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蓬 窓 閑 話

「休みのない海」を改題。初心に帰れで、
10年ほど前、gooブログを始めたときのタイトル。
蓬屋をもじったもの。

サンストローク「ロマノフ王朝の滅亡」

2020年12月09日 | 映画
このところ古い映画ばかり観ている。
「風とともに去りぬ」は何度観ても感動していたが、今回はスカーレットが、ただのわがままな女に思えた。
ついでに、ヴィヴィアン・リーの「美女ありき」や「アンナ・カレーニナ」。「哀愁」や「欲望という名の電車」は、今回は割愛.悲劇の役ばかり、美人は薄幸でないといけないらしい。
ネルソン提督の愛人でいながら誇りを失わず、夫の遺産も受けずにホームレスになってしまう「美女ありき」に軍配。

 「終着駅」が意外に面白く、若いころは、ひたすら恋の成り行きが気になったが、 今回は、まさにターミナル駅の賑わいや混雑ぶりが描かれていて、丹念なシーンばかりなのに感心した。
 名画「逢いびき」に倣って制作されたということだが、今までは、品のいい切なさを感じさせる「逢いびき」が一番好きであった。 今はどうなのだろう。この「ロマノフ王朝の滅亡・サンストローク」は2014年と制作年は新しい。
冒頭シーンはセピア色で始まる。共産党赤軍に対するロマノフ王朝白軍の敗けがほぼ決まったところから。

何千人と集められた白軍の捕虜たちの収容所シーンは、暗いモスグリーンの世界。
そこを仕切るのが、明るく愛嬌のある赤軍の若い男。

反して暗い表情の白軍の大尉、白髪もちらほら。
その大尉が若くて中尉だったころ、すなわちロマノフ王朝のころの思い出はカラフルな映像。とりわけ女がしている空色の薄いスカーフが船上に揺れる。
彼を主人公に、収容所の現在と彼の過去が交互に語られていく。

ロシア映画やロシア文学のくせで、やや冗漫に流れるストーリー。
観る私も最近は同じ姿勢を30分と続けられないので、2〜3日かけて、ゆっくりと観た。

大尉は、家庭をもつ美しい女との出会いを、まるでサンストロークのようであったと。「あの日々はもう存在しない」と述懐する。

そして、後半に至って、んまあ、そうだったの! さらにまた、唸らされる!
さらに、さらに最終のナレーション、、、時代が変遷するときの悲劇。今やソヴィエト連邦も崩壊した。
ロシア独特、最後に強烈な印象を残す映画であった。
わが日本も、Japan as No.1と言われ、一億総中流の繁栄はもう存在しない。新幹線に飛び乗ったあの日々も。