内子の下芳賀邸にて。築140年の歴史のある建物で、蕎麦とつみ草料理のお店をしています。建物自体も、家具調度も興味深いものばかりです。年代もののお雛様が飾ってありました。下にしいてあるのは、これも年代ものの帯です。坪庭との境は昔ながらのガラス戸(上部は障子になっています。)のみです。アルミサッシばかり見慣れている目には、とてもなつかしく、優しく感じます。
最近のお雛様の手は、よほど高価なものでないとプラスチック製です。昔はもちろん木で作ってありました。プラスチックなんて便利なものはなかったですし、職人さんの手間代がそんなに高くなかったのでしょう。経営者として、人件費という概念がすぐに思い浮かんでしまいますが、手間代が高くなって労働者の暮らしが良くなって、それはもちろんいいことだけれど、でもお雛様の手がプラスチックになってしまうのはなんだか寂しいような。
仕事の途中でお昼を食べに来ただけなのですが、楽しいひとときでした。ひとりひとりのお盆の上には、ガラスの小瓶にナズナや菜の花が飾ってありました。雑草大好きな私好みのお店でした。