーザーがよい製品を求めなければ、どんなに技術力があっても、よい製品は世に出てこない。世に出るのは、「よい製品」ではなく「売れる製品」だからだ。  デジカメの宣伝で「画素数」という言葉がよく使われる。画素とは、画像を構成する最小単位の「点」のこと。これが多ければ多いほど緻密で美しい画像として記録されると普通は思う。今やケータイの内蔵カメラでさえ300万画素を超えるが、十分なカメラ性能があるとは思えない。 画像を記録する撮像素子の面積が問題なのだ。小さな面積の中にたくさんの画素を詰め込めば、1画素あたりの面積が小さくなり、取り込める光の量は減る。 葉書大くらいに印刷するのであれば、200万画素もあれば解像度は十分。現在売られているデジカメは、コンパクト機でも十二分に高画素で、気にする必要はない。現在、デジカメ市場は、コンパクトデジカメと一眼レフの二大フィールドに分かれて激しい商戦を繰り広げている。 コンパクトデジカメ市場では、ほとんど同じパーツを使ったOEM製品が、各社のブランド名をつけて売られている。電子工学部分の性能が均一化されていけば、レンズの性能を重視して選ぶしかない。少しでも明るい(開放F値が小さい)レンズを搭載したカメラを選ぶことが第一だ。レンズが明るければ、それだけ速いシャッターが切れ、手ぶれしにくい。 しかし、コンパクトデジカメは小さなボディと価格競争ゆえに、カメラにとっていちばん大切なレンズにコストをかけられない。大手カメラメーカーが次々にコンパクトデジカメ市場から撤退していったのも、光学機器としての質でなく、画素数競争に疲弊していったからだ。一方で、デジタル一眼レフカメラは売り上げを伸ばしている。これはユーザーが小型機での写り具合に満足せず、一眼レフならもっといい写真を撮れるだろうと思った結果だろうが、小型機でいい写真が撮れない人が一眼レフで見違えるような写真を撮ることはまずない。そもそも、一眼レフにはたくさんの欠点がある。重くて大きく気軽に持ち運ぶ気がしない。シャッター音がして撮影場所が限られる。モニターを見ながら撮影できず撮影する角度が限定される。セット売りされているレンズが暗すぎる。もちろん一眼レフならではの長所もたくさんある。最大の長所は連写能力だ。一旦一眼レフの世界に踏み込めばその魔力の虜になるだろう。ただし、一眼レフ本来の性能を楽しむには、明るく質のよいレンズが必須で、カメラ本体よりずっとお金がかかる。 暗いレンズをつけた一眼レフより、明るいレンズを搭載したレンズ一体型の方が「きれいな」写真が撮れる。デジタル一眼レフブームに押されて、明るいレンズを搭載したレンズ一体型高級機が次々に製造中止になり、後継機種も出なくなった。これはゆゆしきことだと思っている。