竹林の愚人  WAREHOUSE

Doblogで綴っていたものを納めています。

ウッふん

2007-01-13 00:02:50 | BOOKS
藤田紘一郎 「ウッふん」 講談社文庫 2006.08.11. 

下痢するのはイヤだから、日本人は食品にたっぷり防腐剤を入れるようになりました。水道水にも消毒剤がきちんと入っていて、日本では北海道から沖縄まで、どこで水道水を飲んでも下痢しなくなりました。昔は「あたってくだけろ」といって何事にも積極的だった若者ですが、今は「あたって下痢する」からと、すべてのことに消極的になってしまいました。 私たちは農薬や殺虫剤で育てた「虫の食わない野菜」や、いつまでも腐らない防腐剤入りのりんごを食べています。確かに、殺菌剤や防腐剤を口にしても死にはしませんが、生きる力を弱めています。なぜなら、私たちを構成している細胞は、細菌などのいろいろな微生物との共生によってできているからです。 ウンコの成分は前の日から消化されなかった食べものや、水、塩類、腸の細胞、それに生きている腸内細菌とその死体です。野菜に含まれている繊維は人間の腸では消化されませんから、最後までウンコのなかにあります。そしてウンコの中味の約半分は腸内細菌だったのです。 腸内細菌はビタミンを合成したり、免疫力を増強したりします。また、体の外から悪い病原菌が入ってきても、これらの腸内細菌は協力し合って、侵入した外来病原菌を取りのぞき、私たちを守ってくれるのです。 まして、オシッコは決してきたないものではなく、出たばっかりのオシッコには細菌類がまったくいません。しばらくすると、空気中の細菌が住みつき、オシッコのなかの尿素を分解してアンモニアと炭酸ガスになります。オシッコがにおうのは、このアンモニアのせいなのです。私たちは「洗えばきれいになる」と信じています。しかし、アトピー性皮膚炎や乾燥性皮膚炎の原因の一つに「洗いすぎ」があるのです。「洗えばきれいになる」と言って洗いすぎると、皮膚常在菌がいなくなり、皮膚の角質層がばらばらになります。そうすると、外部からダニの死体が皮膚の中に入り込みやすく、アトピー性皮膚炎になりやすくなります。 皮膚常在菌は、脂肪酸の膜で表面を被って、皮膚の乾燥を防いでくれているのです。 最近日本人のウンコがとても小さくなり、貧弱になってきました。昔は1日300gでしたが、最近では150gぐらいになってしまいました。便秘に苦しむ女性ですと、80g以下になっており、そのウンコには悪玉菌がかなりの割合でふえています。おかしだけ食べている女性やサプリメントばかり摂っている女性も見られますが、そのウンコにはほとんど善玉菌は棲んでいないのです。そんなウンコをする女性から生まれた子どもたちがアトピーやぜんそくで苦しんでいるというわけです。