’08/08/01の朝刊記事から
米の竹島表記変更 韓国、国際容認に自信
「暫定水域」見直し論も
【ソウル31日井田哲一】日韓両国が領有権を主張している竹島(韓国名・独島)について、米政府傘下の地名委員会が表記を「主権未指定」から「韓国領」に戻したことを受け、韓国の李明博大統領は31日、「独島を実効支配しているように努力していけば、国際社会や後世からも認められるだろう」と述べ、自信を示した。
与党内の一部には、現行の新日韓漁業協定の改正を求める強硬論も出ている。
李大統領は大統領府(青瓦台)の首席秘書官会議で、竹島問題について「歴史に向かい合う姿勢で対応する必要がある」として、長期的かつ戦略的な対応をあらためて指示した。
米政府の表記変更問題では、変更の事実を把握していなかった柳明桓外交通商相や李泰植駐米韓国大使に対する問責が検討されていたが、青瓦台関係者は31日、「問責より重要なのは再発防止」として、不問に付す考えを明らかにした。
一方、今回の竹島問題を受け、与党ハンナラ党内からは、韓国側の排他的経済水域(EEZ)の基点を竹島に変更し、新日韓漁業協定を改正するよう求める声が出ている。
同党の鄭夢準最高委員は、31日の最高委員会で、「韓国政府は、独島を暫定水域としている日韓漁業協定の終了宣言と、新たな協定締結を真剣に検討すべきだ」と主張した。
1999年に発効した新日韓漁業協定は、竹島周辺を暫定水域とし、共同利用が可能だ。
しかし、韓国メディアなどは「暫定水域という位置付けが、竹島の領有権を主張する口実を日本側に与えた」(中央日報)と反発している。
日本政府は静観強調 北朝鮮圧力へ対立避ける
米政府傘下の地名委員会が竹島(韓国名・独島)の表記を「韓国領」に戻したことについて、日本政府は静観する姿勢を強調している。
書く・拉致問題を抱える北朝鮮に圧力をかける上で、韓国との足並みの乱れを増幅させるのは得策でないと判断しているためだ。
「米国の一機関のやることに過度に反応することもない」。
町村信孝官房長官は31日の記者会見で、冷静に対処する考えを示した。
外務省幹部は「米国に対し、表記の際変更を求めるつもりはない」と断言した。
日韓関係をめぐっては、文部科学省が新学習指導要領解説書に竹島を明記して以降、韓国の駐日大使が一時帰国しているほか、日韓外相会談を拒否するなど急速に冷え込んでいる。
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議でも、北朝鮮が核問題の進展の見返りに要求するエネルギー支援について、韓国は、拉致問題を理由に支援を拒否する日本にも参加を求めるなど意見の違いが表面化。
政府は「北朝鮮と対峙しないといけない時に韓国との対立は避けたい」(政府高官)との考えから、竹島問題の沈静化を優先した。
外務省幹部は「竹島問題が長引き、困惑している。早く事態が収束し、9月に予定される日中韓首脳会談は実現したい」と話す。
撮影機材 Kodak DC4800