日伊文化交流協会

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23人目の証言者(ファウスト)

2008年12月07日 14時58分07秒 | 夕闇のせまるころに
■23人目の証言者(ファウスト:精神病院の院長)

精神病院といえば、窓に鉄格子の嵌った牢獄のような建物を想像される方がまだ多くいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはないのですよ。
患者さんの大半は、決められた時間内であれば、自由に建物の内外を行き来できます。特に症状が回復してきた人に関しては、積極的に敷地外へ出ることも勧めています。
もちろん、監視や巡回は怠りませんが、それは自殺防止と言うほうが正しいでしょう。とにかく、基本的には自由に過ごして頂いています。
どちらかというと、心を病んでいる方の多くは、人との接触に恐怖心を持っています。ですから、社会復帰のためにも、外へ出ることを勧めているのです。一生ここにいるわけにはいきませんからね。
実際のところ、人に危害を加えるような事件を起こすのは、一般的に「普通」だといわれている人か、薬物依存者の方が圧倒的に多いのですよ。よほどここにいらっしゃる方のほうが、おとなしいというか、神経が細いというか・・・、
ともかくこの施設は、社会復帰の為の訓練所と位置づけています。ですから、なるべく早く普通の生活に馴染めるようなお手伝いをしています。
例えば、服装に関して申し上げると、回診や投薬後はパジャマではなく、外出着に着替えることや、あとは、トレーニングウエアなども用意しているので、それを着て、運動するように勧めています。歩かないと足腰が弱くなりますからね。
詳しい症状や原因については患者さんのプライバシーに関わることなのでお話できませんが、フランチェスカさんの場合、アスペルガー症候群(広汎性発達障害)。つまり幼少期のトラウマと、強度のストレスからくる対人恐怖症の一種ですから、なるべく外出を薦めている患者さんの一人です。
患者さんの行動については看護士のほうが把握していますので、呼びましょう。少しお待ち下さい。


これはAl Calar della Seraの日本語バージョンであり、フィクションです。
実在する氏名との重複があったとしても、なんら関係はございません。



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