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宇宙戦艦ヤマト復活編(09)を見て

2011年01月24日 | 映画・ドラマ
 アクエリアスにヤマトが沈んで17年後の世界。そして古代進は38歳。中年です、おっさんです。古代を知らない若いクルーにも「なんだよ、おっさん」って言われてます。その古代の声も亡くなられた富山敬に代わって山寺宏一(声の質は似てる)。昔、富山氏のまねをしていた方がその役をするというのもすごい。
 映画の中では17年後ですが、現実世界ではそれ以上の26年ぶりの復活です。26年ですよ、すごいと思いません?ただ作品を見終えましたが、83年に完結編として公開し、アクエリアスの中に神々しく沈んでいったヤマトをこうして復活させる必然性は作品の中には感じれなかった。「なぜ、ヤマトを復活させなければならなかったのか?」「なぜ、今ヤマトなのか?」、9分45分に及ぶ大作「Symphony Of Aquarius」のスコアの素晴らしさを想いつつこの言葉がうかびました。
 この復活編に、松本零士のクレジットはありません。(でも佐渡先生とアナライザー、ミーくんは出てるな~)前回実写版ヤマトでもふれた著作権をめぐって西崎義展氏と松本氏の法廷抗争の結果なのでしょう。前回ご指摘を頂いたのですが、ヤマトの原案は西崎氏にあり、氏が、設定、キャラ、メカニックデザイン、脚本、音楽etc・・・などを各方面に依頼(or指示)した。その中で、ヤマトの設定、キャラ、メカ等の大部分を構築したスタッフが松本零士氏だったという事だそうです。ただこの世界観の構築というのがすごく重要なエッセンスで、松本氏の世界観がなければヤマトワールドは続かなかったと思うのですが・・・完結編まで、両雄のクレジットはしっかり載ってる。いつから、何をきっかけに2人の関係がこじれてしまったのでしょう。
 西崎サイドも、松本設定を使わない『YAMATO2520』シリーズをスタートさせましたが、(1回見ましたがほとんど記憶に残ってない)制作会社の倒産で途中で終わっています。
 松本氏も、1000年後の世界を描いた『新宇宙戦艦ヤマト』をコミック連載する。そこには、古代進、森雪も出てくるのですが、それぞれ32代目の子孫っていうトンデモ設定。スターシャの娘ってのも出てきます。敵は、生命体をコップで飲み干すダーククイーン(こういう感じは松本ワールド)、銀河を、最終的には宇宙を飲み干そうとしています。いったいこの壮大な物語はどういう結末を迎えるんだと思うのですが、連載していた雑誌が廃刊となり2巻で終わってます・・・その後、OVAで『大ヤマト零号』なども出ています。この作品は見ていないのでわかりません。


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 ヤマトの原案・著作権を有している西崎氏が、ヤマト復活にむけて何度か動いたようですが、度重なる氏自身の不祥事もありそれどころではなかった模様。07年の出所後、本格的にこの作品が動き出し09年の公開となる。最初に違和感をおぼえたのは下記の画像がイントロで出るんです。



 なんで?東京都知事?って思いましたもん。やっぱこの方ってかなりの右寄りのイメージあるじゃないですかぁ。そして小説家の印象はおれらの世代はうすい。中国をはじめ隣国への差別っぽい発言も連発してるし。そういうおれもけっこう保守的だけど。まーぶれない方だとは思います。昨年の中国の暴挙に、弱腰政府に代わって反撃しまくる石原氏を頼もしく思いました。なんか脱線しましたが、そんな石原氏とヤマトは結びつかなかった。しかし物語を見ていると、敗戦を経験し、合衆国の庇護のもと復興してきた日本を生きてきた石原慎太郎氏の色が出ているのがすごくわかる。
 見終わった感想は、これまでのヤマトのエッセンスがなんか足りないって感じ。映像は、最新CGも駆使され綿密に描かれた宇宙戦艦ヤマトには魅了される。戦闘シーンも迫力がある。ただそれ以外に関しては、特に印象に残るものがない。これまでのヤマトの作品は、ロマンとファンタジーに満ち溢れていた。特にやはり1stヤマトは伝説的な名作。
 脚本が古臭いというか。ありきたりのキャラがぞろぞろでてくる。若さあふれる血気盛んで自信過剰な新乗組員。そんな若造をビンタする古代。なんなんだこの一昔前のありふれた光景は。なんなんだろうこの薄っぺらな新キャラ達は。そして敵対する相手です。星間国家連合、SUSとかいうんです。そしてアマールという国の解放運動にヤマトも加わります。ここまでくるとヤマトは大和(日本)でSUSはUSA(アメリカ合衆国)って思っちゃう。武士道を重んじる敵将(デスラーの声の伊武雅刀氏が担当)が誇りを取り戻し特攻していくとか、美しいけどなんか昭和の軍隊的なTasteが展開する。
  この復活編、テクノロジーの進化を見る事はできますが、今というエッセンスを感じる事ができない。王道路線といえばそうなんだけど、あのマンネリ気味だった007シリーズも、『カジノロワイヤル』という作品でそれまでの世界を踏襲しつつ、新たなジェームズ・ボンドを提示し世界が再び007の虜になった。ああいう古典的な部分と新しいエッセンスの絶妙な融合がほしかった。
 『ヤマト復活編』、駄作とは思いません。ヤマトを愛する人のエネルギーが終結した作品だと思います。ただ一度は完結させたヤマトを復活させたメッセージと新しさを感じる事はできなかった。ヤマトの作品に不可欠だった宮川泰氏と羽田健太郎氏のスコアも流れますが、これまでのヤマトにあった映像との絶妙な融合感もあまり感じれなかった。
 けっこう厳しい評価かもしれませんが、当然です。それだけ多くの人の心に浸透している不朽の名作なのですから、復活編はそれだけハードルを高くして見てしまうのは当然なのです。
 結局、ヤマトは金を稼ぐために強大な敵と血みどろになって戦い沈んでは復活するという事を繰り返す運命だったのか。この『復活編』は完結していません。森雪も次元の狭間に飛んでいき行方不明になったままです。西崎氏の亡くなられた今、続編はあるのでしょうか。


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