アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ポーチュラカ - スベリヒユ属

2024-07-31 15:00:00 | みんなの花図鑑



スベリヒユ科スベリヒユ属の植物で、畑の野草スベリヒユの仲間です。というかスベリヒユ属=Portulaca なのです。花は全然違いますが、葉や茎の姿はとてもよく似ています。「ハナスベリヒユ」とも呼ばれる所以です。






ポーチュラカの雌雄シベの配置は独特です。






ふつうは中央に雌しべがあってそれを囲むように雄しべが伸びているのが一般的ですが、
ポーチュラカでは中央を雄しべの群れが陣取り、仲間外れにされたように雌しべが一番外にあります。










めしべのほうが雄しべの群れよりも背が高く、自家受粉しにくい配置になっています。




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キカラスウリ - ノアサガオの前に

2024-07-30 15:00:00 | みんなの花図鑑
ノアサガオを撮影しに行ったら、まだ午前中なのに、余りに暑くてぐったりしていていい写真が撮れませんでした。


(奥がノアサガオです)
そのかわり、ツルにこんな花が咲いていました。
下のいくつかの画像をGoogle Lens で検索すると、「カラスウリ」と「キカラスウリ」を候補に挙げてきますが、
上の画像の葉の形から「キカラスウリ」のほうだろうと思います。




それにこの写真を撮ったのは午前10:30ごろです。カラスウリはこんな明るくなっても咲いていませんよね。

キカラスウリは「北海道奥尻島、各地の山麓、荒れ地に自生する雌雄異株の蔓性多年草ですが、よく見かけるカラスウリより分布密度は少ないようです。」(東邦大学薬学部付属薬用植物園)




「カラスウリとキカラスウリは大変よく似ていますが、キカラスウリの果実はほぼ卵円形で黄色く熟すこと、まだ明るさが残るうちから開花することや葉にはカラスウリのように毛はなく、根は円柱形で長いことなどが違います。」(同上)




「花期は8月~9月、葉腋に3cmほどの萼筒のある白に近い薄黄色の花を開きますが、花冠の縁は糸状に細裂しレースのようです。」(同上)




「昔からあせもの散布薬として用いられてきた天花粉はキカラスウリの根のでん粉を精製したものです。薬公害が問われる現在、このような天然のパウダーが見直されても良いのではないでしょうか。」(同上)







というわけで、
以下は去年撮った ノアサガオ

あちこちの垣根に咲き誇っています。



ノアサガオで一番ポピュラーな色がこの'オーシャンブルー'ですが、他にも、ピンクや白花もあるそうです。



ノアサガオは熱帯から亜熱帯地域に自生するつる性の多年草で、沖縄では海岸付近に旺盛に繁茂しています。








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ムクゲ - アオイ科のシベ

2024-07-29 15:00:00 | みんなの花図鑑

アオイ科の植物は原産地が世界中に渡っています。最初に紹介したオクラの原産地はエジプトやエチオピアでした。タイタンビカスの親モミジアオイやアメリカフヨウは北米でした。
このムクゲは中国が原産地といわれていますが、もっと広く中国、インドあたりから小アジア地方とする説もあるようです。




韓国の国花で、漢字で「無窮花」または「木槿」と書かれ、「무궁화 (ムグンファ)」と呼んでいるようです。この「ムグンファ」が日本語の「ムクゲ」の基とする説もあります。
ムクゲの花は中心部分が紅くなっているものが多いですが、このムクゲは白一色です。




さて、ムクゲのシベですが、雄しべが合着して筒を作りその中をめしべの花柱が貫通して筒の先で柱頭を展開する構成は他のアオイ科と共通ですが、タイタンビカスやモミジアオイに較べると、つつましやかです。




