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’07/12/13の朝刊記事から
米国産牛肉輸入条件「30カ月」か 撤廃か
日米交渉進まず
米国産牛肉の輸入条件緩和をめぐる日米間の交渉が膠着状態に陥っている。
日本側は「生後20カ月以下」に限定している現在の条件を「30カ月未満」に緩和する方向で調整する意向を米国側に伝えたが、米国はあくまでも月齢条件の完全撤廃を要求する構えを崩していない。
解決の糸口をつかみきれない状況が依然続いており、6月に始まった協議の決着は来年に持ち越される公算が大きくなった。
「不快感を持っている」。
今月7日まで東京都内で開かれた日米の次官級経済対話。
日本側が輸入条件で譲歩する考えを示したにもかかわらず、会合後に記者会見したキーナム米農務次官は終始、不満げな表情だった。
米国は5月に、動植物の検疫ルールを定める国際獣疫事務局(OIE)から「牛の月齢に関係なく牛肉を輸出できる国」に認定された。
日本側に月齢制限の完全撤廃を求めるのは当然というのが米国の姿勢だ。
米国で牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された2003年12月に、日本は米国産牛肉の輸入を禁止。
06年7月に輸入を再開したが、毎月の輸入量は禁止前の数分の一にとどまっている。
日本向けは月齢20カ月以下で特定危険部位の完全撤去、韓国向けは骨付き肉は不可など、各国の米国産牛肉の輸入条件は異なっている。
このため米国にとっては「作業が煩雑になり、飼料価格の高騰と併せて二重の負担増」(米政府関係者)
日米両国は今年6月と8月に、BSE感染リスクを検討する専門家会合を開催。
日本は「米国のリスクは低下した」と一定の評価を行った。
しかし、感染源とされる牛の脳や脊髄などの特定危険部位を飼料に混ぜることを禁じた「飼料規制」をめぐって、日米の見解はまだ折り合っていない。
米国は1997年に飼料規制を導入したと主張するが、日本は記録などから規制の実効性が確認できるのは2002年前後以降と見ている。
日本側の見方に立てば、規制の効果が出る前に感染した高齢牛の肉が輸入される可能性は否定できない。
それが、全面撤廃に踏み切れない理由の一つでもある。
米国産牛肉を輸入する多くの国が「30カ月未満」を条件にしているため、日本は以前から30カ月未満で落としどころを探り、米国側も同意する可能性が高いとみていた。
しかし、打撃を受けた米国の畜産業界の反発は日増しに強まりつつある。
来年秋には米大統領選があることから、米国側に「軟化の兆しは全く見えない」(日本政府関係者)。
日米両政府は今後、BSEリスクの共同報告書をまとめる方針で、日本は既に文書をまとめて、米国に送付済。
「間もなく提出する」としている米国の回答が今後の行方を左右することになる。