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世代を超えて楽しめるウルトラマンメビウス ★ ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品 ★

2015年07月23日 | 映画・ドラマ
 この年齢でまたウルトラマンを見る時が来るとは思いませんでした。以前にもとりあげたようにきっかけはWOWOWでのウルトラマンシリーズの再放送。
休みの日に懐かしんでエース、タロウとか見ていたら、当時3歳の娘も見入り一緒にウルトラマンを見る日々が始まります。娘はそれまではマイケル好きだったのに・・・一応、女の娘なんですけどね。保育園の4歳の誕生日に、将来なりたいものって発表する際、他の子は今風のものを挙げる中、「ウルトラのハハ」って言い切るうちの娘。保育園でも、ウルトラマン好きの男の子はおらず、もっぱら話があうのが50歳過ぎの園長先生という。うちの子が、ゾフィーとかセブンとか歌まで歌うので驚くけど超盛り上がってる。
 そう、50歳の大人と3歳児を結びつける共通のものってそうあるものではありません。ウルトラマンはそういう数少ない大人と子供を結びつけるものなのです。
 このウルトラマンメビウスは、2006年に「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品」として、まさにそのコンセプトを軸に大人になりウルトラマンから離れた人と、今リアルタイムにウルトラマンにときめいている子供とが一緒に楽しめるウルトラマンとして誕生します。といってももう9年も前の話なんですけどね・・・
 ウルトラマンメビウス、リアルタイムでは全然ひっかかりませんでした。
 その要因の一つが、全国ネットで放送されていない事にもよると思います。
 最初のウルトラマンが放送されたのは、1966年(昭和41年)です。いまでこそ娯楽(エンターテイメント)のコンテンツはたくさんありますが、昭和はテレビが最大でお手軽なエンタテイメントコンテンツだったと思います。
 そんな中、TBSと円谷プロがガッチリ組んで制作されたウルトラマン(後にシリーズ化)は全国ネットの19時というゴールデンタイムで放送されます。巨大なウルトラマンが未知の怪獣と街中で戦うシーンは、そしてクロスした手から発射される光線はすごい衝撃だったと思います。
 それを昭和41年にやってのけたのが特撮映画の神、円谷英二監督なのです。当時の平均視聴率は36.8%といいますから、すごいです。
 ウルトラマンシリーズ自体は子供向けの作品かもしれませんが、この特撮に影響され、触発され『ゴジラ』も生まれたと思いますし、自身もウルトラマン、円谷特撮のファンという庵野秀明氏により生まれた『エヴァンゲリオン』もウルトラマンの影響を受けていると思います。日本の映画界に与えた影響は相当なものだと思います。それどころかジョージ・ルーカスやスピルバーグにも影響を与えたというじゃないですかぁ。
 そんなウルトラマンも、シリーズ化もされヒット作品を次々と生み出していきますが、次第にパイオニアから模倣者となり、時代の潮流にも流され飲み込まれていった印象は受けます。それが円谷サイドとTBSの軋轢も生み、円谷プロはTBSから締め出される形になります。
 その辺は前回紹介したこの書籍に書かれてあり、ウルトラマンビジネスの裏側をよく知ることができた。

ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗 (講談社現代新書)
円谷英明
講談社

 私の世代は、だいたい80年に放送されたウルトラマン80(エイティー)を最後にウルトラマンから離れたいったと思います。
 それは作品的にも、エイティーから16年間、地上波放送でウルトラマン作品が制作されていない事も大きく影響していると思います。16年間の空白があったというのは私も今回知りました。大人になり一旦離れた人にとっては16年の空白も大きな影響はないかもしれませんが、その間、特撮やウルトラマンの魅力を知らない世代が生まれたようにも思います。
 そんな中、平成に入り1996年から新機軸のウルトラマン、『ティガ』『ダイナ』『ガイア』が制作されます。(それまでも他のコンテンツではいろいろなウルトラマンが生まれていますが)これまでのウルトラマンはM78星雲の光の国から来たウルトラ戦士という設定でしたが、この3部作ではその設定は排除され、超古代文明時代に存在した光の巨人というものになっています。この平成ウルトラマンは見たことはないのですが、作品のクオリティーは高いという評価を見ます。ただこれも全国ネットではなく毎日放送という関西局の発信だった事も影響し、昭和ウルトラマンシリーズほどの浸透度は感じない。
 そんな中、2006年に「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品」と銘打ってウルトラマンメビウスが登場することになったようです。
 メビウスは過去のウルトラマンシリーズへのオマージュが満載。さらに当時ウルトラマンの人間時の姿を演じた俳優たちも再登場するのです。設定も、ウルトラマン80以来の25年ぶりに地球に怪獣が襲来するという事態から物語が始まります。
 主題歌もいい感じ。イントロはヴァン・ヘイレンの「Jump」っぽいシンセアレンジで80年代Tasteも感じる。
 今回、メビウス全50話を娘と見ましたが、メビウスというかウルトラマンシリーズはテレビ放送の枠をこえてる作品に思えました。30分番組に制作費が4千万円程度注ぎ込まれるも、TV局側から支払われるのは1500万円程度だったそうです。制作すれば制作するほど赤字になるという。前述の本でも、ウルトラマン自体ビジネスモデルとしては破綻しているとも書かれています。放送枠ででない利益をグッズや著作権で取り戻すというスタイルのようです。そうなると平成シリーズから強力なバックアップをしていたバンダイの発言権も強くなっていくようです。バンダイはおもちゃメイカーなので、物語に出てくる兵器や武器などを販売して利益を得ます。それは物語とはまた違う価値観の話になっていったようです。
 1年を通して作品を作っていくのはほんと大変だと思う。そんな中、このメビウスは全50話作られますが、基本1話完結ながらいろいろな伏線がはられ、結びつき終盤のエンペラ星人の降臨による最後の戦いまでつながっていきます。
 そしてメビウスのKeyワードとして「仲間」という言葉が印象に残ります。仲間との絆が作品全体を通して描かれます。
 それはウルトラマンと防衛軍GUYZ(ガイズ)の絆、ガイズの仲間たちの絆、今回青色のウルトラマン、ヒカリ(ツルギ)も登場し、ウルトラマン同士の絆、もちろんウルトラ兄弟たちの絆も、そしてウルトラマンと人類の絆。
 これまでウルトラマンの正体は物語の中で暴かれることはありませんでした。ほとんどエンディングと正体が明かされる所が連動する。
 しかしメビウスは、物語の中盤29話で正体が主人公のヒビノ・ミライがメビウスという事がまずGUYZの仲間たちに知られます。それがエンディングの人類とウルトラマンの絆を問う所につながっていく。
 先日、公園でウルトラマンの人形を大量にもっている子供がいて、その中にメビウスもいたので「メビウス好きなの?」って聞くと「メビウスは嫌い、弱いから」ってバッサリ。そうメビウスって強さが全面に出たウルトラマンではないのです。タロウが師匠という設定で、まだまだ修業中のような中、ウルトラの父から地球に派遣され、怪獣と戦っていく。ウルトラの兄たちからも「ルーキー」って呼ばれてるし。物語の途中でも、派遣を命じた父から、迫り来る強大な敵にメビウスでは立ち向かえないと判断され帰還命令もうける。
 たしかに過去のウルトラマンのような圧倒的な完勝感はうすい。しかしメビウスは倒れても倒れても不屈の闘志で何度も立ち上がり、諦めずに強敵に立ち向かっていく。そして命がけで仲間たちを守る。地球防衛軍のガイズや他のウルトラマンの助けも得て戦い抜く。それがメビウスの魅力の一つでもあると思います。
 そして仲間たちの思いがメビウスに無限の力を与えるのです。最終的には超強くなるんだけど。
 そしてやはりメビウスの最大の魅力は、かつてのクラシックと言われる昭和ウルトラマンが登場する事。メビウスはTV放映と同時に映画も制作され、TV放送中に劇場版の公開もされます。

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 オープニングから、ウルトラ兄弟とヤプール(これまた懐かしい)の怨念の集結した究極超獣と銘打った超強い怪獣とのバトルシーンに引き込まれます。この劇場版では、CGも駆使され、これまでTV放送でたびたび見られたいかにも人形が飛んでいる感の映像ではなく、スピィーディーに画面を縦横無尽に飛びまくるウルトラマンには衝撃を受けました。その超獣を神戸の海に封印し物語が始まります。
 この『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で、ハヤタ(ウルトラマン)、モロボシダン(セブン)、郷秀樹(新マン)、北斗星司(エース)が登場。ハヤタ隊員を演じた黒部進氏は出演時67歳ですよ。これらのレジェンドがそろって登場するのは感動もんですよ。



 ラスボスは、これまでにない超巨大な究極怪獣との空中戦。こんな映像も初めてです。


 
 今さら1話完結のウルトラマンを見るのはちょっとという方には、まずこの劇場版の『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』をレンタルでもして見てみてください。TVで放送したらすごいインパクトも与えれると思うんだけどな~。まだキー局と円谷プロのあつれきがあるのかな。
 4人のレジェンドは登場しますが、タロウの東光太郎役の篠田三郎氏が登場してないのが残念。過去の出演者が集ったパーティーには来てたけど、東光太郎として画面に登場することには首を縦にふらなかったそうです。それはこの方なりの思いもあるそうで、東光太郎はTV放送終了時点のイメージでみんなの心の中に生きていて欲しいというものだそうです。
 まあそれはそれで仕方ないけど、光太郎さんも登場していたらもっと盛り上がったことでしょう。その篠田三郎氏、TBSとWOWOW共同制作の超ハードボイルド作品『MOZU』でテロリストとして登場していたのは驚いた。