雌しべの花柱は丸棒ではなく複数の花柱が分離せずに伸びて、やはり分離せずに柱頭を展開するようです。




雄しべ筒と雌しべの花柱の境界付近を接写してみましたが、花粉がいっぱいでよく分かりません。





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モミジアオイ - アオイ科のシベ

2024-07-28 15:00:00 | みんなの花図鑑

花弁から飛び出しているシベを見るとハイビスカスのそれに似ていますが、葉が深く切れ込んでいるのでモミジアオイと分かります。




雄しべ筒の中から出てきた雌しべは、きのうのタイタンビカスのようには突き出していません。




かといって一昨日のオクラのように5つの柱頭を雄しべ筒の上に並べるだけでもありません。






雄しべ筒の外壁から垂直に伸びた花糸の先に葯があり、そこから房状になって花粉が出ています。
花弁の赤に合わせて、花粉はチョコレート色?をしています。






きのうのタイタンビカスのように、雄しべ筒と雌しべの境目がはっきりしないのですが、雄しべ筒とめしべの花柱は途中まで合着してひとつの棒になっているようです。





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タイタンビカス - アオイ科のシベ

2024-07-27 15:10:13 | みんなの花図鑑

タイタンビカスは 津市の赤塚植物園が アメリカフヨウとモミジアオイの交配、選抜により開発したアオイ科フヨウ属の品種です。花が大きく、強健な品種です。
どちらかというと花はアメリカフヨウのそれに似ていて、葉のほうはもみじ葉のモミジアオイに似ています。
由緒についてはそれだけ言っておいて、あとはすぐシベの観察に入ります (^^♪






シベはアオイ科特有の「雄しべの筒の中を貫通した雌しべが筒の先で顔をだす」方式です。
昨日の オクラと比べると、雄しべ筒の中から出てきためしべが勢いよく柱頭を5つに分けて展開しているのが目立ちます。







雄しべ筒の外壁からは小さなキノコのように 花糸が葯をもちあげています。葯からは房状に花粉が出ています。










筒の中から出てきためしべは大きく放射状に柱頭(受粉器官)を展開しています。
タイタンビカスの柱頭は 雄しべ筒の中から出て上を向くようです(片親のアメリカフヨウはまっすぐ前を向いたままです)。







さっきから、「雄しべ筒」とか「筒を貫通して出てきた雌しべ」とかという表現を使っていますが、ほんとうに雄しべと雌しべは分かれているのでしょうか?
その証拠写真が上の画像です。
ツクシの袴状の部分が雄しべ筒の上部終端です。


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オクラ - アオイ科のシベ

2024-07-26 15:00:00 | みんなの花図鑑

家庭菜園にオクラの花が咲いています。
オクラは、アオイ科トロロアオイ属の野菜です。原産国はエジプトやエチオピアといわれています。



オクラの花は1日花で、朝開いたら昼にはもうしぼんでしまいます。



花が萎むとき、花弁が花粉を雌しべの先の柱頭にこすりつけるような働きをし自家受粉するようです。
食べるオクラ(子房部分)のいちばん外側は萼片で、萼片の下の方にぴろんと伸びているのは副萼片です。




アオイ科のシベは独特です。
中心に雄しべと雌しべが一体となった柱があります。
周囲のレモンイエローの部分が、5本の雄しべが合着してできたおしべ筒で、筒の外壁には多数の葯がついています。


雌しべの花柱はおしべの筒の中を貫通して伸びていて、オクラのばあいは柱頭だけをわずかに外へ出しています。





アオイ科の雄しべは筒を作る点で キク科の筒状花と似ています。ただし、キク科の筒状花のばあいは 花粉は筒の内側に放出されますが、アオイ科の雄しべ筒は筒の外にキノコのように花糸を立てて葯を作っています。





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ヒャクニチソウ - 隆起する筒状花

2024-07-25 15:00:00 | みんなの花図鑑
昨日は キク科のヒマワリをやったので、
きょうは同じくキク科のヒャクニチソウ(英語でジニア)の花についてです。
(途中、脱線してミャンマーに行きますので、悪しからず (^^♪)


ルドベキア・マキシマほどではありませんが、中心部の筒状花の部分が盛り上がっています。



筒状花の部分は外側から順に咲いていきます。先に咲き終わった外周部分は花弁と雄しべが落ちて雌しべだけが残っています。

私はこういうのを見ると、ミャンマーのポッパ山にあるタウン・カラッ(Taung Kalat)という溶岩が垂直に隆起して出来た岩体を思い出します。

まずwikiより借りてきた全容
Ralf-André Lettau - Photo taken by Ralf-André Lettau, Attribution, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=598535による


20年以上前、私が最初に使っていたコンデジで撮ったタウン・カラッ
ミャンマーの大きな寺院はよく山の上にあります。信仰の厚い年寄りが高名な寺院に参拝しようとすると、とんでもない苦労をして山を登らなければなりません。
せっかく行ったので、私も登ってみました。段差の大きい石段が岩体のほぼ直立した斜面をぐるりと巻きながら作ってあるのです。
裸足になって登ります。



