ビロウな話で恐縮です日記

日常の隙間を埋める試み
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ドラマ『舟を編む』ありがとうございました

2024年04月21日 22時56分39秒 | 情報
ドラマ『舟を編む』をご覧いただいた
みなさま、どうもありがとうございます。
全十話、無事に放送となりました。
最終回を拝見し終えたいま、
涙、涙で、パソコン画面がよく見えないぜ……。
素晴らしいドラマにしてくださった、
出演者のみなさま、スタッフのみなさま、
お力添えいただいたすべてのかたに、
心から御礼申しあげます。
お一人、お一人のお名前を挙げて
感謝の言葉をお伝えできればいいのですが、
それはさすがに暑苦しすぎるので控えます。

毎回、何度も何度もねちこく楽しく拝見したので、
たとえ役名のない登場人物であっても、
演じるみなさまが「そのひと」になりきって、
絶妙な演技をしてくださっているのを、
わたくしは見逃しませんでした(ドヤ)。
なかには、「ん!? いま画面に映ったの、
辞書の取材のときや、
ドラマの監修で大変お世話になった、
○○さんと●●さんでは!?
なぜ辞書の編集さんが、役者さんとして
絶妙の演技を!?!?!?」
(答え:ひそかにエキストラとして出演なさっていたから)
と、テレビのまえでびっくり仰天する
シーンもありました。
なんで辞書も作れて、演技もうまいんだ。
すごすぎないか。
思わぬかたがたのご出演に、
辞書好きのあいだで話題騒然でした。

また、『大渡海』のうつくしい装幀、
浮かびあがったり降ってきたりする文字の表現
(秋野教授の回だけ、なぜかテロップがエヴァ風/笑)、
細かく作りこまれた辞書編集部や早雲荘のお部屋、
登場人物たちが着ているお洋服などなど、
スタッフのみなさまが心をこめて
作品世界を築きあげてくださったこと、
画面じゅうから伝わってきました。
演出、照明、撮影、録音、編集、音楽などなどの
素晴らしさも、もちろん申すまでもありません。

心に残るドラマを作っていただき、
本当に本当にどうもありがとうございます。
映画、漫画、アニメにつづいて、
ドラマも傑作として爆誕。
『舟を編む』は、「なんて」幸せな作品なんだろうと、
感謝の思いを嚙みしめています。

このお二方のお名前を挙げさせてください。
プロデューサーの高明希さん、
脚本家の蛭田直美さん、
ありがとうございました!
高さんは、二〇一一年に『舟を編む』の
単行本が出た直後ぐらいから、
ずっとドラマ化したいと
声をかけてくださっていました。
岸辺みどりを主人公にというアイディアも、
高さんがあたためつづけてくださっていたものです。
そして、蛭田直美さんが原作を読みこみ、
大切にしてくださりつつ、
たりないところを補い、胸に響く
ドラマオリジナルのエピソードをふんだんに加えて、
素晴らしい脚本を書いてくださいました。
ドラマをご覧になったかたは、
みなさま感じておられることと思いますが、
まじで大傑作の脚本だ。
わたくし毎回、脚本を拝読するのが楽しみで、
毎回、脚本の段階で早くも笑ったり泣いたりしていました。

今回のドラマにかぎらず、
私はシナリオをかなり細かくチェックする派です
(これは原作者のかたによって、
いろんなお考えがあるでしょうし、
作品によってケース・バイ・ケースでもあるので、
どうするのが正解ということはありません)。
ドラマならドラマ、映画なら映画が、
さらにいい作品になる一助となれば、という
観点でシナリオを拝読するよう努めていますが、
そこはド素人の悲しさ。
てんで見当ちがいの質問をしてしまうこともあります。
高さんと蛭田さんはそのつど、
丁寧に意図を説明してくださいました。
ま、私が脚本を拝読してお伝えしたことって、
大半が、「爆笑!」「サイコー!」「涙……」という、
感想とも言えぬうわごとばっかだったですが。
お役に立ててないー。

〈ここから、ドラマ最終回の展開に
ちょっと触れますので、
未見のかたはお気をつけください〉

松本先生がどうなるかについては、
小説を書くときに、本当にその展開で
いいのか、じっくり考えました。
自作において、ストーリーを展開させるために、
安易に作中人物を死なせるのはいやだからです。
と言いつつ、これまで数百人規模で死んでいるが。
しかしいずれも、熟考を重ねたつもりです。
今回のドラマで、松本先生がどうなるか、
たしか脚本の五、六話ぐらいの段階で、
蛭田さんの構想をうかがっていました。
私はすでに、
蛭田さんに全幅の信頼をおいていたので、
「あ、どうぞご自由にー。お心のおもむくままに
お書きくださいー」とお返事しました(軽い)。
いま、本当にうれしく幸せな気持ちです。
小説のなかの馬締たちも、松本先生も、
きっと、とても喜んでいると思います。

『大渡海』がそうであったように、
たくさんのひとの思いと知恵と技術を乗せて、
さまざまな辞書が生みだされています。
このドラマをきっかけに、
ご自分に合った、心強い相棒となる辞書と
めぐりあっていただければ幸いです。

改めまして、
ドラマ『舟を編む』を作ってくださったみなさま、
ご覧いただいたみなさま、
本当にどうもありがとうございます。