 それこそあの爽やかな光太郎さんがずっと残っていましたので。
 篠田氏は不参加としても、他のさらに高齢な俳優の方たちが元気でいらしているからできた企画でもあると思います。当人たちもまさか再びウルトラマンに登場するとは思わなかったことでしょう。この後も、制作された劇場版ウルトラマンでも登場しさらなる活躍をみせています。
 そしてその客演は、TVシリーズの終盤でもあり、それぞれのエピソードが盛り込まれている。
 『ウルトラマン80』の主役は、長谷川初範だった事を最近認識した次第ですが、80も設定上の取り扱いでTBSと円谷サイドの軋轢を決定的にした作品となり、途中から教師役と防衛隊員の兼務の設定が解かれる事態となる。そんな急な設定変更で置き去りにされた学校の生徒たちが再び集い、80のもうひとつの最終回的な物語も描かれている。
 レオの真夏竜も登場する回もある。これまでレオは、セブンのモロボシダンにしごかれまくっていたけど、今度は真夏演じるレオがメビウスのミライをしごきあげ。一人前にしようとするエピソードもある。さらにエースの北斗と南が再会する回も。ハヤタ、ダンの回ももちろんあります。
 メビウスのキャストも魅力的。DVDにはインタビューも収録されていますが、現場の雰囲気も良さが伝わってくる。若い、歳の近い人たちが集まり、現場はいつも盛り上がっていたといいます。その雰囲気は画面からも出ていますね。



 リュウ演じる、仁科克基は熱血バカって設定だけど、地でやってるのかって感じもありちょっとうざかった。だんだんなれて来るけど。前半みててうるさいです。
 さこみず隊長演じる田中実も、すばらしい演技で物語を安定させてる。でも自死されたんですよねこの方。子供番組かもしれないけど名演が光る彼の代表作にあげてもいいと思える。

 

 個人的にははまったのがミサキ・ユキ役の石川紗彩。タイプだわ~。パンツスーツの凛とした感じがいい。演技もいいし。



 今まで見たことないのかな?と思ったらCMとかけっこう出てらっしゃるんですね。映画だと実写版宇宙戦艦ヤマト(ここではひっかっからなかったけど)に出てたんだ。
 オトボケのトリヤマ補佐官も王道のボケボケなんだけど楽しくて、あり。     
 ミライ役の五十嵐隼士はメビウス役にはまってる。うちの娘も好き。いまだにミナミくんって言ってるけど・・・
 仲間たちの友情がほんとにめばえ、再会シーンとか地で泣いてるんじゃないのって思ってしまうくらい熱い涙を流す。
 特撮シーンも回によっては若干差は感じる時もありますが、久々に今のウルトラマンとして第1話を見たとき、30分番組のクオリティーではないわ~ってやっぱ感じました。
 40周年記念作品と謳って制作されたメビウス、歴代のウルトラマンや懐かしの怪獣も登場させたり、リンクさせるエピソードも盛り込むという伝家の宝刀というか1回切りの手法も盛り込まれた作品。それまでのシリーズと比較しては良かったそうですが、過去の爆発的なヒットにはいたらなかったと思う。
 しかしメビウスはウルトラマン熱を再燃させるポテンシャルをもっていると思う。作品としての完成度は高いのに、リアルタイムにはひっかっからなかったり、爆発的なヒットもしなかったのは、やはり全国ネットでしていないこともあるように思います。メビウスは名古屋発のCBSで放送され、平均視聴率は3.8%。プロモーション不足もあったでしょうね。
 さらにこのメビウスを制作したことにより、円谷一族は円谷プロダクションから放遂されるという事態に追い込まれます。メビウス制作に借入れたお金を結局返済することができず、いわゆるパチンコメイカーやおもちゃメイカーのバンダイが円谷プロの株式を取得するという事になったようです。
 おもちゃメイカーのバンダイはまだしも、パチンコってのはどうなのかなとは思う。それでパチコンの広告にもウルトラマンが使われているわけなのね。
 バンダイは資本力はあると思いますが、ウルトラマンという物語の中ではスタンスがちょっと違うように思います。最近のウルトラマンギンガとかの変身系のスタイルや兵器の多さはバンダイ主導のように思います。歴代のウルトラマンや怪獣の力が使えるという設定はいきすぎのように思います。戦隊モンのスタイルみたい。
 最近、ウルトラマンXというのも始まったようです。関東圏ではないのでいつやってるのかよくわからなかったのですが、全国ネットではBSジャパン(BS放送)で『新ウルトラマン列伝』毎週火曜日夕方5:00から放送されています。この『新ウルトラマン列伝』というのは過去の作品の名作を再編集したり、新作として放送したりという30分番組のようで、興味を持った方は是非。
 おれ別に円谷プロのまわしものでもないんだけど、世代をこえて愛されているウルトラマンを応援したいという気持ちが沸いているんです。何よりも4歳の子がウルトラマン大好きなんだもん。女の娘だけど。1体500円のソフビ人形も、お手頃価格でちょこちょこ買ってたらどんどん増えていく。





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