タウンカラッ頂上からの風景



余談が長すぎましたm(_ _)m

百日草の筒状花の周囲には 花弁があります。ヒマワリでも見ましたが、花弁一枚一枚が 舌状花といってひとつの花です。


舌状花は 一枚の花弁が肥大化したものです。


ヒマワリの舌状花では良く見えなかったY字型をした めしべが、このヒャクニチソウでははっきり見えます。
大きな花弁一枚に めしべ一本、これが舌状花の一単位です。




さて、筒状花のほうに戻ります。

ハチが来ていますが、筒状花の花冠は筒の部分が長いので、チョウのような口吻が長い昆虫でないとなかなか密には預かりそうも無い気がします。





開花後に雌しべの柱頭が伸び、やがて柱頭だけがリボンのようになって残ります。





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ヒマワリ - スペイン語でヒラソル

2024-07-24 15:00:00 | みんなの花図鑑
ちょっと色の変わったヒマワリが畑にありました。


Google Lensで検索すると「赤いヒマワリ」とか「ミラクルチョコレート」などの記事がヒットします。
花弁が半分折りたたまれていて、ちょうど咲き始めです。
家の近くに「ヒラソル」という名前のスペイン料理の店があって、ヒマワリというと この Girasol(ヒラソル)を思い出します。
Girasol の sol は(太陽) gira は(回る)から来ているので、日本語の「ひまわり」と同じ発想です。
もっともヒマワリは花になるまでは太陽の動きに合わせて回りますが、花になると、もはや太陽を追いかけないそうです。






ヒマワリはキク科キク亜科の植物で、まっすぐ伸びた茎の上に大きな花をつけます。この花は頭状花序と言って、沢山の小さな花の集合です。中央のシベシベしい部分が筒状花という小花の集合です。




筒状花は最初に 頭に黄色い花粉をのっけた雄しべ筒が伸びて開花が始まります。


つぎに、その筒の中をめしべが伸びて花粉を押し上げてから、花柱の先を2つにカールさせて成熟します。







花弁の部分も一枚一枚が独立した花です。( 舌状花と言って、一枚の花弁だけが極端に肥大化したものです)




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ニンジン - セリ科のタイプです

2024-07-23 15:00:00 | みんなの花図鑑

ニンジンは 中央アジア原産のセリ科ニンジン属の二年草。
セリ科の花は細かくて、みなこのような感じです。




学名: Daucus carota subsp. sativus





ハエの仲間が来ています。
ウイキョウにくるアカスジカメムシのように、特定のセリ科の花が好きな昆虫は多いようです。




ここから先は芋虫なので、苦手な人は どうぞここで「おさらば」してください m(_ _)m



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Google Lens に訪ねると、 キアゲハの幼虫と言ってきます。






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ミソハギ - 3つのタイプがあるというけれど

2024-07-22 15:00:00 | みんなの花図鑑
(初出 2023-09-06)
ミソハギのシベには3種類のタイプがあると言われています。
シベといえば、おしべとめしべで2種類しかありません。
3種類というのは 並び順のことで、
どういうことかというと…
めしべが前に出ているタイプ

このように めしべがズドーンと前に突き出しているのが 第1のタイプです。



花冠の開口部付近に黄色い葯をもった雄しべが見えています。



見えているおしべは6個ですが、 実はこの奥に もう一組6個の雄しべがあるというのです。



つまり、おしべには 長いの6個と短いの6個と合計12個あるのですが・・・




雄しべが前に出ているタイプ

最初のタイプがめしべが前に出ているタイプなら、あとは おしべが前に出ているタイプしかないということになりますが、おしべには長い組と短い組の2種類あるので・・・



: めしべ
▲: 長いおしべ
△ :短いおしべ
と記号分けしますと、
▲ △

▲ △
と このように3タイプある、ということなんです。
が・・・




▲ △
の区別がよく分かりません。
上の画像は長い雄しべの葯が脱落しています。めしべが複数あるわけではありません。




とくに、両おしべの中間にめしべがあるタイプ

のタイプにはなかなかお目にかかれません。



また、おしべの長いのと短いのと2タイプが単に長さだけ違うのか、花粉が餌用と有性の花粉と2種類あるのか
ということも分かりません。





いずれにしても・・・

サルスベリも(大きさも構造も全く違う花なのに)ミソハギ科の樹なんです。
どういうわけか、どちらにもよくクマバチ君が来るんですよね。
ミソハギは筒型の花なので、ぜんぜん花冠の中に入れてませんけど (@_@)






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